障壁が大きいほど恋は燃えるはただの妄想。ただ大変なだけ
ついに蚊が出てくるようになりました。
昨日、窓開けていたら数匹の蚊が侵入していたみたいで
寝る前に何とか駆除しとかないと安眠が・・・。
一応、蚊取りはあるんですけど、ベー〇マットね。線香ではないです。
やっぱり臭いじゃん、あれ。極力使いたくないけど蚊には刺されたくない。
このめんどくさい感情を打破するためにしばらく気をとがらせて待ち伏せ。
最近、遠近感がクソなのか潰すのをミスりがち。
確実に仕留めてぐっすり眠りたい。
「呼び止めてすまないがちょっと確認したいことがあって来てもらった。」
アルヴァンはシルバに呼びされて警備隊の基地にやってきていた。
『あれ?俺なんかしたのか・・・こわい。』
するとシルバは机の上にとあるものを置いた。少し匂うが何かの食べ物だった。そして、アルヴァンはその食べ物を見て分かった。
『あっ、これ尋問だ。疑われている。』
「先日の魔物が大量発生した件だがどうやらこのエサが巻かれていて意図的に集められた可能性があるとみている。」
『そうです。』
「何か心当たりないか?」
アルヴァンはそのエサをじっと見つめてわざと首を傾げた。
『いや・・・悪意はないので許してほしいんですが。』
「そうか。ここイレイアでは魔物の襲撃がいつあるか分からない緊迫した状況が続いている。疑いたくないがおまえも例外ではなくならないよう気をつけてほしい。」
『これ完全に疑っているよ。そもそも、疑っている相手を単独で呼び出すか普通。』
「そして、話は変わるのだが・・・。」
シルバはアルヴァンに近づき言った。
「ユリア様はあの男に求婚されたのは真か。」
『あぁ・・・そっちね。』
アルヴァンは頷いた。そして、シルバは頭を抱えた。
「どうしたものか。レノヴァ様に知れたら大変なことになりかねない。」
『ごめんなさい。もうすでに知ってる。』
「そもそも、なぜ一つ屋根の下でお前も暮らしているのに阻止できなかったのか?」
シルバは鋭い目で訴えかけた。
『それは、面目ないと思っております。』
アルヴァンはなぜか畏まった。
「どちらにしろ自発的に諦めていただきたいところだがいい方法はないか。」
『あの・・・相談する相手が違う気がするんですが。』
アルヴァンは困惑したが、レオからユリアを引き離したい気持ちは一緒だったのでアルヴァンはカエルからとあるチラシを差し出しシルバに渡した。シルバは受け取り内容を読んだ。
~サンブライド協会主催 男女交流パーティーの案内~
場所:カイノス東サンブライド協会敷地
参加費:教会への心づけ
男女の新たな出会いの場。あなたの運命の相手を見つけよう。
「おまえこれどこで手に入れたんだ。」
『風と一緒に飛んできた。』
「まぁ言いたいことはわかる。ユリア様とは別にほかの女性との出会いを促すということだな。」
アルヴァンは頷いた。
「まぁさすがに王都へこれに参加するのは難しい。なら、ギンガルで開催すればいいか。」
『えっ?ここで?』
「最近またギンガルの人口も増えたことだし、こういうパーティを開催するのもいいんじゃないか。」
『なんか方向性がズレてきているような。』
アルヴァンは何も言えなかった。
あの失態以来レオの様子がおかしい。朝起床すぐに剣の素振りをしはじめ、時間があるときには筋トレ、冒険者の仲間と稽古をするようになった。
家にいるときにやたらユリアに絡みだし、
「リリアさん、これ洗っておくから休んでいて。」と代わりに洗い物をしたり
「今日はお家で食べようか。何食べたい?」と聞いてきたり
ユリアも満更でもなく、嬉しそうにレオに応える始末。そもそも、求婚してから自分磨きとアピールをし始めるこいつは一体何がしたいのか、アルヴァンは理解に苦しんでいた。
そんなある日、
「あの・・・どちら様で。」
玄関でレオが応対していると
「き・・・貴様!娘をたぶらかしやがって!!!ゆるさぁぁああん!」
やって来たのはレノヴァだった。レオの胸ぐらを掴みそのまま押し倒した。
『ついに来たか。さぁこいつどうするかな。』
アルヴァンは細い目をしながらその様子を見つめた。
そして、音を聞きつけてリリアが出てきた。
「お父様!何をしている!」
「ユリア!お前は黙っていなさい。私はこの男を成敗する。」
「やめて、そんなことするお父様なんて嫌いよ!」
その一言にお父様は固まった。そして胸ぐらを離し立ち上がり棒立ちになった。
『おいおい、娘に弱すぎるぞ。それでもイレイアを代表する大魔導士様かよ。』
レオは震えながら後ずさりした。
「この方って・・・リリアさんの・・・。」
「そうです。私のお父様です。父がひどいことを。」
レオは棒立ちになるお父様と目を合わせながら会釈した。
レオは客間に案内して、アルヴァンはレノヴァとジェイスと一緒に椅子に座った。
「それでご用件は・・・。」
緊張しながらレオは言った。
レノヴァはショックだったのかまだ話せそうになかったのでジェイスがアルヴァンの顔を一度見てから代わりに話し始めた。
「シルバから手紙を受け取りまして、レオさんがリリアお嬢様にプロポーズしたと。それでそれを知った旦那様が居ても立っても居られず参上した次第です。」
『ジェイス気を遣わせたな。』
ユリアは少し考え始めた。レオは頭の後ろを掻いてそして言った。
「そうでしたか。こちらこそ、ご連絡が遅れてしまい申し訳ございません。本来でしたらこちらから伺うのが道理だと。」
「いえ、王都の方では警戒体制に入っておりますので参上するのは無理かと。こちらもお嬢様がお世話になっていますので、こちらこそ一度お話しする必要があったと思いまして。」
「あの・・・。それでジェイスさんとリリアさんの関係は?リリアさんから聞いてた話は嘘なんですよね。」
ジェイスは頭を抱えたときようやくレノヴァが話し始めた。
「はじめまして、レオさん。私はイレイア国の魔導士、レノヴァと申します。ユリアの父です。」
「はじめまして、レオと申します。レノヴァってあの国の大魔導士様でしたか。ってえっ?」
リリアが話し始めた。
「隠しておけませんね。そうです、レオさん。私は大魔導士レノヴァの娘で本当の名前はユリアと言います。ジェイスは私の家の執事です。私がこのギンガルに来たのは王都での魔物の侵入があった折、疎開する目的でこのギンガルに来ました。もちろんその時テトさんの助けもあってここに来たんですが。」
その時レオはアルヴァンを見たがアルヴァンは目を逸らした。
『こっち見んな。』
「襲ってきた魔物は知性が高く、私の身元を知られるわけにもいかないため偽名と身分を装いこの町に来ました。」
「そうだったんですね。大変だったんですね。」
レノヴァはレオに言った。
「それでレオさん。それを踏まえて言います。プロポーズを下げてもらえませんか。」
『おっつい本題か。』
アルヴァンはワクワクしている。
「それは、どう言う・・・。」
「私は結婚には反対だ。ユリアの身分を隠している以上婚約などできまい。それこそ危険を強いられる可能性だってある。」
「それは身分を隠してでもダメなのでしょうか。」
『そもそもお前、身分を隠せるほどの地位も名声もないだろ。』
アルヴァンはレオを呆れた目で見つめた。
「我々は貴族です。二人が愛し合っていても超えないといけないハードルはある。それを理解していただきたい。」
『うんうん。現実は厳しいものだ』
ユリアはアルヴァンがお父様とグルであると察し返答に迷うレオの前に出た。
「お父様ずるいわ。私はレオさんと一緒にいたいのよ。それに貴族だからなんて関係ない。そのハードルを押し付けないで。」
「とんだわがまま娘になったものだな。私もお前の幸せを優先したい。けれども、立場というものがあるんだ。それは令嬢として生きてきたお前も見てきたのだろ。ユリア、お前もわがままを言うのなら私もわがままを言おう。私は大魔導士レノヴァだ。この国の防衛を担う者であり威厳たる存在であらんこと。どうか理解してほしい。」
レオはその言葉を飲み込んだ上でレノヴァに言った。
「つまり、お嬢様と結婚するためには旦那となるものの器量と成果が欲しいということですね。」
『お前自分が何言っているのか、分かっているのか?』
アルヴァンはレオに呆れた。
「最低限の話だがな。」
レノヴァはこれで諦めるだろうと少し余裕そうな表情を見せた。
「分かりました。」
レオは根拠なく返事をした。
「レオさん。」
ユリアは心配そうに見つめた。
「お父様に認められるように行動いたします。」
「お前にお父様呼ばれる筋合いない!」
レノヴァは全力で否定した。