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ユキア・サガ 航海① 忍者海賊とネフシュタンの魔片 第1巻   作者: ユキロー・サナダ【ユキア・サガ 忍者海賊の物語連載中!】
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10.神約暦4,015年4月5日 絆

読んで頂きありがとうございます。

この章から読まれた方は、是非【ユキア・サガ 航海① ネフシュタンの魔片 第一巻 第1章】から読んで頂けますと、幸甚です。


クレブリナ海賊団から分捕った海賊船。

 聖エレミエル号と共にアトラス海に接するレオン王国の南端、ガブリエル海峡から東ティターン海に入り並走していた。

 蒼穹はどこまでも広がり、穏やかな優しい陽光が降り注いでいる。

 海賊達との戦いが終わり、その姿が消えてしまうと、何処からともなくベルーガという種の、雪みたいに、皓い姿が珍しい陽気ないるか達の群れが現れた。

 まるで、いるか達も聖エレミエル号の無事を心から喜んでいる気持ちがあるのだと、オレ達に伝えたいかのように。

 船はレイとザザの術で、キラの幻影を生み出したあの人型の折り紙を沢山使い、今度は水夫が出現し操船させている。

 聖エレミエル号の船長からと申し出があった。

「レムスのオスティア新港に到着するまで操船人員を割きましょう」 

 でも、オレは船長に感謝して丁重に断りを入れている。

 その代わり、料理人を要望させてもらった。

 船長は快く、ローザとという女性の料理人とランブラという女性の給仕人を派遣してくれている。

 二人は聖エレミエル号の料理長と給仕長だった。

 クレブリナ海賊団を追い払った俺達への感謝の気持ちを込め、腕が確かで、然も揃って美人の二人を乗船させてくれたのだろう。

 オレは、素直に喜んだ。

 あのルムウベッタ(ラムレーズン)・フォカッチャや/は毎日でも食べたいと思っていたし、プロシュート・クルード・グリッシーニもまた食べたいと思ってたから。

 クレブリナ海賊団をから勝ち()った海賊船には、オレ、レイ、ザザ、金猿ゴリク、ナーヌス親子、ローザとランウラが乗船していた。

 ザザの情報をもとに、部屋の割り振りをレイが決めた。

 オレは、船長室、キラはジゼルの部屋に、レイはコーサの部屋に、、ザザとナーヌス親子はペロの部屋に、ローザとランブラはおそらくディアスあたりが使用していたと思われる部屋に。

 俺達は、まずそれぞれの部屋に荷物を整理しに行った。


※※※※※


 オレは船長室を色々と確認。

--お宝も含めて……それがどのくらいの価値があるのかはわからなかったがーー

 荷物を適当に片づけ、作戦室剣食堂へ向う。

 その入り口近辺には、もう全員がそろっていて、何やら話し込んでいる。

 キラが、葡萄酒(ワイン)らしきものを、ローザに渡していた。

 レイは、茶革の円筒を持っている。

 オレが作戦室兼食堂に入っていくと、他の者達もそれに続いた。

 左右の壁に2つずつ、真鍮の丸い窓がある。

 そこから観える、皓いいるか達がまだはしゃいで跳躍(ジャンプ)する姿は、恰も美しい1枚の絵画。

 部屋の奥側、円卓の真ん中にオレ、右隣にレイ、キラ、ナーヌス親子、という順で座り、

 左隣にザザ、金猿ゴリク。

ーー然し、巨大な体格の為、椅子がなかった。そこでゴリクは頭の毛を1本抜き、息を吹きかけ「椅子になれ」と唱えた。

 さっ、と椅子が3脚消失し、ドスンッ、という音と共に、大人が3人座れそうな背凭れが高くふかふかした豪華な肘掛椅子が、ゴリクの目の前に出現。

 ゴリクは満足そうにそれに腰かけた。

 ゴリクは自分の椅子が他より高級で座り心地が良いと気づいたからか「あーっ!」一声発した後また頭から毛を数本抜き息を吹きかけ「同じ椅子になれ」

 すると、ボンッ! という音がして全ての椅子が同じものになった。

 但し、椅子の大きさを除き。

 ローザとランブラは、入り口側の円卓の近くに二人並んで立っている。

 ゴリクの摩訶不思議な術に、ピッコロ、モンテ、ローザとランブラは息を呑んでいた。

 キラは驚愕しながらも、その瞳には興味津々という文字が楽し気に踊っている。

 オレは丁度いいと考え、

「紹介しておこう。

 ここにいる金猿のゴリクは、みんなもう気付いていると思うけど、獣人ではなく幻獣なんだ。

 世界中でザザ一の族しか、金猿のソン一族を口寄せすることができない。」

 と面々に紹介した。

 ゴリクはわしゃわしゃとザザの頭を撫でている。

 まるで親類のおじさんがその甥っ子にするみたいに。

 ザザは嫌がることなく、貌を綻ばせている。

ピッコロ、モンテ、ローザ、ランブラ達はおそらく至近距離で幻獣を目撃したのも、その術を見たのも初めてだったに違いない。

 キラは、頭に浮かんでいることを次々に言葉に変換してきた、

「幻獣の金猿って、伝説の聖獣ゴクウの一族ってこと!?

 ユキアやレイも幻獣を召喚できるの?

 それも伝説の幻獣なの?

 忍者は誰でも、忍術を駆使するだけではなく、召喚術を操れるってこと?」

 オレは、「キラ、気持ちはわかるけど、まず落ち着こう。ちょっと待とう。

 時間はこれからたっぷりあるし、オレ達はまだ自己紹介もしてないんだから」それを自分から始める。

「オレは、ユキア・ヴェルス。侍忍者で海賊。

 海賊にはなりたてほやほやだけどね。

 気軽にユキアって呼んでくれたらいい。

 じゃあ、レイとザザからよろしく」 

「私の名は、レイ・ネブラ。忍者だが、本日より若様のもとで海賊となった者。

 私のこともレイと呼んでくれればいい」

「オイラは、ザザ・ヴォラーレ。

 オイラも忍者で、今日から若様のもと、レイと一緒に海賊になったでござる。

 オイラのことも、ザザって呼べばいいでござる」

 ユキアは緋隻眼をキラに流す。

 他の者の目も、稀なる美女に集中する。

 キラは黒目がちな瞳に笑みを堪えていた。

「キラ・ユ・ガイアです。

 今日は、皆さんに多大なご迷惑をおかけし心からお詫びを申し上げます。

 ユキア、レイ、ザザ、ゴリク、私達を救って下去ったこと、心より感謝いたします。

 ありがとうございます。本当に助かりました」と謝意を表した。

 キラは「私はトレジャー・ハンターとして世界中を駆け巡っています。

 仲間達は私に事をキラと呼んでくれます。

 皆さんもキラと読んで下さい」再度低頭。

「気にしないでいい」オレは軽快に言う。「お陰で船もお宝も手に入ったんだからさ」

 ザザがナーヌス親子に目配せする。

「おいどんはモンテ・ブカ。

 神聖ロムルス皇国の造船ギルド長(マスター)で、船大工でごわす。おいどんたちはメシア教カットリチェシモの信徒でごわす。

 おいどんのことは、モンテと呼んで欲しいでごわす。

 今日は親子共々助けて頂き、レムスに帰らせて頂くこともできて、心から感謝しとるでごわす」

 円卓に両手をついて、ぶつかるんじゃないかと心配になる位、頭を垂れた。

 その隣で、息子のピッコロも同様にしていた。

 ピッコロは面を上げると「ピッコロ・ブカでごわす。

 僕も父さんと同じギルドで、弟子として、船大工をしとるでごわす。

 今日は本当にありがとうでごわす。ピッコロと呼んでくれるとよかでごわす」

 ザザがゴリクを肘でツンツン突いた。

「聖獣ゴクウ・ソンの一族、ゴリクと申す。

 我等は、ヴォラーレ家にのみ口寄せを許しておる一族じゃ。

 ヴォラーレ家の祖、古の武人サスケ殿と、ゴクウ様の血盟の義により、代々ヴォラーレ家の嫡流の守護を誓って居る。

 但し、これまでゴクウ様を口寄せできたのは、サスケ殿しかおらんがの」

 ゴリクは横目でチラッとザザを見た。

 ザザは腕を組んで目を閉じている。

 きっと次こそはっ! と思っている筈。

 と、オレはザザの横顔から想到した。

 ユキアがローザとランブラに目を向けると、まず料理長が自己紹介を始めた。

「神聖ロムルス皇国の国営船聖エレミエル号で料理長させて頂いております。

 ローザ・プーグナと申します。

 私達姉妹もメシア教カットリチェシモの信徒です。

 今日は私たち全員を救ってくださり、本当に感謝の気持ちで一杯です。

 レムスに到着するまで、腕を振るって最上のお料理を提供させて頂きます。

 食材やお飲み物は、聖エレミエル号のものをご用意させて頂きますので、ご安心ください」

 給仕長が続く。

「同じく聖エレミエル号で、給仕長として姉と一緒に仕事をしています。

 ランブラ・プーグナと申します。

 今日は私達を他しけてくださり、本当にありがとうございました。

 旅の間、お料理、お飲み物、ドルチェ(スイーツ)等、何なりとお気軽にお申し付けください。

 最大限の努力をさせて頂きます」

 姉妹は揃って丁寧にお辞儀した。

 ローザが「では、しばらく夕餉とドルチェの準備をするお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」オレにお伺いを立てる。

 オレは「もぉーめっちゃ腹減ったー。頼みますっ!」身を乗り出す。

 姉妹はもう一度お辞儀をして、厨房へと向かった。

 レイは、自分の脚に立てかけていた茶革の細長い円筒を、とても大切そうに、この部屋の奥側の片隅に立てて、自分の席に戻った。

 

 ※※※※※


 夕餉が調うまでの時間は2,3時間はかかるだろう。 

 キラはこの好機(チャンス)を逃しては、時間の無駄だと思ったのだろう。

「ユキア、本当に今日は私達を守り、救ってくれてありがとう」キラは一礼し「早速なんだけど質問してしてもいいかな?」

 オレは「うん。いいよー、まだ夕餉まで時間あるしぃー。キラはトレジャー・ハンターだから、多くの武人や法術士を見てきただろうから、驚いただろうしぃー」空腹の所為でぐったりしている。

 時間こそ短かったが、今日の闘いは研ぎ澄まされた集中力と精神力、技術力が必要。

 疲れてもいた。

 聖エレミエル号は次の寄港地バルセルンへと順調に航海していた。「私は海滅時代に、忍者と呼ばれる武人がいたことは知ってた。でも、現代に至って、忍者は絶滅している筈」

 レイが「おそらく、今のところは仰る通りでしょう。我等パークスの者を除き」応対した。

「海滅時代に絶滅した筈のあなた達忍者が、生まれ育った国パークスってどんな国で、一体忍者ってどんな存在なの?」キラの質問攻めが始まった。「そこから順を追って、話を訊かせて欲しい」

 オレは紐解いていくように語る。「国の名はパークスーー」

 国の祖ユキムラ公の建国から今日までの国史。

 武術と法術を同時に会得した忍者という武人誕生までの青史。

 オレはそれらについて、できるだけ詳らかに物語った。

 でも、自分のことは口にしない。

 国主として君臨する父や、義母で正室のリビと一部の者達が闇に葬った、実母タラサの一連の真実や、ナツヒとの国抜けという事実、そうした歴史は一切言葉にしなかった。

 それを、レイ、ザザ、ロクネ、オクトーも知らない。

 だけど、4人がオレと、国主、国母リビ、実弟ナツヒとの間には、何らかの問題が発生しているのではないか? と推量していることに自分でも気づいている。

「パークスという国の存在を初めて知った」

 キラは柳眉を顰めて呻く。

「パトリア島という名も初めて。

 それにしても国の大半の民草が、忍者で傭兵なんて俄かには信じがたい。

 でも、あなた達が数多の戦場を生き残ってきたことが寧ろそれを証明してる。

 力を合わせて乗り越えてきた死線が、あなたたちを育ててきたことも……」

 ピッコロが感嘆の聲を上げる。

「ボクは術士でもある武人、忍者という言葉とその存在を、初めて知ったでごわす」

 モンテも詠嘆の言葉を洩らす。

「ごわす、ごわす。正直今でも50人を超えるクレブリナ海賊団をユキア達だけで撃退したことは、夢みたいな話だと思うてしまうくらいでごわす。

 じゃっどん、ユキアの話を聴いてただただ驚くばかりでごわす」

 レイが「勿論、術の発動は外つ国人に悟られないように細心の注意を払いまする。

 我等の術には他の法術と違って、詠唱らしきものはないに等しい故、人目に付くことはありません。

 外つ国人に、術や、我ら独特の武術の奥義を見せることは、即ちその相手の命をを奪う時に限るというのが、国の掟。

 故に、我等忍者の存在を知るのは不可能だったということになりまする。

 死人に口はありませぬ故」と忍者がその存在を知られなかった故由を、恐ろしい言葉を添えてさらっと言ってのける。

 キラは「成程。私は今日少なくとも高度な結界術を、二度目撃した。

 パークスには、もっと強力な結界術が施されているから、それを破る手段を知らない限り、入国はできないって訳ね。

 だからその場所を訊いても無駄ってことか」口では得心したように言ってるが、未練を零す。「それでも是非一度だけでいいから私はパークスに行ってみたい」

 レイはキラの気持ちを受け止める。「神秘に満ちた美しい国故、お気持ちがわからない訳ではありませぬ」

 然し、現実の厳しさを言葉に変換していく。

「ご理解して頂けると思いますが、我等忍者が国の禁を破って出奔すれば、忍術の使用によって、或いは今のように口を通して、いずれパークスの実在が世に知られてしまいまする。

 更には、結界の突破法が洩れてしまうこともあるやもしれませぬ。

 されば、国抜けは重罪。当然即座に刺客が放たれ、命を狙われます。

 然れど、現国主は若様の父君故に、私とザザは若様の目的を把握した上で、国へ戻るよう説得せよと指示を受け、もし若様が拒否するならば『殺せ』と厳命されています。

 そして、私とザザも国抜けした今、キラさんの願いが叶うことも、難しいかと」

 レイの瞳の底に、深い悲しみの影が沈む。

「若様は、国主にの嫡男でござる」沈痛な面立ちで元気なく俯くザザ。

 なんとなれば、レイもザザも喜んで国抜けした訳ではないのだから。

 オレも、散々煩悶した上での決断なのだ。

「詳しいことはわからないけれど」キラは前置きして、黙って思推に沈潜していたオレに「パークス国主が国祖ユキムラ公の国訓『義勇』とは正反対の方向に行くことを、クレブリナ海賊団のコーサが指摘した時、ユキア、あなたは『コーサの直感が正しいとだけ言っておく』と言ったのに、結局ある程度の情報も話してくれた」

 オレは緋隻眼をキラの瞳に重ねて、一言一言に集中している。

「そこから、私が推断した答えは、パークスが今までのように、世界平和の為義勇の道を国訓を棄却して、他国同様、国土拡大、国力増強に舵を切る、ということ。違うかな?」

 オレはキラから目線を外し、レイは瞑目して、ザザは俯いている。

 静かだが重苦しい空気が、のしかかってくる。

 そうすることが、答えになるとわかっていても、オレ達には否定も肯定も出来なかった。


 ※※※※※

 

 美人姉妹は厨房から戻ってくると、取皿や匙等食器類を円卓を囲む一人一人に、夕餉の準備をしていく。

 その所作は優雅で美しい。

 一仕事終え、二人は再び厨房へと踵を返す。

 ピッコロがにっこりと「ユキアが座っとる円卓の裏に、突起物があるでごわす」

 オレは右手でそれを押してみる。

 すると、円卓の中心から約四分の三くらいが、すっ、と浮き上がってきた。

 ピッコロは、浮いた円卓の端に人差し指を置いて、手前に引く。円卓はクルクル回った。

「おぉー、これは……」オレは緋隻眼を細める。

 モンテの丸い目は「この上に料理皿を乗せると、誰でも欲しい皿を目の前に持って来れるでごわす。

 遠い東方の大国のジャンク船と呼ばれる船を見ておいどんが製作した円卓でごわす」照れ臭そうだ。

「ん? ということはこの船を建造したのは、モンテ達ってこと?」

「そうでごわす」ピッコロは胸を張った。

 オレは、尊敬の眼差しを二人に送った。

「我がソン一族の岩室の食卓も、これと殆ど同じじゃ。

 大勢で宴を開くときは特に重宝する。 便利じゃからの」

 ゴリクが嬉しそうに円卓を回す。

 物は試しにとオレが回すと、ザザもそれに続く。

「子供じゃあるまいし」そう言いながらレイの眼は綻んでいる。

 モンテが作戦会議の時も、海図や地図を全員で確認しやすいでごわす」付け加える。

 成程、と皆がで感心していると、ローザトランブラが料理やパンを盛りつけた皿と籠を、器用に掌と腕を使い、左右に三つずつ乗せて、楽しそうに運んできた。

 食欲をそそる焼きたての肉やパン馨ばしい馨が食堂中を弾ける。

 二つある籠一つにルムウベッタ・フォカッチャが緋隻眼に映り、オレの食欲は爆発!

 ローザかランブラのどちらかが、昼間オレが美味そうにルムウベッタ・フォカッチャを食べていたことを気付いてくれたんだ。

 ってことは、あれもあるかな?

 あった!

 もう一つの籠にはプロシュート・クルード・グリッシーニ。

 それだけでも、オレにとってはありがたいことだったが、料理の10皿が豪勢の一言。

 二皿は、一見して羊毛と思しき体毛をまとう牛の一種、ビーム牛のカルパッチョだ。

 体毛はフワフワして見えるが、実際には殆ど針金と同じで、剣、槍、銃弾、矢から守る。

 長い鞭さながらの尻尾の先は球状で、鋭い棘だらけになっていて岩石をも砕く。

 この肉の入手は困難極まる命懸けの狩猟だ。

 頭から突き出した二本の角と破壊力抜群の尻尾で攻撃した来るのだから。

 神聖ロムルス皇国が、狙った一因がビーム牛と噂されていることからも、その貴重さが窺えるというものだろう。

 ビーム牛は、コル・ス島とクルクス島にしか生息していない。

 口に入れたら、じゅんっ~、と溶けてなくなる食管と、甘くまろやかな旨味を堪能できる堪能できるビーム肉を嫌うのは、菜食主義者だけだった。

 その超高級肉を食べ易い大きさに包丁を入れ、肉汁の旨味を逃さず炭火で丁寧に焼き上げ、馨ばしい特性のタレをかけ、黒西洋松露を(トリュフ)乗せた、観るからに絶対に美味しそうな二皿。

 頭にある瘤から恰も槍に如き恐ろしい角を生やす鮪の一種、ランキスのとろ、中とろ、大とろの刺身の盛り合わせが一皿。

 特製のタレは、三種類用意されている。

 蟹の一種で、鋏の部分が鋭利な鎌になっているファルケルを丸ごと茹で、特製のタレで頂く一皿。

 鎌の部分のしこしこした歯応えのある身は、ティターン海の珍味として有名。当然、高価だ。

 様々な乳酪(チーズ)を溶かし調合して作ったという、白西洋松露が乗せられた純白で幻想なリゾットが二皿。

 ビーム肉を贅沢にひき肉にしたパスタ・ボロネーゼが二皿。

 税を極め尽くした、豪華で彩り豊かな料理が、円卓に集う者達に笑顔の花を咲かせている。

 ローザとランブラは、皆の反応が嬉しいのだろう、笑みが瞳から消えない。

 料理の紹介をローザが始めると、ランブラは食前酒をユキアから一人ずつ注いでいく。食前酒は、クルクス島マルサラ葡萄酒で、20年熟成された、ストラベッキオだと、ローザの紹介があった。

 円卓を囲む全員が、幸福感で頬が緩む。

 でも、折角のローザの料理紹介は、キラ、レイ、ゴリク以外、オレも含めて馬耳東風だ。

 オレを筆頭に、料理へ飛び掛かるのを今か、まだか、と待ち構えている。

 ローサがにっこりして「今日のユキア様達へのお礼として、聖エレミエル号の船長から葡萄酒を、感謝の気持ちを込めて預かっています。

 赤葡萄酒は、ラディチ・タウラージを2本。

 皓葡萄酒は、フラッシッテッリを2本。

 いずれも30年ものです」

 拍手が美人姉妹へ降り注がれる。

 ピッコロとモンテは地獄から天国へ戻ったばかりといった顔貌だ。

 これ以上ない展開に喜びもひとしおといあった風だったが、とにかく空腹だったらしい。

 グッ、グッー!

 その腹が大声で叫んだ。

 これが号砲となり、オレはもう待ちきれなかった。

「乾杯! いただきまーすっ!」

 言うやいなや、ストラベッキオを殆ど一口で飲み干しながら、ランブラにビーム肉の炭焼きを指差す。

 ランブラがそれをオレの取り皿に給仕すると、皆の手が次々とご馳走に伸びていく。

 キラは十字架をきって「父よ、あなたの慈しみに感謝してこの食事を頂きます。

 ここに用意されたものを祝福し、私達の心と身体を支える糧としてください。

 私たちの主、イエス・キリストによって。アーメン」と祈りを捧げた。

 賑やかで楽しい宴が始まり、料理への賛辞が次々と飛び交う。

「これは美味しい!」レイが口にしたのはビーム牛のカルパッチョ。「爽やかな酸味、柔らかい触感、溶けていく喉越し、全てが満点で文句のつけようがない!」

「いやいや、これは初めて口にしたが、美味いのぅ……」ゴリクは珍味、ファルケルの鎌の身を食べて喜色満面。「この特性ダレの甘い酸味と、鎌の身の旨味が相性抜群じゃ!

 是非ゴクウ様にもご賞味して頂きたいのぅ。

 必ずやお喜びになられること相違ないっ!」

 それを聞いたザザは、鎌の身を給仕してもらおうと、ランブラに手と目で訴えた。

 口の中は純白のリゾットで一杯になっていたから。

 ザザは急いでもぐもぐしてそれを胃に流し込むと、給仕してくれたランブラに「ありがとう!」とレイを伝え「リゾット、こんなにまろやかで美味しいのは初めてでござるっ!」ローザにも礼を言った。

 キラは、ローザに教えてもらった通り、それぞれのタレに絡めて食べるとフラッシテッリを一口飲んで「幸福だわー」と零し「ユキア、これ食べてみて。普通の鮪と違って、とろけるような食感と仄かな甘味が、タレとよく合っていて凄く美味しい。海のビーム肉と言っていいくらいよ」と勧める。

 オレは、ルムウベッタ・フォカッチャを片手に「ビームの炭火焼も最高! 早く食べないと無くなっちゃうよ?

 口に入れたら嚙まなくても溶けていく感じで、濃厚な旨味が、ぶわっと弾けるから!」早口に言う。

 手にグリッシーニを持ちボロネーゼを食べていたピッコロは、それを耳にしてビーム肉の炭火焼を給仕を、ランブラに身振り手振りと飛び出しそうな丸い目で訴えている。

 ランブラはピッコロの必死の血相に笑いを堪えながら、それを給仕した。

 モンテは、リゾットとランキスの刺身に舌鼓を打っていたが、「おいどんもお願いでごわす」ランブラに頼んでいる。

 そのやり取りを見ていたローザが「ビーム肉の炭火焼も、他のお料理も、まだ厨房にご用意してますので、ご安心下さい。と話すと、一斉に上がる歓声!

「ビーム肉のボロネーゼ本当贅沢すぎる」キラはうっとりして「あぁ……もうダメ。幸福すぎる。

 口に入れた途端に、ビームのひき肉がプチップチッ弾けると、ボロネーゼの味が濃厚さを増すの!」

「ごわすごわす!」とピッコロも同意。

 即座にオレはボロネーゼの給仕をランブラにお願いした。

 葡萄酒の酒瓶(ボトル)を一本空にして、ゴリクがそれを振りながら「ローザ、すまぬが美味すぎて、ほれ、この通りじゃっ!」

 ローザは直ぐに二本目のコルクを抜いて、ゴリクの葡萄酒杯(ワイングラス)を満たす。 

 それから美人姉妹は、空になった皿を厨房に下げ、料理のお代わりを円卓に並べる。

 一同から再び歓声があがった。

 楽しく、美味しい宴がもたらす、ひとときの安らぎと零れる笑み。

 そこには口にせずとも伝わっていく、喜びの波動という耳には入らない言葉が溢れている。

 ゴリクは左隣の椅子をを横に寄せ、例の黒巾着を懐中から取り出しその口を開けた。

「蜂蜜酒よ、来いっ!」

 銅鑼声で命じると、上甲板に置いてあった筈の蜂蜜酒が二つ、ドンッ! ドンッ! と黒巾着の口から出てきた。

 ぎゅーうっ、と圧縮され小さくなった樽が、黒巾着の中から出現しながら、元の大きさに戻って行く感じで!

 オレ、レイ、ザザ以外の者達は、一同目を見開き、不思議という名の疑問符と、驚きという感嘆符が頭の天辺から飛び出ている。

 ゴリクは「ランブラすまぬが、大きいゴブレットを持ってきてくれぬか」何事もなかったかのように平然と言った。

 はっ、と我に返ったランブラは「畏まりました」一礼して厨房へ急ぐ。

 ゴリクはローザに目を移し、少々遠慮がちに「ファルケルの鎌の身は、まだあるかの?」と所望した。

 「すみません。先程ユキア様が最後の一つをお召し上がりました」ローザは、赤心から申し訳なさそうに、眉の間を狭くして頭を垂れる。

 「そうか、それでは仕方ない。樽だけ送っててしまおう」とごゴリク。

「ここにあるでござるよ」ザザがにっこりと笑って、手を付けずとっておいた鎌の身の皿と、タレ皿をゴリクの前に差し出す。「オイラ、これを何回か食べたことがあるでござる。

 きっとゴクウも食べたことがあるかもしれぬでござるが、万が一を考え、念の為のとっておいたでござる」

「そこもとはこんなに美味いものを食わなかったのか?」ゴリクは鎌の身を二度見して「良いのか? これをゴクウ様に送っても?」

「勿論でござるよ。ゴクウが喜んでくれるなら、オイラも嬉しいでござるよ」

「よし! ではザザ、ゴクウ様に書簡を認めよ。それと一緒に送ろう。

 新術が成功したことも忘れずに書いておけ。よいな。今書け、直ぐかけ!」

「了解でござるっ!」ザザはゴリクの指示に従って、道具袋から一枚と白紙と筆を出し、早速筆を走らせていく。

 ランブラが厨房から戻ってきてゴブレットを用意した。

(かたじけな)い」嬉しそうに礼を言い、直ぐさま蜂蜜酒の樽の上蓋を拳骨一発で壊し、ゴブレットを突っ込んでそれを満たす。

 またしても、オレ、レイ、ザザ以外の者達は、ゴリクの飲みっぷりに目を丸くして、あっけににとられ、言葉もない。

 蜂蜜酒を、水同様に飲んでいる聖獣を目撃したのだから、無理もないだろう。

 ゴリクは周囲の反応等、どこ吹く風の如く、ザザの書簡を覗き見ている。

 と、早くも「うん。書いたでござるよ。」ザザはもう一度目を通す。

『 ゴクウ殿


  略儀ながら失礼致すでござる。

  オイラ本日より若様と海賊になった由。

  仔細はゴリク殿に訊いて欲しいでござる。

  今日は新術、猿真似ノ術に成功したでござる。

  これは、サスケ様や、オイラの育ての親クーゴ老師のお陰でござる。

  それから今日ゴリク殿は大活躍でござった。

  ゴクウ殿、金猿ソン一族心から感謝でござる。 

  分捕り品のクィーンズティアラ産蜂蜜酒と、ファルケルの鎌の身を酒の肴に送るでござる。

                                       草々

  4015年4月5日

                         ザザ・ヴォラーレ』


「何じゃたったそれだけか」ゴリクは不満顔で「我のことは書かずともよいものを。新術成功の詳細を書けばよかろうに。

 それに、海賊になった故由はまだ聞いておらぬぞ」

「「いーや、ゴリクの助力がなかったら、この船の制圧はできなかったでござるよ!

 海賊の件は」といって経緯を話した。

 ゴリクはザザを自分の胸に抱きよせ、その頭をわしゃわしゃと撫でた。

「ゴクウ様が喜ばれるのが目に浮かぶようじゃ」人間と聖獣という種を超越した、ザザとゴリクの絆。

 そこには間違いなく、無垢の愛情が存在している。

 ザザとゴリクのやり取りを目にしたもの全員、それを否定する者はいないだろう。

 愛は、種も、人種、国籍も国境も、話す言葉も、一切問うことはない。

 オレの孤独な心魂に、二人の姿は温もりと寂しさを感じさせる。

 然し、それをおくびにも出してはならない。

 星星はいつの間にか雲に隠れ、闇夜に浮かぶ朧気な月が、船窓の縁に映っている。

 オレは、その月が自分の心情に重なる気がした。

 けれどもそれを振り払い「新術に成功したのか!?」好奇心を丸出しにしてザザに「後でじっくり聞かせてもらおう」

 ザザは照れ隠しに頭をポリポリ掻いている。

 ゴリクはザザの書簡を樽の上に置き、鎌の身を、タレの皿でそれを押さえるように乗せた。黒巾着の口を開け樽に向けると「ゴクウ様に届けよ1}

 樽は、ぎゅーっ、と圧縮され黒巾着に吸い込まれ、その姿を消してしまった。

 キラ、ナーヌス親子、美人姉妹は、樽があった場所とゴリクを交互にに観ては、是非、黒巾着の不思議を教えて欲しいと、うずうずしている。

 神聖ロムルス皇国首都レムスにある、世界一有名な大人も子供にも大人気の法術具市場でも、まずお目にかかれない奇しき代物なのだから。

「ザザ、感謝いたす」ゴリクは律義に礼を言う。

「なんのでござる! ゴクウにには我がヴォラーレ家との契りを、心から感謝でござる」

 ザザは、肺腑からの言葉、気持ちを返す。

 ビームもランキスもファルケルも」レイは満足そうに「今迄で食べたことはあった。

 されど今日ほど美味しいとお待ったことはない。

 リゾットもボロネーゼも最高だった。

 神聖ロムルス皇国のパンは殆ど硬いものばかりだが、フォカッチャもグリッシーニも食べ易かった上に味もよし。若様が喜んでおられるのも納得できる。

 銀狼の獣人の賞詞にに、黒巾着のことは脇に寄され皆が一様に点頭する光景を目にして、ローザとランブラはーー喜んで頂けて良かった! 嬉しい!ーーという心の聲が洩れとぃる風趣だ。

「んー、幸福」キラはゴリクの黒巾着が気なるようだったが、まずは全ての料理とパンや、二種の葡萄酒を確り味わい、椅子の背凭れに身を預ける。

 オレがふと船窓から聖エレミエル号を見ると、その甲板上は白蛍光岩の明かりが揺れ、晩餐会は殷賑(いんしん)を極めていた。


 ※※※※※


 船は何の問題もなく、順風満帆で海面をすべるようにすいすい航行していた。

 いるか達もずっとついてきているらしく、その気配は消えてない。

 クレブリナ海賊団との激闘は昔日の如く、ティターン海は穏やかだ。

 涛声が切ない程儚いと感じてしまう。

 望んで国抜けをしたかった訳じゃない。

 国抜けをするということは、パークスの蒼氓を見捨てることではないか?

 苦慮呻吟した結果だった。

 でも、オレには仲間がいる。それがどれほど心強いことか。

「レイ、ザザ、食事も落ち着いたところで、絆を持ち合おう!」

 レイとザザは、オレと一緒じゃなくとも、国に戻れば否応なしに、命懸けの任務へ身を投じ、パークスに尽くさなければならない。

 オレ自身が選択した国からの自由が間違いでないならば、同じ道を歩もうとしてくれているレイとザザの思いを否定はできないというものだ。

「はいっ」

「ござるっ!」

 即答する二人がオレには頼もしかったし、心魂に、ぽぅっ、と温もりが芽生え嬉しい。

 オレはローザに「これからオレ達3人で絆を結ぶ儀式を行いたいんだけど、何か良い赤葡萄酒はないかな? 葡萄酒杯も別のものをお願いします」壮快な聲で依頼した。

「それでしたら、キラ様からお預かりしてます。直ぐにご用意いたします」ローザは厨房に向かう。

キラは「レイとザザ君から儀式のことを聞いてたから」キラの語調は弾んでいる。「ラクリマ・クリスティー、キリストの涙という意味の葡萄酒。

 ヴェスヴィオ山麓の葡萄の木に、イエス・キリストの涙が触れたので、素晴らしい葡萄酒ができるようになったという伝説からその名がつけられてるの。

 なかなか入手困難なんだけど、先日20年物を3本ずつ譲っていただいたのよ。

 私から、まずこれをあなた達に贈ります」嫣然として一笑する。

 ローザがその一本を大切そうに持ってきた。

「キラ、ありがとう!」オレはキラの艶麗な笑みに内心ドキドキしながら「メシア教カットリチェシモを信仰してるオレにとって、最高の葡萄酒で、これから行う儀式に相応しい。心から感謝するよ!」

 オレがゆっくり腰を折ると、レイとザザも同じようにした。

「気にしないで。私は今日あなた達に救ってもらってるのよ? 喜んでくれて嬉しい。

 因みに私もメシア教カットリチェシモを信仰しています」

 オレとキラの会話中に、ランブラが葡萄酒杯を3人分用意してオレ達に手渡していく。

 ローザはラクリマ・クリスティーを優雅な所作で、小気味よい音させてそのコルクを抜き、それをオレに渡してくれた。

 オレはコルクを大切に受け取ると、腰の後ろに装備している革の道具入れにしまった。

 これは大事に持っておこうと心に刻む。

 ローザが、オレの葡萄酒杯に一口で飲み干せる程度の量を注いだ。

 オレは、すんすん、馨を嗅ぐ。

「これ樽の馨も混じってんのかなぁ? いい馨だなー!」

「それは樽の馨じゃないらしいの」キラがにこやかに教える。「独自の発酵をさせてるから、そう感じるんだって。

 譲ってくれた方がそう教えてくださったの」

「そうなんだ。どことなく馨しい馨も含んでて、美味しそうだなー」オレは目を閉じて芳香を楽しみ、それを一度舌に乗せてから、ゆっくり飲んだ。「美味いっ!」

「良かった!」キラは自分のことのように喜んでいる。

「よし、じゃあ絆を結ぶ儀式をしよう!」

 オレが真剣に言うとレイとザザが葡萄酒杯を片手に、側へ集まってきた。

 ローザは、オレ、レイ、ザザの順でラクリマ・クリスティーをそれぞれの葡萄酒杯に満たし、オレ達3人からそっと静かに離れた。

 オレ達は若き3人の武人は、葡萄酒杯を一旦円卓に置き、腰の装備している革の道具袋から、絹に似た透明な糸を取り出す。

 伝の印を立て、糸に指先を触れず、その1インチ手前で、すっ、と横に動かす。

 糸はおよそ15インチの長さに切れてしまった。

 同じようにして再度斬り2本に。

 何かの術で切ったのだろうと、ゴリク以外の者達は面妖そうに観察している。

 が、詠唱がなかったから、その確証は持てず、奇しき目の前の光景に聲もない。

 オレ達は、1本の糸を左手に持ち、右手の人差し指と親指で全体を、すーっ、となぞった。

 オレの糸は、緋く耀く。

 レイの糸は、皓透色に煌めいている。

 ザザの糸は、緑色の光を放っていた。

 オレ達は、変色した2本の糸を先刻同様、真ん中から指先を触れずに切る。

 オレは、レイ、ザザの色を確認し、自分の糸を柔らかく左手に握り、伝の印を立てた。

「ユキア・ヴェルス、レイ・ネブラ、ザザ・ヴォラーレ、ここに揃い集う三命は、永遠なる契りを約し、互いにその絆を持ち合う」

 オレが朗々と宣言する。

「刀が折れ、矢が尽き、拳が砕け、チャクラが涸れようとも、今宵交わす心魂の契りを、我等この命を贄としてここに誓う。

 この体が朽ち魂魄となるも、代々常しえに我等が結びし絆が絶たれることなかりしと」

「我、レイ・ネブラは、ユキア・ヴェルスにこの命、この肉体、この心魂、この生涯のすべてを捧ぐ」レイの澄んだ聲が冴えた。

「我、ザザ・ヴォラーレは、ユキア・ヴェルスにこの命、この肉体、この心魂、この生涯のすべてを捧ぐ」ザザの力強い大音声が響く。

「我、ユキア・ヴェルスは、レイ・ネブラ、ザザ・ヴォラーレと強く清き絆を持ち合い、生涯共に道を切り拓き、神の命ずるところによりて魂魄となるその刻まで、ともに生き抜くことを誓う」

 オレ達は、各々自分の糸を1本ずつ一人一人に渡し、相手から受け取った糸を、残しておいた糸と1本ずつ結ぶ。

 レイとザザは、こうして2本となった糸を、糸が交互になるように結び、一つの輪にした。

 オレは革袋から緋と蒼の糸で結んだ輪を取り出し、1本の糸になるように解く。

 この糸を、レイザザと自分の糸で結んだ2本の加え、結わいてから一つの輪にした。

「これによりて、我等は常に絆を持ち合う」

 オレが締め括った。

「レイ、ザザ、ありがとう! 乾杯っ!」

「お見捨てなきよう」とレイ。

「頑張るでござるっとザザ。

 オレ達3人の葡萄酒杯を合わせた爽やかな音が、空気を揺らす波動となり、この空間に広がる。

 その後、オレ達は葡萄酒を口に運ぶ。

 オレ達は、近いの美酒を一気に飲み干す。

 折節、待ってましたとばかりにゴリクが拍手を贈ると、キラ、ナーヌス親子、美人姉妹も同様の祝福をし、喜びと感動を分かち合う。

 心なしか、レイとザザの目が潤んでいたように見えたが、オレ達は互いに目配せして、自分の席に戻ると、大切に革袋にしまった。

 まだ名もなき海賊団に、一騎当千の強力な仲間が加わった!

読んで頂きありがとうございます。

駄作ですが、批評も含め、ご感想を頂けると喜びます!

評価✩✩✩✩✩やブクマをして頂けると更に喜びます!

長い物語ですが、様々な要素で楽しんで頂けるよう努力してます。

これからの物語も是非読んで頂けますように・・・。 m(_ _)m

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