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テト  作者: 安田丘矩
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まさかこんなところに手掛かりが

車の中の掃除で一日終えてしまった。

あの隙間ってどう掃除すれば正解なのだろうか。

掃除機で吸い込むのも限界があるし、粘着物でトリもちしても取れない

歯がゆい形で掃除完了するのが心もとない

そして、マット。運転席は蓄積された砂まみれ。叩くと砂埃と汚れが目立つ。

溶剤に付け置きして綺麗にはなったけど、砂がまだ出てくる。

汗まみれになりながら終わらせて、さらに気づく。ガラスの鱗取らないとな・・・。

もう、延長はしない。先延ばしで今度やると誓う。

住処に戻ってきたアルヴァンはフィンクスに問われた。

「おい、あいつは一体何ものだ?化け物だぞ。それに俺の覚悟を返せ。」


「臆せずに戦っても良かったんじゃないか。」


「あれはいわくつきの何かだ。」


「そうだな、いわくつきだな。」

アルヴァンはレオの正体についてフィンクスに話した。


「そんな奴を戦わせようとしていたのか、お前。」


「いや、強者を相手することは誉とかどうたらこうたら言っていたのお前だろうが。」


「それにしても、お前のところの魔王がまさか終末を引き起こしているとはな。」


「俺らは解決策を探っているけど何も。」


「そういえば父様から聞いたことがあるな。昔、我々ドラゴンが崇めるケツァルコアトル様が人間に力を授けた話。その人間はその力で世界を統一して平和を作ろうとした。

けれども、テスカトリポカはケツァルコアトル様を恨んでいた。テスカトリポカはその人間のことを知り与えた力をさらに強化すると唆した。その人間はその話に応じ化け物になってしまった。」


「おいおい、さっきから何の話をしているんだ。」


「その言い伝えに出てくる人間が得た力とあの人間の力が似ている気がするんだ。」


「その話は伝説だろ?」


「どちらも存命している。けれども、どちらも消息不明だ。ケツァルコアトル様はその化け物になった人間が世界を滅茶苦茶にしたことにより人間だけでなく神々にさえも咎められてしまった。それ以来、ケツァルコアトル様は姿を見せなくなったという。」


「そんな、迷信信じられ・・・いや違う。」


アルヴァンはこれまでのことを振り返り思い出した。それを察したのかシドが代弁して言った。

「その話が事実なら、テスカトリポカはスターフィッシュです。」


「じゃあ、ディオクレイシスは・・・元は人間だった?」


「すまないが、話はまだ続きがある。話に言っていた約束の日というのは供物を捧げる日だ。お前のとこの魔王がその供物を捧げることができなければおそらく死ぬのは間違いないが、たとえできたとしてもおそらく消えるだろうな。」


「なぜだ?約束の日を達成出来たら普通は解放されるのでは。」


「テスカトリポカはケツァルコアトル様が苦しむのを見たいし復讐をしている。たとえ、約束の日に達成できたとしてもテスカトリポカは魔王を消すだろう。

けど、お前のとこの魔王は相当長い年月を生きてきたと思うし、元は人間と考えると心身疲弊しているに違いない。だとすれば、この約束の日でどのような結末になってもおそらく終わらせる選択になるだろう。」


「そうか・・・じゃあ、ディオはこうなることを分かってて終わりにしたいと。けれども、それはテスカトリポカの策士にハマってしまったと考えたんじゃないのか。」


「結果的にはハマったのだろう。いや、違うな。テスカトリポカの策にハマったと気づいたけれども、それを受け入れたって考えるのが普通かもしれん。」


「なんだよ、ふざけやがって。俺らを利用した罪キッチリと償わせないと怒りが収まらない。」


「それと、スターフィッシュが人間に能力を授けた話だがそれは元々ケツァルコアトル様が授けたんだ。それにその能力は継受されなければ空に帰って行く。けれども、それさえもテスカトリポカは悪用しその願いを集めて今回の騒動に利用した。そう考えると辻褄が合うな。」


シドは少し落胆しながら言った。

「ケツァルコアトルが苦しむのを嘲笑うために・・・。アルヴァン様、元々詰んでいたんですね。今回の一件。私たちは泳がされていた魚のようです。」


「馬鹿を言え。俺らの目的ははっきりしただろ。スターフィッシュ、テスカトリポカを倒すこと。」


「何言っているんですか!相手は神ですよ。」


「一々騒ぐんじゃねぇ。けれども、本当に探すべきはケツァルコアトルだな。」


急な話の展開にフィンクスも困ったが残念そうに応えた。

「残念ながら、我々にも分からないのだ。すまぬ。」


「いや、お前に逢えてよかった。今まで話が捻じ曲がっていて本質にたどり着けなかった。」


「これでお互い貸し借りなしだ。」


「それに、長生きしろよ。今回戦わずに済んだんだからせめて孫の孫にもちゃんと会ってやれよ。」


「一々うるさいな。」


アルヴァンはティルド近づいて言った。

「よかったな。じいちゃんもう少し長く生きてくれるみたいだ。」


「そうみたいだな。ありがとうでいいのか?」


「うーん・・・礼はいらないかな。結局、成り行きで戦わずに済んだみたいだし。」


「お前にお願いがある。俺に稽古をつけてくれ。じいちゃんが強いって認めるんだから相手してみたい。」


「本当血は争えないな。けど、その前にお前じゃない。アルヴァン様と呼べ。」


ティルドは笑みを浮かべた。


それからアルヴァンはティルドの稽古に付き合った。ティルドは若いドラゴンにしては一つ一つの動作を考えながら攻撃している。ただ、死角を作ることがあり、すぐに頭に一発打撃を与えられてしまう。


「広範囲にブレスを撒きすぎだ。ピンポイントに顔だけ狙え。避けられるようだったらそのままさらに上空へ。」


ティルドはアルヴァンの指摘に付いて行くのがやっとだった。そして、さすがに4時間経ち疲れて地面に着地した。


「はぁはぁ・・・さすがに連続で躱したり攻撃し続けるのは無理だ。」

ティルドはかなり疲弊していた。


「まぁまぁだな。ドラゴン特有の大胆さがあるが、長期戦に持っていかれたら完全に負けているぞ。今回は稽古だが、長期戦になるようだったら広範囲にブレスを撃って一目散に逃げろ。分かったな。その後相手の出方を考えればいい。」


ティルドはアルヴァンの底なしの力量に驚かされていた。決してドラゴンは弱くないが、アルヴァンはその動きをしっかり捉えたうえで次の攻撃を予測しあえて死角になるところへ回り込み攻撃している。ティルドは脱帽した。

そして、その様子を嬉しそうにフィンクスを遠くから見つめていた。


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