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突然霊能力者になった俺に幸せを下さい  作者: まんぼう
第1章 突然霊能力者になった俺に幸せを下さい
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こんな事は人には言えません

「上郷さん、貴方の能力は霊と交信出来る能力なんですね」

陽子がいきなり俺に語りかける。

俺は陽子の家、桜井家のお屋敷にお邪魔していて、これから陽子の部屋に向かう途中なのだ。

「俺は確か言って無いと思うけど、どうしてそれを……君もテレパシーがあるのか?」

「いいえ、母です。母が教えてくれたのです」

「恐らく母は貴方の心を読んだのでしょうね」

そうか、それなら納得する。

「ここです。どうぞ……」

云われて長い廊下の突き当りの右側が彼女の部屋だった。

ドアを開けられて、中に入ってみると、約10畳程もあろうか、なんと天蓋付きのベッドが部屋の窓際にある。

天蓋付きのベッドって本物のお嬢様か!?

そしてその反対側には机と本棚。

更には手前には簡易ながら応接セットが置いてある。

「どうぞ」

陽子は俺を招き入れると、その応接セットのソファーに俺を座らせた。


「コーヒーでいいですか?」

振り向くと、入り口の横に簡単なキッチンセットがあり、そこの電磁調理器にヤカンを掛けていた。

「ああ、それで構わないよ」

俺はそう答えてこの部屋を良く見渡していた。

「どうかしたのですか?」

「いいや別に……」

そんなやり取りをしているとコーヒーが出てきた。

隣に彼女が座り、いよいよ説明が始まる。


「上郷さんは、パラレルワールドってご存知ですか?」

「ああ、平行世界の事だろう」

「そうです。では実際にあると思いますか?」

「それは何とも言えないな……」

「そうですか、それは仕方ありませんね。実際に行った方はそうは居ませんからね」

「なんだか、行った事があるみたいな口ぶりだが……」

「はい、私の能力は実はこのパラレルワールドへ行く事が出来る能力です。

「はあ?……次元の壁を超えられる…とか?」

「う〜ん近いかなぁ〜」

「上郷さん。この世界は一つしかありませんが、私達の隣には、同じ様な世界が無数に広がっているのです。」

「例えば、ある世界では貴方が居ない世界。またある世界では、私も貴方も居ない世界と言う事が実際あるのです」

「でも、普通の人はその事をい意識することはありませんし、その存在も知らないのです」

俺は判った様な判らない様な彼女の説明を聞いていたが、疑問を感じた

「じゃあ、さっき、平行世界は無数にある、と言っていたが、この世界では単なる話とか小説の世界の話の登場人物が実際に居る平行世界もあると言う事か?」

「理論的にはそうです。ありえます。私はそう言う世界の幾つかを見て来ました」

「信じられんな……お伽話より始末に悪い」

俺はコーヒーを飲みながらも、自分の脳力だって怪しいものだと気が付く。


「その能力や並行世界の事はじゃあ、とりあえず真実として、俺と君が将来結婚してと言うのは、能力的にはどのようなメリットがあるのさ」

早い話が俺と陽子が結婚するとどのようなメリットがあるか? と言う事だ。

それを聞いて、陽子は顔を赤くして戸惑いながら答えた。

「実はですね。私の能力は完璧では無いのです」

「今は、私が異世界に行けるのは、私自身と私の身に付けている衣類等と手に持てるだけの小物だけです。」

「つまり、俺や他の人間をその世界に連れては行けないと言う事だね」

「そうなんです……でも違う能力のある方と交わると、お互いの力が増幅されるのです。」

「たまげたな……つまり俺と君とか交わると言う事か」

「はっきり言うとその様になります……でも例えばキスとかでも弱いながら力は増幅します」

「なるほど……俺に目を付けたのは、そう言う意味か……話が旨すぎると思っていたよ」

「あの、誤解しないで下さい。私は貴方に能力があると分かる以前から好感を持っていました。

能力があったのは偶然なんです。」

「それに、営業1課の頃から能力はあったのですか? 私はその頃から貴方に好感を持っていました」

陽子の目は真剣だった。騙されやすい俺だが、この彼女の目は本当だと思う。

上で眠っている様な、ひいばあちゃんに聞いてみる

「なあ、どう思う?」

ばあちゃんは起きだして

「お前は馬鹿だ! こんないい子を信用せんとは、呆れるぞい」

そうか、信用していいのか……


「じゃあ、判った。信用させて貰うよ。でも俺がいくらスケベでもいきなり君を抱けないよ」

「あ、ああの。さっきのは極論で、始めは手を繋いでもいいのです」

「ああ、そうか、なんか期待して損した。ははは」

やっと笑い声がでた。

俺は横に座ってる陽子をいきなり抱き締めるとくちづけをした。

「あ、あの……」

「こうやって抱き締めてキスすれば、手を繋ぐより効果があるんだろう?」

「それは……そうです……いきなりなんで驚きました。未だ胸がドキドキしています。」

「もう、大人なんだし、手を繋ぐ事からなんてのは、まどろこしいと思わないかい?」

「そう、なんでしょうね……でも、わたし経験無いから、そこら辺は良く判らないのです」

ええ!23歳で未だキスさえ知らなかったのか……こりゃ天然記念物級だと俺は思った。


「男性との事は何も知らなかったのかい?」

俺は改めて聞いてみた

「はい、キスも今のがファーストキスです」

「だって、あのストーカーまがいのヤクザ好きの男は?」

「あの人は指1本触れて来ませんでした」

「そう……だったんだ……」

俺は経験は兎も角、キスぐらいは当然学生時代に経験してると思っていた


「あの、そこら辺もお教えしますと、能力のある者と無い者が交わった場合ですね、能力のある者の力が減って行くのです。つまり弱くなってしまうという事です」

「だから、やたら交わってはイケナイと言う事なのか?」

「そうです。ですから私は今までその様な能力者が友達や級友にもいませんでした。だから心を惹かれる人にも巡り合ませんでした」

「唯一の例外が上郷さんなのです」

「それが私には不思議なのです」

「それについては俺から説明しよう。それはね君の守護霊が俺の事を気に入ったからなんだ」

「守護霊?」

「ああ、そうだよ、殆んどの人には守護霊と言う存在が付いていて、その人を守っていてくれる」

「その守護霊さんが相手の事を気に入ったり、守護霊同士で気が合ったりすると、恋人や友人なんかになるのさ」

俺はこの前、ひいばあちゃんに教わった事を最もらしく彼女に教えた。

「そんな仕組みだったなんて知りませんでした」

そりゃそうだろう、この俺だってこの前知ったばかりなんだからな。


「もし、もしだよ、君の能力が強くなって、自分の他に誰かを連れて行ける様になったら、俺を連れて行ってくれるかい?」

「もちろんです! 一番に連れて行きます。逆に私にも霊のいろんな事教えてくれますか?」

「あたり前じゃ無いか、何なら今君の守護霊さんが何をしてるか教えてあげようか?」

「はい!是非!」

「う〜んとね。どうやら君にメッセージがあるそうだよ。俺が映像でうけ取るからそれを言葉に翻訳するから、若干ニュアンスが違ってくるかも知れないけれどね」

俺は守護霊の言葉を待ていると、彼女の守護霊は

「ありがたい事です。こうして想いを伝えてくれる様になろうとは……じゃあお願いします」

そう言って、なんと俺に降りて来て俺の身体を支配して

「陽子、お前は今まで家族以外では一人で頑張ってきたが、今日からは上郷さんと共に歩むがいい、この方はお前が信用に値する方だから……」

言葉が終わるとまた守護霊が離れて行く。

俺自身言っていて恥ずかしかったが不思議とスムーズに口をついて出た。

後からひいばあちゃんに聞いた処では、俺自身の身体を一種の霊媒状態にして、守護霊さんが一時的に降りてきて喋ったのだと言う。

これも、俺が陽子とキスをしたので、俺の能力が上がったせいだと言う。


「判りました。よく判りました。私は上郷さんと共にこれから先歩みます」

その彼女の思いに、彼女の守護霊もうれしそうだった。

「守護霊さん喜んでいるよ」

「そうですか…うふふ、でも上郷さん自分の事を言ってて、恥ずかしく無かったですか?」

「いや、それは、俺の意志とは関係無く、その……もういいや!」

俺も釣られて大笑いした。


その後、夕食に呼ばれて、彼女の両親と、俺と彼女の4人で食事をした。

今度は俺もかなり発言をして、ちゃんと会話らしくなっていた。

それによると、両親とも彼女と一緒に異世界には行った事が無いそうだ。

だから、俺と付き合って彼女の能力が上がて、一度その世界を見たいそうだ。

ま、これはこれからのお楽しみだな。


それと、大事なのは、この能力を何に使うのかと言う事だ。

それの為に呼ばれたもんだろう?

「桜井さん。先ほどはこの各人の能力は金儲けには使わ無いと仰っていましたが、じゃあ何に使うのですか?」

その問に桜井氏は

「そうです。それが大事でした。いわゆるボランティアですな」

「ボランティア? どのような?」

「色々ありますよ。例えば貴方でしたら、各種相談ですね。霊障から始まって、その方の守護霊さんから事情を聞いてあげるとか、ですね」

「じゃあ、陽子さんの場合はどうなるのですか?」

「陽子は、ちょっと違います。異世界で起きた事をこちらの世界に伝え、被害等が広がるのを防ぐ役割があります」

「例えば異世界で、天災等が起こった場合、こちらでも起こる可能性は高い訳です。まあ、異世界の条件にもよりますがね」

「そこで、こちらでも、被害が少なく成るようにあちこちに通達するのです。ま、信じるか信じ無いかはそれぞれですが、一度本当だと知った方は皆信じてくれます」

「なるほど、そう言う行動をしているのですか?」

「ですから、あくまでも仕事の合間に行なっているのです。その点貴方の今の部署は最適ですな」

何だか変な処にも目を付けられたみたいだ。

「そうそう、大事なのは貴方の家柄は大変古く続いてる名家ですから、その家柄の品格を落とさない事も大事です。

そんなもんかとも思う。家柄うんぬんに関しては俺はごく普通の家だと思っているから何とも思わないが、気にする人にとっては大事なのだろう。


「桜井さん。桜井家がボランティアする訳を聞いても良いですか?」

「ええ、勿論!私どもが敗戦の最中に財産を減りはしましたが、今日まで残したのは、当時から私共の様なボランティア組織がありまして。その御蔭で、今日残っていられるのです。

俺はそこまで聞いて、ある世界的に有名な組織が思いあたった。

でも、それはここでは口にしない方が良いだろう。

俺としても、陽子と付き合って損は無いみたいだし、何より俺は惚れて仕舞った。

こればかりはどうにもならない。

覚悟を決めなければならない時が来た様だ。


「達也さん。今日からそう呼んでも構いませんよね。私の事も陽子って呼び捨てにして下さいね」

輝く様な笑顔で、俺に微笑む陽子をみていると、悪く無いと思うのだった。



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