展開はテンプレ、選択は意外
どーも、麦畑だよ( ✌︎'ω')✌︎
この前、他ユーザーさんからこの作品に関するコメント頂いちゃった!ランクイン?もしてたし感激の嵐
てなわけで祝日スペシャルはここの更新で決定〜
「いってぇ…。」
円居誠はまたもや尋問室の椅子に座らされていた。
どうやら、ここがループ点で間違いないようだ。
「おい、どうした?」
事情を知らない警察官が心配そうに尋ねてくる。…男だな。うん。男性を見た方が落ち着くって俺、女性運無さすぎるんじゃないか?
「あ、いえ。大丈夫です。先日、腰を痛めまして。」
身体をほぐすのと同時に尋問室をくるりと見回した。やっぱり、ここには異変はなさそうなんだよなぁ。
『ぴろりん』
そこは意地でもセルフなんだね。スクリーンくん。
円居は呆れながら次に写し出される文字を待った。
『ミッション1:尋問室の人間の好感度を上げよう』
え?ミッション1って、あの美少女を止めろってやつだったよな??
『ミッションは各ステージごとに設定されています。』
怖っ。彼の思考はスクリーンくんに反映されているらしい。驚くほど正確な返しに円居は若干の恐怖を覚えた。
いや。ここは前向きに捉えるこことしよう。まず、俺が考えていることはスクリーンに筒抜け。しかし裏を返せば、俺は喋らずともスクリーンと会話をすることができるということだ。
あと、分かったことがもう一つ。留置所で操れた俺の腕もどきは、此処では操れない。代わりに、自身の手をマウス操作と同じように動かせばスクリーンの操作は可能なようだ。
円居は冷静に情報を整理していく。
さっきの周回では、尋問室でのミッション数は1つと表示されていた。つまり、「尋問室の人間」と親しくなれば、その後の展開にも何か変化があるはずだ。
さて。「尋問室の人間」とは具体的に誰を指すのかだが。現在この場に居るのは2人。「刑事」と「刑務官」だ。この前は途中で女性の刑事さんが入ってきたけれど、今はいない。実質的に最初に仲良くなれる可能性が高いのは「刑事」の方だろう。
仲良くなる方法は色々ある。しかし、始まり方は皆同じだ。
「すみません。お二人の名前をお伺いしたいのですが。」
原則として、取り調べをしている警察官の名前は尋ねれば教えてくれるはずだ。流石に、名前も知らない人間とは仲良くなれないんでね。
「私の名前か?…私は桜井海都という。申し訳ないが、刑務官殿は原則名乗ることは出来ないので教えられない。」
なるほど。確かに、刑務官は犯罪の記録を取り扱っているから、本名がバレたらより危険なのか。
「すまんね。私のことは『担当さん』とでも呼んでくれ。」
ここで、刑務官の男は初めて口を開いた。想像よりも口調は穏やかで話しやすそうだ。
「分かりました。あの、桜井さん…でしたね。私、本当に身に覚えがなくて混乱しているんです。なので、経緯を詳しく説明してくれませんか。」
「ああ。通報があったのはー。」
桜井はようやく事の詳細を話し始めた。
△△△△△
嘘だろ。聞いても意味が分からなかった。
桜井刑事は証言した。
「通報があったのは、お前が逮捕される30分前だ。公衆電話から『円居誠という同僚に襲われそうになった』という通報があったんでな。」
色々と不自然な点が見られる。まず、警察が駆けつける時間は平均で10分弱だ。俺の職場はそこまで山奥に位置しているわけではない。そのため、駆けつけるのに30分もかかるのはおかしい。それに、
「私が同僚を襲った?一体誰を??」
円居の同僚なんて数えるくらいしかいないのだが、その中で円居とプライベートに接触している人間はさらに少ない。彼らはそもそもプライベートの時間が確保出来ないからだ。
「神林紗良って名乗ってたな。」
神林紗良?確か、事務職でそんな名前の奴が居た気がするけれど、俺は殆ど関わってないぞ?!
「それでな。彼女に話を聞いたら『突然自分に襲いかかってきたので驚いて背負い投げを繰り出した』って証言してくれた。事実、彼女の腕には掴まれたような跡があった。だから私は急いで彼女のオフィスに向かった。」
せ、背負い投げ…。どうりでいつも以上に腰がやられてるわけだ。てっきり、留置所でずっと縛られた状態で叩かれてるせいだと思ってたんだけどな。
「で。いざ、扉を開けてみれば。周囲にぶち撒けられた紅茶を無視してデスクに座って仕事をしているお前が居たわけだ。恐ろしいことに、打ち込んでる内容は非常に正確だったよ。」
「は??」
どういうことだ?話の流れ的に俺がヤムチャしてるはずだろ!!記憶にないけど。仮に紅茶で意識がぶっ飛んでたとしたらまともに仕事が出来ないはずだし。
「私はそれを奇妙に思ってお前に話しかけた。そしたら、何と答えたか覚えているか?」
「そんなの覚えてますよ。『誰ですか、貴方』。」
それで、混乱した俺に手錠をかけたって流れだ。
「違うな。お前は最初に『あの女性が通報したんですか。』と言ったんだ。」
はい?
「えっ。ちょ、今。なんて…?」
頭が追いつかない。
「だから。『あの女性が通報したんですか』と言った。」
『しゅいん』
必死に頭を整理しようとしていた円居に試練が降りかかった。
ゲッ!この表示、まさか…。
『ミッション:尋問室の人間と仲良くなろう』
《俺は何もやっていない!》
《そうです。俺がやりました。》
《糖分取りたい。》
…終わったわ。死んだ。これは、どれ選んでも微妙な空気になるやつだ。それに、2つ目とかただの自供だろ。
円居はこの状況から抜け出したくてたまらなかった。だから、普段とは違う答えを選んでしまった。
「…糖分、取りたい…。」
ある意味、現在の彼の切実な願いだ。
取り調べ中の容疑者の突然の発言により、尋問室の空気が一瞬止まった。ハッと正気を取り戻して桜井刑事の方を見ると、彼は呆然した様子で円居を見つめていた。
「糖…分…?」
「あ、えっと、すみません!」
円居は急いで自身の発言のフォローをしようとした。しかし、何故だか言葉が出てこない。
おかしいな。どんな状況であろうとも商談が出来るようにパターン別の発言の練習もしてきたはずなのに。
円居はふと、手錠をかけられていた両手を意識した。身体に温度は感じられなかった。
「…少し、休憩しないか?飴ならあげよう。」
固まってしまった時間を直したのは、意外にも刑務官の男だった。よく見ると彼の横にもピンクのメーターがあり、それが上昇している。
もしかして、担当さんって世話焼きなタイプなのだろうか。
「あ、ありがとう、ございます…?」
ご厚意は受け取った方が良いだろう。円居は刑務官から赤い包みの飴を受け取った。その後チラリと桜井刑事を確認したが、彼はまだ固まったままだった。
円居の視線につられて担当さんも桜井刑事を見る。担当さんはため息を吐くともう一つ飴玉を取り出した。
「桜井。お前も要るか?飴。」
その声で正気に戻った刑事は担当さんから円居と同じ飴を受け取った。
包みを開けてみると、中身はつつみよりも濃い赤色をしていた。円居は躊躇なくそれを口に放り込むと静かに噛み砕いた。
「…お前。すぐに無くす派か?」
気がつくと桜井刑事が俺をじっと見ていた。
「え?…ああ、はい。口に入れるまでは楽しいんですけど、その後飴を舐めている時間が勿体なく感じてしまうんです。」
素直に応じると、彼も飴を口に放り込んだ。
「確かにな。」
それだけ言うと、彼は慣れない様子で飴を噛み砕いた。
『ミッションクリア!尋問室内の人間の好感度の上昇を確認しました。今回上昇したのは「刑務官(担当さん)」と「桜井刑事」です。報酬:りんご味の飴』
美少女がぁぁあ!!出せなかったぁああ!!
次回は絶対に出そーっと∩^ω^∩




