タイトル未定2025/01/05 15:57
異世界への移住を懸念する存在達に、秘策を披露する霊的存在達。移住は何とか無事に終わり、二つの世界はそれぞれまた分かれたのだが…
前回のあらすじ のようなもの
異世界からのこっちに来ませんか~というお誘いに半信半疑の人他生命体。なによりこちらの世界のハラスメントの塊たちが追いかけてこないかという不安に二の足を踏む。しかし、霊的存在?たちには秘策があった…
『あーつまり、こっちに送り込まれる奴らは、アイツらのお仲間なわけよ。お仲間か増えて、アイツらは万々歳だろ、なにせ、勝手に自分らは迫害されたとか、被害者だとかわめいてんだ、少しでも同類が増えりゃ万々歳だろうぜ、キキキ』
と嗤う悪魔たち。
『移住希望の存在とほぼ質量ほかをもってますんでえ。交換したところで、早々バランスは崩れませんよう。ま、一点不安な面もあるがのう、それは長い目でみれば解決しますって多分』
とのほほーんという神?。
「ま、まーそういうことなら」
「急いで準備を~」
こうして宇宙的規模で前代未聞の大移住計画が始まった。
当たり前だが、荷物最小限、身一つ、葉っぱ一つで移住。だが
「あのー卵はいいですかあ、一つだけでもお」
『あ、カエルさん、一つって、あの、ジェル状のつなぎに卵が何個もあるのは一つなぎで一つとはみなしません、ダメですよ。あとあなた何年も生きる種類なんですから、一年生の方にその権利は譲って、移住後に繁殖してください」
などと細かな調整もあったが、おおむね問題も起こらなかった。
異世界からの追い出され組も
「ふん、俺たちのような素晴らしい存在を追い出すなんて、トンデモナイ世界だ。それに比べ、こっちの世界のドランプさんやらネタナントカは素晴らしい、こっちに来た方がよほどましだ」
「そうよ、そうよ、故アベノ様なんてなんていいヒトなの、生きてるときにお会いしたかったわあ」
と同病なんとやらというか、積極的に移住準備をしていた。引かれ者の小唄とか、やけくそなどという表現が似合わなくもなかったが、とにかく表面的には移住大歓迎の意を表した。とはいえ、若干の質量などの差が生じたため
『それじゃ、燃料デブリとかあ、核信奉者がお好きな再利用できそうなプルトニウムとかもこっちに引き取ってもらいますかあ。残る人たちは何とかできます、再利用可能とかのたまってる人たちですしい』
『ついでに超危険核兵器とか、廃炉になった原子炉とかも。居残りのトンデンとか原原電とかの電力会社の奴らはいつかできる出来るって言っていやがるんだろう。あんな地獄でも引き取れないものを何とかしますって言い続けてやがるんだ、宣言通り引き取ってもらえばいいぜ、ケケケ』
と、異世界で処置に困っていた核廃棄物などもどんどん運び込んだ。居残り組は
「ど、どういう…。た、確かに俺らはなんとかできる!逃げてく奴らと違って核を制御できるんだ、あんな馬鹿とは違う!」
「そ、そうだ、原発を新設する以上、その処理ぐらいできるわけだ、ひ、引き受ける」
と、空元気というか、見栄を張りまくって引き受けた。
そして、意外にも大した混乱もなく移住が終わり
20○○年12月31日
『いやあ、ちょうど、西暦の変わり目で完了。新時代の幕開けにふさわしいですねえ。では、世界の穴を閉じまーす、これ以降互いの世界への干渉はなしってことでえ。名残惜しいですが、さよならこっちの世界。二度と帰れない我が故郷。でも変質しすぎちゃって面影も残ってないんで、あんまり未練ないですう、さよおならあああ』
と最後にやけにながい神?さまと
『ヒ、ヒヒ、それじゃあ頑張りな』
あっさりした悪魔の挨拶とともに、移住完了。二つの世界の扉は閉じた。
で、元の地球だが
最初はお仲間同士で仲良くやっていたが
「な、なんで俺らの世話をする奴らがいないんだ、お、お前らやれ」
「なんて残った俺たちが。お前らはあいつらの代わりに来たんだから、家事だの掃除だの、修理だの云々はお前らがやれよ」
「こっちの世界のやり方なんぞ、わかんねえよ!お前らこそ、アイツらに任せっきりだったのかよ、情けねえ。なんもできん馬鹿じゃねえか。威張ってばかりで、料理一つ、マトモに出来ねえ」
「なんだと!俺は社長だ!」
「おれは首長だ!」
と争いが始まった。なにしろモラハラ、パワハラ、自分勝手に言いたいことを言って、やりたい放題、後始末を他人に押し付けてのうのうとしている連中、独りよがりの理屈をこねて自分の世話を親兄弟、配偶者にやらせていた連中、などばかり残り、また移住してきたのである。レンチン食材や缶詰を食べつくし、食器や空の容器が汚れたまま放置され、ハエがたかりだした。掃除もされない屋内外はゴミの山と化し、書類、衣服、他が散乱し、部屋中が埃だらけになり、道路はモノであふれかえって車も通れない。畑で農作物を作ることもせず、家畜の世話も放置されたままだった。
IT産業の社長たちが推し進めたスマート農業だのスマートなんちゃらだのも
「わー、また故障だ、メンテナンスはどうした!」
「メンテする連中はみんな移住しやがった、無能のくせに!」
「そいつらのが有能じゃねえか!なんでお前みたいな喚くだけの無能が残ったんだ、アイツらが残ればよかったんだ!」
「お前らこそ、メンテもできない奴が移住してくんな!」
とこちらも大混乱。
オマケに廃炉寸前の原子炉だのが壊れ、燃料デブリ、核のゴミだのが漏れ出した。さらに不衛生な環境で疫病が蔓延、しかし看病してくれるような人間もおらず…
ほどなく、こちらの地球での人類だのは死に絶えた。
その一連の出来事を眺めていたのは、異世界移住した神?と悪魔
『あー、なんか、やっぱり滅亡が早まりましたねえ。だけど、新たな生命の兆しがありますよお』
『やっぱり、やりやがったか。でもよお、神さん、これでよかったんだろ、ゴミが早く片付いたってわけで』
『まあ、ゴミはいいすぎかもしれませんけどお。やっぱり移住がなくても、こうなったでしょうからねえ。犠牲者が少なくて済んでよかったと言えなくはないですかねえ』
『俺らもあんまり清らかではやりにくいけどよお、あそこまでひどいと、やりようがないからなあ。悪いことして反省して生まれ変われます、ぐらいのやつがちょうどいいぜ。大量虐殺だの連続レイプ魔殺人だの、虐待の連鎖だのモラハラ夫に一家全員狂わされだの、はもう勘弁してもらいたい。あっても100年に一度ぐらいにしてほしいよ』
『ですねえ、悪魔さん、でもこっちの世界でもまたそういうのが増えるかもしれませんよ』
『そしたら、また似たような世界を見つけて交換すりゃいいだろ。そのほうが世界の浄化が早く進んで新世界もできやすいってもんだ』
『そうですねえ、これぐらいのイレギュラー、宇宙の法則に織り込み済みでしょうしねえ。では、そういう兆しがないか調べてみましょうかあ』
二つの霊的存在は故郷の世界を眺めるのをやめ、新世界に目を向けた。そこにはまだ、自然とほどよいバランスが保たれた文明世界が広がっていた。
どこでも、自分勝手な理屈で人を振り回す方はいますが、その方々は振り回された人々がごそっと消えたら、どうするんでしょうねえ。横暴に出てけとかいなければとか言ってますが、その通りにして差し上げたら、困るのは誰なんですかねえ。