深い因縁はいつか清算される
いらない服を整理して、当時気に入って買ったはずの服を結局捨ててしまう。
オシャレ着って本当に着なくなったと思う。
そこまで出かける機会がなくなったのもそうだけど
拍車をかけたのはやはり、コロナの時かな。
缶詰で人に会わないようにしてたせいもあるけど
人目を気にしなくなったことで買う服も日常的に着る物しかない。
それで、生活できるからいいんだけど今で買った服がさようならに。
昔はファッション誌とか見てたのにスタイルの変化なのか時代の変化なのか。
箪笥の中を整理したことだし、せめて夏服だけは買おうかな。
「ご無沙汰しております、アルヴァン様。」
「あー、そういうことね。エネヴァーは本気ってことね。」
「そうですね。さすがに邪魔されては困るとおっしゃっております。できればこのまま出て行ってくれると嬉しいのですが。」
「嫌だと言ったら?」
「まぁ、戦力は用意しておりますので十分楽しめるかと。」
「一つ確認させてくれ。エネヴァーは王を探す気なんてないんじゃないか。」
「さぁどうなんでしょう。主は運命が赴くままに動いているだけです。」
「そういうことね。悪いが、こちらもバカンスの最中なんでね。勝手に敷地を荒らされるのは癇に障る。」
「そうだったんですね。お邪魔してすみま・・。」
シドは影を鋭くとがらせメージに攻撃した。メージはその攻撃を躱しシドを睨んだ。
「お話の最中ですよ。相変わらず不躾ですね。」
「口を動かすより手を動かしなさい。そういう、上から言うのが気にくわないんですよ。」
シドは自身の影をメージに向け放ち殴りかかるもメージは避けながら応戦した。
アルヴァンとメティスは急に始まった戦闘を眺め言った。
「あぁー。血の気の多いやつ目。」
「あいつは元からああいうやつだろ。お前が抑えないと。」
「まさか、優等生メージさんがいらっしゃるなんて油断してたから。」
「おまえ、行き当たりばったりすぎるんだぞ。それに・・・。」
メティスが急に黙ってアルヴァンはその方向を向くとマルスの姿が消えていた。
「あー。」
アルヴァンは頭を抱えた。
「そうすんだよ。逃げちゃったぞ。」
「んなことわかってる。お前は早く魂になった家族を戻してやれ。」
渋々、メティスは魂を戻し始めた。アルヴァンは考えた。
「そもそも、この騒動を引き起こす前に俺らがここで過ごしていることがバレていたのなら、向かうのは・・・。」
アルヴァンはひらめいてシドに大声で言った。
「シド!俺らはマルスを追うからメージを食い止めろ。」
しかし、シドは戦闘中で聞こえてない様子だった。
「終わったぞ。」
メティスはアルヴァンのもとへ帰ってきた。
「ここはシドに任せて、俺らは自宅にもどる。」
「この状況で家に帰るのか?!」
「ちがう!ユリアが危ない。」
「相方の心配はしないんだな。」
「あいつは最悪ぼこぼこにされるが不死身だ。ワンチャン無事。」
「あっそ。」
アルヴァンとメティスは急いで自宅へ戻って行った。
メージは魔術を唱え、伸びた影から無数のカラスが出現しシドを襲った。シドは後方へ下がりながら魔術を唱え無数の蛇が現れた。カラスと蛇は互いに攻撃しはじめ、メージはカラスに紛れ姿が見えなくなっていた。
シドは警戒しながら地面に魔法をかけ自身を覆うようにドーム状に被せた。
「引きこもりですか。あなたらしいですね。」
メージは自身の影そのドームに伸ばし刃物のように横に切り落とした。切れたドームに中にはシドがいなかった。
「また姑息な手を。正々堂々と戦ったらどうですか。」
シドは地中に潜んでいた。空洞を作り一端相手との距離を取ろうと考えたときシドは気づいた。
「この能力便利だな。」
悔しいがメージより魔力で劣るということになるが相手の動きが見なくても感じ取れる。シドは地面からメージを串刺すように無数の攻撃を加え躱す方向を操作した。誘導されているとは知らずメージは躱し続ける。
「いい加減出てきたらどうですか。こんな攻撃痛くもかゆくもない。」
シドは相手の一瞬を狙っていた。誘導して完全に逃げる方向が一方向になる瞬間、そこでシドは地中から現れメージを自身の影で縛った。
「くっ!二度も私に触れて。汚らわしい。」
「同じ影同士仲良くしましょうよ。」
「誰がお前みたいな落ちこぼれと。離れろ!」
メージは影をサボテンのようにとげとげに変化させシドに突き刺さった。
痛みを堪えながらシドは言った。
「いいですね。無様をさらしているメージさん。それにこれが悪手だとお思いですか。」
シドは魔法を唱え、その読み上げる魔法を聞いたメージは必死に抵抗する。
「お前バカなのか!お前も無事じゃすまないぞ!」
「何言っているんですか?バカだからあなたの予想よりはるかに上に行けるんですよ。いいですか。私は落ちこぼれなどではありません。いつだって、わたしはわたしであり続けてきたそれだけです。」
シドは発光し始めた。そして、爆発した。
メージは直に爆撃をくらい地面に倒れこんだ。意識はあるもののダメージは大きかった。よれよれの状態で立ち上がり周りを見渡した。
「自爆とはあなたらしい最期ですね。まぁこんなので私が倒せるわけもないですが。」
メージは立ち去ろうとした時気づいた。
「魔力が使えない・・・。」
「ようやく気付きましたか。捨て身になりましたが魔力封じなら十分です。」
ボロボロになったシドは再び立ち上がり話し始めた。
「最初からそういうことか・・・。完敗だな。けど、お前も今魔力が使えないだろう。」
「主がいますので、何とかなりますがあなたはしばらくその状態ですね。」
「どうする。まだやりますか?」
「いいえ。わたしはこれで十分です。」
「まさか、情けをかけられるとは・・。」
「何を言っているのですか。あなたはいつだって驕っていたそれだけなのでは。」
「好きなだけ言えばいいさ。」
メージの影は闇の中へ消えていった。シドはさすがに疲れたのか地面の上に溶けていった。
「あーしんどい。アルヴァン様大丈夫でしょうか・・・。」
シドはゆっくり動き出し、家の方へ向かっていった。