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テト  作者: 安田丘矩
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倫理や道徳の授業って蔑ろにされがち。本当は必要になのにね

コーヒーが近い未来なくなる話を聞いたんだが

地球温暖化でコーヒーが育たられなくなり生産量が半減して

これを「2050年問題」と言っているそうです。

コーヒーが高級品に変わってしまう?高級品に戻ってしまう。

基本、赤道付近の環境でないと育たたず、葉焼けや害虫被害に悩まされているとか

そうか、食後のコーヒーがなくなってしまうのか・・・食後の紅茶に変えないといけないのか

けど、コーヒーだけじゃなくて地球温暖化で野菜だったり魚だったり取れなくなってしまうものも

出てきている現状でこんなスケールがデカい話されてもどうすればいいのか困惑する。

食べれなくなったら違うものを食べればいい。飲めるものがなくなったのなら、違うものを飲めばいい。

人間、そうやって本能的に生きてきたのでは。

現在、ベルリッツ王国はエネヴァーの支配のもとで統治が行われた。地方は現状はむかわなかった領主に統治を任せているがエネヴァーの配下の魔物がそこに派遣されて監視および反逆者の削りが行われていた。


アルヴァンたちが訪れた街リンドンでは魔物の拠点として人間は魔物に服従し逆らうことも、何をされても抵抗できない状況になっている。もちろん、魔物の中には食人を好むものもいるため女、子供が日々犠牲になっている。


たとえ、そこから逃げ様なら警報音が鳴り魔物たちが狩りの時間だと騒ぎ追跡する。捕まったら最後その場で生殺しにされる。そして、また母子が捕らえられ身を小さくしながら母親は子供を安心させるために声をかけるが体が震えている。数匹の魔物に囲まれている中で母親は死を覚悟している。


「はいはい、ご苦労さん。」

そこに現れたのはグラッツという幹部の魔物だった。


グラッツはエネヴァーと協力関係にあり手伝う代わりに遊ばせてもらっている。見た目は水色の長い髪、体格のいい青年の形をしているが本来の姿は悪魔だ。水色の悪魔と呼ばれ、呪いの呪文を唱える。


その呪文を受けた対象者は知らない間に切り刻まれている(悼み)。

痛みはなく、切開された断面から血が流れ落ちる。そして、その苦痛を思い出させる呪文(嘆き)を唱えられると今までの切り刻まれた痛みがすべて対象者に返ってくる。

シンプルであるが回避方法がなく呪文の対象にされたら最後その苦痛から逃げることができない。


「あのさぁダメだよ。逃げたら。逃げたところでどちらにしろ死ぬんだから。」


グラッツは母子に近づいていく。すると母親は子供の口に何かを入れようとした。


「悼み。」


母親の腕が落ちた。その光景を目の前で見た子供は目の前が真っ白になり怯えが止まった。母親は腕が落ちたにもかかわらず痛みがない。その奇妙な違和感に悲鳴を上げた。


「だめだよ。変なことしちゃ。メインディッシュは丁寧に下ごしらえしないと。」


グラッツは母親の胸ぐらを掴んでそのまま宙で魔法を唱えて固定した。母親がこんな状況にもかかわらず子供は全く動かない。


「さてと。お前たち褒美を上げようか。一番最初に捕獲したのは?」


魔物たちは一斉に騒ぎ出して自信をアピールした。


「そうかそうか、みんな頑張ったのか。上司として誇らしいぞ。なら、食べやすいようにしなくちゃね。」


母親は泣きながら「やめて!」と叫ぶが身体が動かない。お構いなしにグラッツは呪文を唱えた。


「悼み。」

四肢を断絶。腹を裂き内臓を部位ごとにカット。


「嘆き。」

母親はとてつもない痛みが頭を焼き付き声にならない悲鳴を上げて死んだ。


「最後に首を刎ねて、頭部は真っ二つに。」

手刀で切り、母親は見るも無惨な姿で地面に崩れ落ちた。


「さぁお前たち、召し上がれ。」


魔物たちは一斉に亡骸に飛びつき食べ始めた。グラッツは子供の目の前に行き子供の顎を手でそっと上げて言った。


「怖かったね。大丈夫。もうすぐ楽になれるから。」


子供の手を引いてグラッツはリンドンへ戻って行った。




王国兵団駐在所は現在魔物たちのアジトになっている。グラッツは食事の真っ最中だった。先ほどの子供は料理人の手によって調理されフルコースとなってグラッツの前に並べられている。


「子供の目は実に美味だ。柔らかい触感に中がトロっとして最高の味わいだ。」

グラッツは堪能しながら料理人に話しかけた。


「もったいないお言葉です。」

料理人は道徳を捨てて、グラッツのもとで料理人になることになった。


バラバラになった子供を見るのはもう慣れグラッツの好みの味に調整し提供している。拒むことができず初めの頃はその残骸を見て嘔吐や耳鳴りに襲われたが、思考を牛や豚を調理することと変わらないと変え、調理するようになった。はじめはグラッツから味の注文を受け戸惑っていたが今はなぜかグラッツがご満悦になると料理人は不思議と達成感に満たされていた。


「魔物ではこの繊細な味が出せないのが残念なんだよね。ほんと君がいて助かるよ。明日は・・・そうだな・・。心臓と脳の創作料理を頼むよ。」


「かしこまりました。グラッツ様。」


すると、食堂の扉が開いた。そこに現れたのはメージだった。

「グラッツ様。お食事中申し訳ございません。」


「おやおや、エネヴァー君の執事メージ君か。正直要件は後にしてほしいな。」


「では、一言だけ。アルヴァン様がイレイアにいました。」


グラッツは手を止めた。

「そうか、ここ数年見ないと思っていたらイレイア国に。それで、彼は何していた?」


「イレイア国と共闘して我々の魔物と部下を排除。そして、ギンガルという町を拠点にしているそうです。」


「戦ったんだ。」


「雑魚ですがね。」


「雑魚じゃないでしょ。シド君だって自己犠牲で戦われたら結構いやだよ。だから、メージ君も帰ってきたんでしょ。」


メージは何も言い返せなかった。


「それで、エネヴァー君はそれについてどうするって?」


「おそらく、魔王様の依り代を持っている可能性が高いと判断しました。」


「そっか。やっぱりアルヴァン君は知っててイレイアにいるんだ。僕と同じ食いしん坊だと思ってたけど侮れないね。」


「つきましては、ベルリッツ王国の首都で会議を行いますのでご参加をお願いします。」


「いいよ、出なくても。分かったって言っといてくれれば。どうせ、イレイアに行くんでしょ。僕はアルヴァン君に会いたいから参加するし。」


「ですが、ちょっとその件とは別でお話があるので、恐縮ですがご参加お願いします。」


「じらすんだね。わかったよ。」


「ありがとうございます。」


グラッツは嬉しそうに付け合わせの膵臓のオリーブ煮を口に入れた。


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