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テト  作者: 安田丘矩
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人生の決断は思いっきりが重要

基本的に一人で飲食店に入るのは平気なんですが

たまに行ってみたいと思って外観や敷居の高さで入るのをやめるケースがある。

ネットで調べていざ行ってみるとこじんまりとしたドアが一つと看板が横に。

この扉の向こうにお店が・・・?

なんか、普通の家の外観の扉だと「間違えたのかな?開けていいのか?」と不安になる。

そして、明らかに門扉が和のテイストで引き戸で厳かな感じだと。

「お高いのか?一見さんお断り?」と身分的なことを考えてしまう。

結局、呆れめて近くのお店を探し入ったのは吉野家だった。

それから、メティスは透明になって四六時中アルヴァンにくっつき続けたが、やはりアルヴァンにはこの状態はとてもストレスだった。透明な状態でチクチクとやることに茶々をいてられ、嫌味を言われる。


そして、一週間がたった時アルヴァンは怒りがピークに達した。

「もう・・・いやだぁ!!!」


アルヴァンは無意識にメティスを掴み思いっきり放り投げた。投げられたメティスは突然のことに驚き一瞬我を忘れた。そして、我に返りアルヴァンに近づき文句を言った。


「てぇめぇ、何しやがる!いきなり投げやがって!」


「もう無理なんだよ!これ以上そばにいられるとどうにかなっちまいそうだ。」


「おまえ、マルス対策に修行しているんじゃないのか?ここで逃げる?・・の・・あれ?おまえ俺を掴んだぞ。」


「はぁ!何言ってんだよ!おまえはここ・・に・・あれ?」

アルヴァンとメティスはお互いに見合った。


「もしかして、できちゃった?」


「気持ち悪い言い方するな。そうみたいだが。」


「よっしゃー!これで解放だ!!!」


「待て待て。本当に確実に触れるのかよ。」

アルヴァンはメティスに近づき鷲掴みした。


「ほら・・・な。」


メティスは全力で熱を帯びた。


「あちぃぃぃ!!!」

アルヴァンはメティスから手を離し、近くにあった用水路に手を突っ込んだ。


「無礼にもほどがある。そもそも、おまえ四六時中シドが後ろについて来ているだろ。ストレスにならないのかよ。」


シドは突然影から現れて気味の悪い声を上げた。

「ぐふふふぅー。良くぞ聞いてくれましたね。」


「いや、話が長くなりそうだから聞きたくない。」

メティスは引き下がろうとした。


「それはですね。影に隠れているので肉体的な接触はないだけでなく、アルヴァン様の行動は陰ながら確認しておりますので間を弁えて茶々を入れているのです。」


「なぜ、話し始めた。別に知りたくないわ。」

メティスは呆れていた。


「そもそも主に茶々を入れようと考えているところがむかつく。」

アルヴァンはようやく落ち着いたのかシドの言動に異を唱えた。


シドはお構いなしに話を続けた。

「だ・か・ら、アルヴァン様ともに歩めるよう常に主のことを考え行動しているのです。」


メティスはアルヴァンに向かって問いかけた。

「そうなのか?」


「知らん。忠実に職務を全うしているとも思えないんだが。街にいるとき、気づいたらいなくなっていて戻ってきたら『偵察です。』と言っているが演劇を見に行ったり、本屋へ行って恋愛小説を読んだりしてるぞ、こいつ。」


「アルヴァン様!そんなこと一切しておりません。」


「いや、バレバレなんだが。」


「まぁ主が自由人過ぎるから従者も自由人になるってことだな。」

メティスは一人で納得した。




こうして、アルヴァンは霊体に接触することができるようになっていたのだった。


マルスに痛恨の一撃を加えることに成功したアルヴァンはメティスに合図を送り、

カエルから鳥かごが突然飛び出し、鳥かごからメティスが出てきた。


「上手くいったようだな。」

メティスは燃え盛り渦を巻きながらを巻き込もうと襲い掛かった。


マルスはバリアを張って躱したが左からアルヴァンの蹴りを思いっきりくらい右手に飛んで行った。その瞬間をメティスは見落とさず飛んで行きマルスを巻き付いた。


「はぁ・・はぁ。こんなことしてもエネヴァー様が必ずあなたを殺しに来ます。」


『うるせぇ三下。お前の忠告なんて無意味だ。その時が来たら返り討ちにするわ。』


メティスはマルスの口の中に入って行き、マルスは苦しそうに地面に倒れた。そして苦し紛れに言った。

「おまえらを恨む。」

マルスは弾け、業火に焼かれていった。


『何とか終わったな。』


「ほら、さっさと体に戻れ。」

メティスは降霊術を唱えアルヴァンは身体の中に入っていった。


アルヴァンは起き上がり大きく伸びをした。メティスを回収していると


「あっ・・テトさん良かった無事で。」

ユリアはアルヴァンに抱き着き喜んだ。


「ほんとに一時はどうなるかと思った・・・。」

レオは地面に寝そべった。


『ほんと分からん奴だな、お前は。』


「レオさんもすごかったです。あのマルスって魔物に立ち向かって一撃を入れるなんて。何か特別な力があるんですか。」


「いや・・別にそんな。」

レオはすこし物思いに考えた後、起き上がった。そしてユリアの方を向いて手を取った。

「リリアさん。僕と結婚してください。」


ユリアは突然のことに驚き言葉が出なかった。


『おまえ、今なんて言った・・・。』

アルヴァンは目を丸くした。


「あの魔物と対峙して分かったんです。リリアさんを守らないといけない使命感みたいなものが。けど、俺には戦えるほどの力などありません。だからこそいつ死ぬか分からないこの刹那をあなたと共に生きていきたいと思いました。」


ユリアはレオの真剣な表情を見て思わず

「はい。」

と答えた。


アルヴァンはユリアの腕を振り払いレオを突き飛ばした。


「痛いじゃないか!テト!」


『おまえはこの状況でよくもそんなこと言えたことか!』


「俺は本気だ。お前が認めなくても俺はリリアさんと一緒になる。」

アルヴァンとレオはにらみ合った。


「二人ともやめて。私もいきなりのことで簡単に返事してしまったと思っているわ。けどね、レオさんが私を守ってくれたことは嘘じゃないし、私も一緒になれたらいいなと思ったのよ。」


『おいおい、それでいいのかよ!ユリア!』


ユリアはニコッとした。


こうして、メージとマルスの襲撃を阻止することができたが、ここで新たな問題が発生しアルヴァンの悩み草がまた一つ増えるのであった。


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