1 どこまで歩いていけるかな?
猫の聖域 ねこのせいいき
つなとりんが一緒に過ごした、とても幸せで、大切な時間のこと。
あの、きらきらしてる不思議なものをね、集めて集めて、いっぱいになったらね、夢は叶うかな? 幸せになれるかな?
誰かと一緒にいたいんだ。
愛を探しにいきませんか?
猫の足あと
どこまで歩いていけるかな?
「あの、なにをみているんですか?」
ぼんやりと、綺麗に晴れ渡った青色の空を見ていると、そんな風に誰かに声をかけられた。可愛らしい小さな女の子の声だ。声の聞こえたほうを振り返ってみると、そこには誰もいなかった。(ちょっとびっくりした)……、でも、もっとよくみると、もっと下のところに一人の小さな女の子の子猫がいた。真っ白な毛並みをしているとても綺麗な子猫だった。その子猫の女の子はつなをみて、にっこりと優しい顔で微笑んでいた。
「空だよ。真っ青で、とても綺麗だったから」と女の子を怖がらせないように気を付けながらにっこりと笑ってつなは言った。(それでも、女の子は怖がってしまうかな? とつなは思った)
つなはとてもひどい見た目をしている猫だった。褒められるような顔はしていない。おばけのようだとよく言われていた。もともとぶさいくだし、それだけじゃなくて、片方の目がなかったし、耳も少しかけているところがあった。みんな、つなの顔を見るだけで、怖がったり、泣き出したりしてしまった。(それが、小さな子猫のころは、とってもかなしかった。私はみんなとなかよくなりたかったから)
……、でも、その女の子はつなを怖がったりはしなかった。(小さな見た目よりも、ずっと勇気があるのかもしれない)
女の子の子猫はつなの隣までゆっくりと歩いてやってくると、そこにちょこんと座って、さっきまでのつなのようにじっと、その美しい青色の瞳で、同じように美しい青色をしている晴れ渡った空を見上げた。
つなはなにも言わないままで、女の子と同じように空を見る。
……、なにもない青色の空。
その美しい空の色を少しの間、眺めてから、つなは女の子の子猫に「お父さんとお母さんはどこにいるの?」と聞いてみた。(まだ一人で外を出て歩くには、女の子の子猫は小さすぎると思った)
すると、「いません」と女の子の子猫は言った。
その女の子の子猫の言葉を聞いて、この女の子がお父さん猫とお母さん猫のいない、一人ぼっちの孤児の女の子の子猫であるとわかった。(それは、実はつなも同じだった)