酒を無理やり煽ってくる奴はほぼ敵
やっぱり、お酒の付き合いが多くなったのは大学の頃かな
まぁゲロッたり、泥酔したり、気をつけていても飲み方も知らない若造じゃあこんなもんですよ
その時、異様に武勇伝みたいに俺飲めるんだぜアピールする奴がいたけどあれなんだったんだろう
お酒の飲みすぎはよくないです。適度に楽しみましょう。
そういえば、当時はチューハイとか果実酒を飲むことが多かったけど
ちょっと見え張って焼酎とか日本酒に手を出して飲んでたことを思い出した。
まぁ苦かったり、特別おいしいものではないなと思いつつ飲んでたっけ
今じゃ普通に飲めるし、おいしさも分かるようになった
それは単に歳をとったんだぞと言ってしまえばなんか嫌だ。
元から味わって飲んでいましたけどと、今からでも見えを張っておこうかな
東の森の入り口。日が陰りだして冒険者たちは討伐した魔物の回収作業をしていた。
「これって顎取らないといけない?」
「顎取る前に虫酸を取らないと危ないぞ。」
「獣は今日ばらす?」
「明日にしておけ、とりあえず血抜きして魔物除けを張っておけばいい。」
「この角もらっていい?アクセサリー作ろうかなって。」
「こっちにもあるぞ。」
「そんなにもいらない。」
「それ、結構高く売れるぞ。」
各々で片づけをする冒険者をよそにシルバは今回の事件の調査報告書のために発生した魔物のチェックをしていた。
「シルバ、お疲れ。」
今回の件の様子を見にゴーダンがやって来た。
「お疲れ様です、ゴーダンさん。」
「一通り終わったみたいだな。」
「えぇまだ被害状況の確認はまだですが、冒険者の軽傷だけで済んでいるともいます。近隣の農家や町人への被害はなそうです。」
「それはよかった。」
ゴーダンは冒険者たちが作業する様子を見た後で再びシルバに話しかけた。
「今回の件どう思う?」
「一時的に魔物が発生することはよくありますが、短期間で魔物が集まって暴動し始めるのは珍しいですね。何やら意図的に集められたような。それと解体した魔物の身体から明らかにこちらでは存在しない食べ物を食べていたことからやはり、意図的に集められた可能性があります。もしくは召喚されたか。」
「先日の襲撃もありギンガルも物騒になって来たな。」
「もう日が暮れますので残りは明日に回します。ゴーダンさんは各冒険者への手続きをお願いします。」
「あいよ。」
ゴーダンは冒険者たちに向かって大声で言った。
「おーいお前ら!今日は終いだ。一度警備隊基地に集合してくれ。」
冒険者たちは大きく返事をした。冒険者たちは動き出し町へ帰っていく。シルバだけは解せない顔でその後ろをついて行った。
『先日の魔物の残党の置き土産と見るか・・・それともあいつか?だとしたら、目的はなんだ?』
シルバは明日アルヴァンに問い詰めてみることにした。
そんなことは知らず、アルヴァンはレオとユリアを尾行していた。
「今日は二人っきりなので新鮮ですね。」
「そうですね。でも、テトさんを連れて来なくてよかったんですか?行きたそうでしたけど。」
「いいんですよ。たまには二人にきりになったって。それに勝手に出かけて町中の人からご飯を呼ばれている奴に気を遣う必要ないですよ。」
「レオさんの意地悪。」
アルヴァンは少し離れた物陰から聞いていた。
『俺が居ないからと言って言いたいこと言いやがって。』
「アルヴァン様。これはあいつと変わらないのでは。」
シドはこっそり言った。
『うるさい。』
二人はバルに到着し店の中に入って行った。
「それでこれからどうするんですか?」
『それはだね。』
「おーい、テトさん!」
『来た!』
アルヴァンを呼んだのはアルマだった。冒険者のパーティを引き連れてやって来た。
「こんなところで何してるんだ?飯か?」
『もうそろそろ晩飯は食べたいが・・・じゃなくて、お前らを待っていたんだ。』
アルヴァンは頷き、アルマは応えた。
「そうかそうか。今日は臨時収入もあるから奢ってやるよ。」
「そんなこと言って、使い果たしても貸さないから。」
カトレアは呆れて言った。
「おまえはいつも計画がなさ過ぎるからな。今日だって援護指示くらいしろ。動きがトリッキーすぎて合わせづらい。」
ガトレーもカトレアに同情した。
「おまえらなぁ、それでもパーティかよ。悲しいぜぇ。」
カトレアはアルマを無視してアルヴァンに話しかけた。
「そうそう、テトさん。今日、ガンガルダン(一角獣の魔物)の角が手に入ったの。これでアクセサリー作りたいの。」
『あの角って硬そうに見えて実際には脆いんじゃなかったか。魔力を通すことより強く強化される代物だけど。』
アルヴァンは首を傾げた。
「やっぱり、だめかな。綺麗な角なんだけど。」
「むしろ、売った方がいいんじゃないか。俺が代わりに売っての飲み代にする。」
アルマはカトレアから角を取ろうとした。
「嫌!この角は私のなんだからね。年中すっからかんのアルマにはあげない。」
「けぇ、可愛くない。」
「何とでも言いなさい。」
アルヴァンはアルマパーティと一緒にバルに入って行った。バルに入りクレアが出てきた。
「いらっしゃい。あら、さっきぶりねクロちゃん。お食事?」
アルヴァンは店内を見渡して二階にいるレオとユリアを見つけ、指を指した。アルヴァンの指示した方向を見てアルマたちもレオとユリアに気づいた。
「おやおやおやー。」
アルマはすぐさま2階へ向かい二人に絡んでいった。
「あれ?レオさんじゃないですか。」
後追ってカトレアもユリアに話しかけた。
「それにリリアさんも一緒にいる。もしかしてデートですか?」
「いえ、まぁ・・そうです。」
ユリアは濁しながらも渋々答えた。
「えーそうなんですか。リリアさんおめでとう。」
「ほぉレオもやるときはやるんだな。」
ガトレーがレオのポンポンと肩をたたき言った。
「えぇーそうなのか。あれもリリアさん狙ってたのによ。」
アルマは悔しそうにしながらもクレアにビールを頼んでいた。
アルヴァンは2階には上がらず1階のカウンター席に座った。すると、他の冒険者もアルマたちを後を追って入ってきた。
「おーい!こっちこっちだ!レオさんがリリアさんひっかけてるぞ!」
アルマの声に「何ぃぃぃぃ!」と声を荒げ冒険者たちは2階へ上がって行った。
アルヴァンはニンマリしてクレアに食事を頼んだ。その様子を遠目で見ていたパーチはアルヴァンに近づき言った。
「おい。お前が仕組んだんだろ。」
アルヴァンは知らん顔をした。クレアは嬉しそうにアルヴァンの前に食事を出した。明らかにものすごい量だった。
「おいおい、クレア・・・それじゃあ赤字だぞ。」
「いいの。クロちゃんはとっておきのプレゼントくれたんだから。わたしの奢りよ。」
「あぁそう・・・。」
パーチは黙々と食べるアルヴァンの姿を頬杖しながら見た。
「おーいパーチ!酒がなーい!」
2階のガヤたちが騒ぎ始めパーチは渋々返事をした。
「わかったよ。ちょっと待ってろ。」
パーチは樽ごと2階へ持って行った。
2階は大盛り上がりで酒を浴びるようにレオに飲ませ始めた。ふとその様子をみてアルヴァンは思った。
『そういえばあいつ酒には弱いんだよな。もしかして弱点になるかもしれん。今度試してみよう。』
アルヴァンは再び食べ始め、レオの初デートは台無しになった。