約束を違えても、その志は曲げるな
今日、BBQをしてきました。たのしか・・・いや、猛暑過ぎた。
けれども、まだ風があったから良かったけど、身体の水分が持っていかれるのが分かった。
それより、こんなくそ暑いのにBBQとかアホなんじゃない?と思われたかもしれませんが
まぁ付き合いなのでそこは勘弁してくれ。
何十年ぶりに焼きとうもろこしを食べたんですが、やっぱり炭火で焼くとおいしいね。
ちょっと感動した。そして、ちょっとまだ早いけどささやかながら
桃を差し入れしてみんなで食べました。まだ早いかなと思ったけど結構甘かった。
やっぱり、暑いせいか熟れるのも早いってことかな。
楽しかったけれども、もっと涼しい所でやりたいと思った今日この頃。
肉の脂が口に残る感じをセ〇ンのルイボスティーで潤すとスッキリした。あぁいい思い出。
アルヴァンはギンガルに戻ってきた。しばらく帰っていなかったが町は何やらお祝いムードになっていた。町の掲示板に大きく『町の英雄レオ。ドラゴンを討伐する。』と掲げられていた。
『偉く立派になったものだな、あいつ。』
「おーい、テトさーん!」
そこへアルマが駆け寄ってきた。
「久しぶりですね。どこに行ってたんですか?」
『おまえは相変わらずだな。』
「聞きました?レオさんが偉業を成し遂げたこと。」
『まぁ見てたからな。』
アルヴァンは頷いた。
「すごいですよね。てっきりテトさんと協力して倒したんだと思ってたんですけど、レオさんってあんなにすごい力があったんですね。」
『・・・。あれは力なんかじゃないんだけれどな。』
アルヴァンは再び歩き出してアルマを横切っていった。アルヴァンが歩いていると次々に町の皆がレオについて聞きに来て鬱陶しかった。皆を振り避けてアルヴァンは家の方へ走っていった。
アルヴァンが家に着くとユリアが台所で何かを作っていた。ユリアはアルヴァンに気づき近づいてきた。
「アルヴァンさんどこへ行ってたんですか?心配しました。」
「お前は俺の保護者か!別に私用があっただけだ。」
「それって、レオさんのことですか?」
「まさか。俺はあいつの保護者でもない。」
「レオさんがドラゴンを討伐してくれたこと聞きました?もしかして、アルヴァンさんが助力を・・・。」
「してない。するものか。あいつ一人でやったんだ。」
「そうだったんですね。それがアルヴァンさんが隠していたレオさんの能力ってことなんですね。」
アルヴァンは正直に答えるべきか迷った。その能力の存在がイレイアの終焉に繋がっているなんて到底言えるはずもなかった。するとシドが影から現れて答えた。
「ユリア様。これで婚約が認められると思いますが、本当にあの者でよろしいんですか?」
「どうしたの?シドさん急に・・・もちろんよ。だって私のためにドラゴンを討伐して来てくれたのだから。」
「そうですか。素敵な式にしないといけませんね。」
シドがそういうとユリアは嬉しそうに笑った。けれども、アルヴァンはシドをじっと見つめて思った。
『そうか。シドはそっちの選択肢をユリアに推したのか。まぁそうだよな。おれらじゃ、まずこれから起きることを止められる保証もないもんな。』
アルヴァンは先日の古代魔法研究室でのことを思い出した。
テスカトリポカは幻想を見せられている最中アルヴァンに干渉してきた。
「兄さんの勇姿どう。本当に無様だよね。」
「そういえばお前ら兄弟なんだな。」
「そうだね、一応。」
「兄弟喧嘩なんてやめて穏やかに過ごせないのか。」
「それは互いの理想の正しい方が制すること。」
「あっそうですか。それで今度は何用なんですか。また時間を止めているようですが。」
魔導士も研究員も皆止まっている。
「約束の日を探りに来たんだね。てっきりもう知っていたのかと思った。」
「残念ながら下々はそこまでお利口ではありませんよ。」
「そうか。覚えておくよ。そうだね、それは簡単な話だよ。君も幻想は見ていたんだよね。兄さんね、今赤い星になっているんだよ。」
「赤い星?」
「それが再びここへやってくるのは一年後かな。まぁ近くなってこればわかると思うよ。」
「どうしてそれを伝えに。」
「だってそんなの決まっているじゃん。すでに終わったゲームになんて興味ないからね。」
「まだ終わってないだろ。それに俺を買い被りすぎだ。正直、俺はお前と遊びたくない。」
「いや、遊んでもらうさ。遊び相手を探すのって面倒だから本当にちょうどよかった。」
「フェアじゃないな。だったら、鏡の在り処教えろ。」
「やけに強気だね。嫌いじゃないけど。」
「そりゃどうも。」
「実はね。君のところの魔王くん、もう鏡の場所を分かっていると思うよ。」
「じゃあ、約束の日を待てばいいってことか。」
「どちらにしろ待つしかできないだろうね。その日にすべてが集まる。楽しみにしててね。」
幻想と共にテスカトリポカは消えた。
散歩に出て行くと言ってアルヴァンとシドは外に出た。そして、アルヴァンはシドに言った。
「お前って大人だな。」
「想い人との時間がそんなに残されていない状況だからこそ、その時間を大切にしてほしいただそれだけです。」
「それは演劇の影響なのか?お前もだいぶ魔物らしくなくなってきたな。」
「そうですね。そういう魔物らしくない主人の僕ですから。」
「はいはい、そうですね。」
アルヴァンはユリアにレオの居場所を聞いていたので林の方へ歩いて行った。そこに一本の木を目の前にして立っているレオの姿があった。何も持っていないが両腕を上に構えてそして振り下ろした。木は斜めに切れてゆっくりと倒れて行った。
『本当、恐ろしい能力だな。』
レオは後ろを振り向きアルヴァンに気づいてしばらく目が合った後近づいてきて言った。
「テト。お前が俺をこのギンガルに送ったんだよな。そして、今回のエンボス山までも。」
『だったらどうなんだ。それより、最初にここへ来たときに気づけよ。』
「お前の目的は何なんだ?確かに、旅立ったあの日俺がお前に弱音を言ったのは覚えている。それを聞いて遠くに飛ばしてくれたなら理解できる。けど、今回のエンボス山の件は明らかに無理があったと思う。死にに行けばいいのか?俺は?」
『そうだな。死んでくれてた方が良かったかもな。お前はいったい何者なんだ。』
レオは何かを悟ったのか冷静になってしばらく考えた後で話し始めた。
「いや、違う。おまえ俺の能力のことを知っていたんだな。」
『もうお前の能力をどうとか言ってる場合でもないんだ。後はお前の残りの時間を好きに生きろ。』
アルヴァンは踵を返し歩き始めた。
「ちょっと待てよ!やっぱりそうなんだな!」
テトは立ち止まり振り返りレオの方を見た。
『せめてあのお嬢さんにいい夢見させてやれよ。馬鹿勇者。』
アルヴァンは指を鳴らしつむじ風を起こした。そのまま移動魔法を唱えて飛んで行った。