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2. 捨て子
冬の夜、家の前に赤ちゃんが捨てられていた。
添えられた手紙には「この子を育ててください。名前は『サトシ』です」とあった。
俺たち夫婦には子供がいなかったから、運命だと思って大切に育てた。
20年後、立派に成長したサトシが、ふと俺に聞いた。
「ねえ父さん。なんで俺の名前、サトシだって分かったの?」
俺は笑って答えた。「手紙に書いてあったじゃないか」
サトシは不思議そうな顔をして言った。
「あの日、父さんは『手紙なんて入ってなかった』って言ってたよね?」
解説。
「俺」はサトシに「手紙に名前が書いてあった」と言いましたが、拾った当時は妻に「手紙なんてなかった」と嘘をついていました。
つまり、手紙には「育ててください」なんて温かい言葉は書かれていなかった。
本当は「サトシという名前」の他に、口封じや復讐、あるいは呪いに関わるような恐ろしい内容が書かれていたのかもしれません。
それを隠してまでサトシを育てた「俺」の目的とは。




