ドラゴンは小学生の憧れ
やっぱりファンタジーものにはドラゴンでしょう。
ドラゴンって聞いてイメージわきやすいし、
他に強そうな魔物で想像つきそうなものっていないですね。
例えば、トロール。ハリー〇ポッターでは鼻に杖突っ込まれてた。
けど、トロールのイメージだとドラクエのイメージが強くて、
おにこんぼう配合で作ってムドーだった作ってた気がする
脱線しましたけど、皆さんが想像できる、イメージしやすいものって重要だと思います。
だから、ドラゴンってイメージ的に強いし、かっこいいし、便利だと思う。
じゃあ次にイメージしやすものってなんだ?
フェニックス?死霊の騎士?デスタムーア?結局ドラクエかい!
レオの家での一悶着の後でシルバの家でユリアとレノヴァ、ジェイス、アルヴァンで話し合いをすることになった。
「まず、テトさん。あなたお父様に告げ口したわね。」
アルヴァンは目を逸らした。
『ちがうもん。ユリアがお父様に宛てた手紙を持って行っただけだもん。』
「ユリアよ、なぜなんだ。そんな安直に物事を決めるようなことを。」
レノヴァは寂しそうだった。
「私はこの町に来て人々と暮らしながら一貴族という立場でなく一人の個人として生きたいと思いました。そして、レオさんは一見頼りないかもしれませんが、優しく私を助けてくれます。これから先も二人でいろんなことを積み重ねながら生きていきたいと素直に思えたのです。」
『どこにそう思わせるようなことあったんだ?』
アルヴァンは腕を組んで考えた。
「とはいえ、そう簡単には認められない。一時の感情で揺れているようなことであるならなおさらだ。」
「お父様の要求を聞かせてください。」
「もちろん爵位を得てほしいのは本音だ。けど一番にユリア、おまえ自身をどんなことがあろうと守れるかどうかだ。今、この緊迫した状況だからこそだ。」
「具体的にはどういうことですか。」
ユリアは戸惑いながらレノヴァに問いただした。しばらく考えた後でレノヴァの口が開いた。
「ドラゴン退治だ。」
「ドラゴン退治って・・エンボス山のですか?無茶です。その偉業を達成した人間なんて手で数えるほどしかいません。それに単独で成し遂げたのはたった一人カイノス様だけですわ。」
『そうなのか?あいつドラゴンまで手を付けていたのか。やるなぁ。見直した。』
「テトさん?」
「お前も先日魔物の襲撃があった時感じただろう。あまりに無力だと。私だって、いくら力を保持しようと敵わないと不安に思う。だからこそだ。一番に立ち向かえるのか否かだ。」
『レノヴァの言っていることは一理ある。特にレオは戦闘から逃げてきたからなおさら心配するだろう。』
「それは・・・レオさんには私からお伝えすればいいのでしょうか。」
「いや、後日正式に書面にてあの男に送ろうと思う。それで、逃げるような男など言語道断だ。」
レノヴァは強気だった。ユリアはそれ以上言っても考えが変わることがないと思い何も言い返さなかった。
その後、アルヴァンがレノヴァとジェイスとお付きの人たちを送り届けた。戻ってきたアルヴァンにユリアは問い詰めた。
「ねぇアルヴァンさん。教えて。レオさんとのことを許さないのはレオさんに秘密があるからなんでしょ。」
アルヴァンは困った。
「確かに秘密があるが教えられない。ただ、結婚に反対なのはあいつが弱いからだ。だからこそ、レノヴァの言っていることは間違っているとは思えない。」
「前から気になっていたんですけど、そもそもアルヴァンさんとレオさんってなんで一緒にいるんですか?理由もなく一緒にいるわけじゃないですよね。それは今回の魔物の襲撃の件と関わっているのでは。以前レオさんから元々ベルリッツ王国出身といってたことからこっちに逃げてきたと考えるのが普通だと思いました。」
「知ってどうする?それを知ったらお前とも敵になる可能性があるって言ったら。魔物は本来本能的に生きて、欲望のままに動く。それは俺だって例外ではない。俺の場合は敵意あるものを殺すし、実際に大多数の人間を殺めてきた。それが魔物だ。」
「じゃあレオさんは、アルヴァンさんにとっては脅威なんですね。」
「脅威ではない。けど、厄介者だな。だからこそ、こいつとくっついてほしくない。」
「じゃあ私も欲を言います。私は私の理想を叶えたいです。」
「ほんと、わがままだな。ところでエンボス山のドラゴン退治って。」
「イレイアでは時々ドラゴンの被害があります。基本的には発情期と育成期の時の雄や雌の気性が荒く生息地であるエンボス山の麓まで下りてくることがあります。現在では退治じゃなく追い払う方法が確立されており、被害はだいぶ最小限に抑えられています。けど、稀に群れの中に優れたドラゴンが生まれより統率された行動をするようになります。それを退治するために冒険者や魔導士たちが招集されます。ちなみに前回退治したのはお父様たちです。」
「まぁ俺を越えてみろってことだったのか。」
「ドラゴンは万病やケガを治癒する特効薬を作ることができます。現在優れたドラゴンは確認されていないので単純にドラゴン退治をしてみろと言うことでしょう。」
「ようやく、あいつも冒険者らしいことができるんだな。いいことだ。」
「アルヴァンさんはレオさんをどうしたいんですか?」
「別にどうもしない。強いて言えば少しは勇者らしくしろってことかな。」
「じゃあやっぱり、レオさんはベルリッツの勇者だったんですね。」
「あっ。」
シドが呆れて影から出てきた。
「アルヴァン様ってほんとちょろいから駄目です。」
「おまえなぁ。」
「じゃあレオさんも能力を持っているということ。それはあの魔物を殴ったことと関係があるんですか。」
「ユリア様。あの者は確かに能力を保持しています。けど、我々はその能力の詳細を掴めておりません。それ故に他の魔物に狙われることもあり、その能力を奪われる危険性をおそれこうして一緒にいるという次第です。」
アルヴァンはシドをまじまじと見た。『よく淡々と言えるなぁ、こいつ。』
「そうだったのね。けど、私はどうなるの?私も能力者よ。」
「ユリア様の能力は魔物に奪われることはまずないです。けど、能力の存在が判明したとき利用しようとする魔物が現れる危険性があります。その能力は人間が使うことで意味のある能力なので。」
「じゃあ私はアルヴァンさんやシドさんにとっては利用価値があるということ。」
「それは・・。」
シドは言葉に詰まり、アルヴァンが代わりに話し始めた。
「確かに利用価値を感じているのは本当。けど、単純に人間と交流するときの手助けになってくれる程度にしか思っていない。むしろ、それを利用して征服だの脅すだのすることは一切考えてない。」
ユリアは少し微笑んだ。
「やっぱりアルヴァンさんね。」
「とにかく、分かってもらいたいのは俺らはその能力の存在を知りたい。そして、あいつらのやっていることを阻止したいそれだけだ。」
「わかったわ。けど、まずはレオさんがドラゴン退治に行ってくれるかしら・・・。できることなら危険な真似はしてほしくないけど。」
「あいつなら、絶対やるだろうな。単細胞だからな。」
「アルヴァンさんって厳しすぎない?」
「いいんだよ。男ってもんは女のために見栄を張るもんだ。」
「アルヴァン様・・・どこでそんなこと覚えてきたんですか。」
「知らん。俺が考えた。」
その次の週にレノヴァからレオ宛てにドラゴン退治の依頼が入ってきたのだった。