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テト  作者: 安田丘矩
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建設的に関係を築く方が夫婦円満でいられる

お店で食べるカレーって基本、具が小さかったり、トロトロに煮こぼしていたりしますよね

お家でのカレーだとじゃがいも、にんじん、ゴロゴロと。

お肉に玉ねぎ、ナスと具沢山に作るから見た目の温度差を感じる

追加トッピングできるお店だと野菜とか玉子とかつけるんですけど

ご飯とルーだけだともう・・・飲み物みたいに食べてします。

そして、ちょっと物足りなさを感じてしまう。

けど、よくよく考えると具沢山のカレーを提供してくれるお店ほど稀有なことなのか。

あまり見たことないし、こだわり野菜を使ったカレーを唄っているところでしか見たことないかも。

今度、そこに着目してお店を探してみようかな?

戦闘不能状態になったレオは冒険者たちに肩を揺らされながら、楽しんでいるのか苦しんでいるのか分からない。ただ時折、にやける顔は何を意しているのかとアルヴァンは遠目で見ていた。


「あっ!テトさん!」

そこへユリアが気づいて近づいてきた。アルヴァンの横に座りそっと近距離で話し始めた。

「来ていたんですね。ごめんなさいね。二人っきりで食事に出てしまって。」


「いいや、気にしてない。むしろすっきりしている。」


「すっきり?」


アルヴァンは焼いたそら豆を手に取り豆をさやから取り出し一気に3粒パクリと食べてしまった。


「リリアちゃん。楽しんでる?」

そこへクレアがやってきた。


「クレアさん。えぇ・・・けどレオさんがあの調子なので。」


「ほんとバカよね。」


『まったくだ。』

アルヴァンはウサギのもも肉の串を食べ始めた。


「それでね。クロちゃんからリゼ・オークリルの~ヘドリングに伝えて~をもらったのよ。」


「えぇそうなの?なかなか手に入らないのよね。」


「そうなのよ。クロちゃん私がこの作者のこと気に入ってるって話したから買ってきてくれたのよ。」


ユリアは不思議に思いアルヴァンに聞いてみた。

「アルヴァンさん、王都であの本買ったんですか?クレアさんのために。」


「俺は紳士だぞ。」


「そうでしたっけ?」


「おい。」


クレアが前のめりユリアに話し始めた。

「それで、ぜひこの本のすばらしさを伝えたいのよ。だから、この後私のうちに集合ね。私、すぐ店の片づけしてくるから。」


「何話してるんですか?まぜてくださいよ。」

そこに男談議が盛り上がり居場所を無くしたカトレアが合流した。


「カトレアちゃんも今日はうちに集合ね。」


「何するんですか?」


「女子会よ。」


『女って生き物はほんとこういうの好きなんだな。』


「テトさんも行きますか?今ならハーレムですよ。」

ユリアが冗談交じりに聞いてきた。


「えっテトさんも来るの?うわぁ楽しみ。」

カトレアは喜んだ。


『誰が行くか!』

アルヴァンは残りの肉を平らげてそのままバルを出て行った。


「あっ、食い逃げ!」

カトレアは頬を膨れさせた。


「いいのよ。たぶん、恥ずかしかったんじゃないかな。」

クレアはにこにこしながら言った。


「きゃーかわいい。」

カトレアも嬉しそうだった。


店を出たアルヴァンは人通りが閑散となった町の大きい通りを闊歩していた。

「まったくあいつら、おちょくりやがって。」


警備隊の一人とすれ違いてアルヴァンに手を振ってくれた。アルヴァンは軽く会釈した。


「俺は魔物だっていうのに。まったく。」


夜風が町の隙間を吹き抜け、どこかに潜んでいる虫の声がわいてくる。そして、アルヴァンは足取りを止めた。


「あいつ・・・行ったな・・・。」


シドはユリアの影に忍び込んで女子会に参加しに行ってしまった。アルヴァンはため息をついた。


「まぁいいか。」


アルヴァンは人気がないところで移動魔法を唱え王都のレノヴァの家に飛んだ。




「あの・・・テトさん。いくらなんでもこんな夜遅くに来られても・・・。」

レノヴァは迷惑そうに言った。


アルヴァンの移動魔法はまず城壁に貼られている魔力結界を突破し異常信号が飛び交う、そしてレノヴァの家の結界に接触しレノヴァの家の警備が騒ぎ始める。王都の警備兵はパニックになり状況確認やらすぐに城の兵を招集しはじめ臨戦態勢となった。


普通にレノヴァの屋敷に到着したアルヴァンは屋敷の警備の人たちに囲まれ、終いにはレノヴァが直接出てくる始末。おかげで、急いで城の各部署への伝達を行い事態を鎮めることとなった。そのため、終息させるのに深夜をまわった。


「来るときは昼までにかつ私の紋章を城壁の警備兵に見せてほしいと言ったでしょう。」


『忘れてた。』

アルヴァンは頭を搔いた。


「ただでさえ先日の件がありなおさら、ギンガルでも襲撃があったとかでこの国も危うくなっております。どうか、行動には十分気をつけていただきたい。」


『さすがに怒られるよね。』


「ところで何用ですか。」


『まぁこんな夜遅く早く帰ってほしいってことか。』

アルヴァンはカエルから一通の手紙を取り出した。


「なんですかこれ?・・・ユリアからですか?」




拝啓 親愛なるお父様

御変りはございませんか。こちらは先日騒ぎがありましたがテトさんが守ってくださっているので大事にはなりませんでしたので大丈夫です。

いつも貝殻で話していますが、どう言葉で伝えればいいのか迷った挙句お手紙をしたためました。

この度、私ユリアは求婚されました。お相手は・・・




レノヴァの方がぶるぶると震えだした。アルヴァンはまずかったかなと思い扉の近くへ逃げた。


「あの・・・あの男ぉぉおおおおおお!!!娘をたぶらかせやがってぇえええ!!!!!」


『あぁこれやばいやつだな。』


「ジェイス!!ジェイスはいるか!!!!」


その怒号にジェイスは急いでレノヴァの部屋の扉を開けた。

「いかがいたしましたか?旦那様?」


「至急ギンガルへ向かう!一大事だ!!!」


「はぁ?何をおっしゃっているんですか?明日、各統治者への安保協議が!」


「そんなの副代表に任せろ!こうしちゃおれん。すぐに出る準備だ!!!皆を起こせぇええ!!!」


アルヴァンは部屋から出ようとしたがジェイスがそれを阻み詰め寄られた。

「ちょっと!テトさん!!!一体なにがあったんですか!!!!!旦那様ヒステリーなんですけどぉおお!!!」


『いや、それ言っちゃダメなやつ。』


アルヴァンはしばらく尋問にあいながらも何とか逃げてギンガルへと戻って行った。



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