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テト  作者: 安田丘矩
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傾向と対策はばっちりでも本番は緊張する

ラガー缶を開けて夜風に当たるといい感じ

今日は暑くなりましたね。本番の夏がこれくらいだといいんだけど・・・。

また40℃近くになって干からびてしまうんですね。

エアコンをつけとかないと眠れないし、

設定温度低すぎて北極のペンギンごっこになっちゃう。

今年の夏も暑いだろうな。夏に向けて何か準備しておくものってあるのか?

室外機の日除けとか、簾とか?家にいても直接的に納涼ができるものがあればいいんだけど・・・

あっ!ラガー缶あった!




アルヴァンが家に戻ったとき、シルバが家の近くで倒れていた。意識はあるがかなり衰弱している様子だった。


『おい、ねーちゃん大丈夫か?それに・・・。あいつらどこ行った?』

あたりを見渡してもどこへ行ったのか分からない。

するとシルバは家の方を指さして気を失った。


「これまずいんじゃないか?」

メティスはアルヴァンに言った。


「裏手の方へ向かったとしたら、あいつのことだから廃村の方へ向かうはず。」

アルヴァンとメティスは急いで向かった。


森の中を進んでいくと物音が聞こえ近づいてみるとレオが戸惑いながらユリアと目を合わせ、マルスが倒れていた。


「一体これは・・・あいつがやったのか?」

アルヴァンはどういう状況なのか分からず少し様子を見ようと木の後ろに隠れた。


マルスが立ち上がりレオに話しかけているがレオは遠くからでも謙遜しているように見えた。


「あいつ、何してんだ。まさか乗り移ってるんじゃ。おいおい、とんだ疫病神だな。」


「安心しろ。乗り移ってはいない。」


「じゃあ、あいつがぶん殴ったって言うのか?」


「この状況だとそう考えるのが普通だろ。」


「えっ?じゃあ、あいつって・・・。」


マルスが飛び掛かろうとした瞬間アルヴァンはマルスの頭上に瞬間移動し思いっきり踏んづけた。

マルスは地面にたたきつけられ、アルヴァンは両手を広げ着地した。


「テト…テト様ぁああ!」

レオは泣きべそをかきながらアルヴァンにしがみついた。


『ちょ!なんだよこいつ!気持ち悪いな。』


「怖かった・・・怖かったよぉ。」


「いや、おまえ戦えるのにこの様かよ・・・。」


「テ・・・テトさんご無事で。大丈夫ですか?」

ユリア駆け寄ってきた。


「あぁ大丈夫だ。」


「良かった。それと向こうで戦っていた敵は?」


「今頃、シドが死んだかも。」


「えっ!」


「私を踏み台にした挙句に雑談とは余裕ですね。」

マルスは立ち上がり土を払っていた。

「もうあなたは逃げられませんよ。」


マルスは一瞬で消え、アルヴァンの背後にまわり手のひらを向けて魂抜けの術は放った。アルヴァンは魂が身体から向けてしまい空中を漂った。


「テト・・・テト!」

レオはアルヴァンの身体を腕に抱え頬を叩いた。


『おい、叩くんじゃねぇ!』


「テト・・大丈夫なのか!しっかりしてよ。」


『ここにいるだろ!』


「無駄ですよ。私の得意なフィールドに持ち込んだのですからもう勝ちめぇぐふぇ!」

マルスは最後まで言えずアルヴァンに吹っ飛ばされた。


『どあほが!お前は霊体になれば勝てるとか甘いんだよ。こっちは対策済みだ。』




王都にてレノヴァの屋敷の一室でドミニクとアルヴァン、シドで話し合いをしていた。


「すまない。マルスを逃がしてしまった。なんか、目を離したら急にいなくなってて、しかも魔力も感じられないんだ。」


「アルヴァン様。言い訳は見苦しいですよ。」

シドは呆れながら言った。


「おまえなぁ。」


ドミニクは冷静に言った。

「おそらく、『かくれんぼ』という能力かと。」


「かくれんぼって遊びじゃないんだが・・・。」


「まぁ呼称については気にしないでください。当時そんな能力を使っている奴がいたました。一度相手に姿を見せて、そして隠れると姿や魔力の気配も消えてしまうんです。」


「なんだそれ、すごすぎるだろ。」


「たぶん、その能力をもっていると考えられます。」


「それにしても、どこへ行ったのでしょう。」

シドはアルヴァンを見た。


「なんだよ。心当たりはない。けど、俺たちを監視している可能性があるな。」


「同感です。たぶん、マルスは近いうちにアルヴァンさんの前に現れるでしょう。」


「あいつの術をくらうと霊体になるんだっけ。まぁメティスがいれば何とかなるが、不意打ちで術に当たった場合まず戦えなくなるのでは。」


「マルスはもともと実態はなく幽霊系の魔物です。そして、魂を抜いてそれを捕食したりできます。基本的に幽霊系でなければ戦えません。なので幽霊になったら幽霊のまま戦えばいいだけです。」


「そんなことできるのか?」


「メティスさんを出してもらっていいですか。」


アルヴァンはカエルからメティスを出した。メティスは写経を書いていた。


「あの・・・。」


「静かにしろ。集中している。」


ドミニクは不思議そうに見た後アルヴァンに言った。

「メティスさんって住職か何かなんですか?」


「もう死んでるから墓の管理は出来ないぞ。」


「あぁーうるさい!なんだ!」

メティスは筆を止めて二人を見た。


「メティスさん、アルヴァンさんの魂に触れますか。」


「なんだよ急に。そんなのできるわ。」

メティスはかごから出てアルヴァンの手を掴んだ。


「熱いんだけど。」

アルヴァンは嫌がった。


「この鈍感!熱を感じるんじゃない!」


「いや、熱いんだけど!」


「メティスさん、冗談はこれくらいにして下さい。」

ドミニクは面倒くさい表情を見せた。


「おまえ、なかなか厳しいな。」

メティスは熱を抜いてアルヴァンに触れた。


「言葉にできないけど空気の膜が当たっているような感じ。」


「全く意味が分かりませんね。」

シドはにやにやしてアルヴァンを見た。アルヴァンはシドを睨んだ。


「それが魂に触れるという感覚です。この感覚をつかんで攻撃すればいいのです。幽霊系が霊体に攻撃できるのはそういう原理です。」


「それは原理じゃないだろ。なんとなくは分かったけど、今から修行するのか?」


「メティスさんにずっとアルヴァン様に触れていてもらえばいいんです。」


「いやだぁ!!!」

メティスはアルヴァンの手を離した。


「こっちこそ願い下げだ!」


「二人とも喧嘩をやめて!」

シドは嬉しそうに間に入った。


「なんでおまえは嬉しそうなんだ!」


「一度やってみたくて・・・。」


ドミニクはため息をついて言った。

「アルヴァンさん。パーティが賑やかなのはいいことですけどさすがに状況が状況なので。それにマルスを逃がした責任を取ってほしいです。」


アルヴァンは黙った。


「そうだぞ!おまえこそ驕りがあるんだからな。反省しろ。」

調子に乗ってメティスは言った。



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