しつこい男は嫌われるぞ
そういえば今日も黄砂が飛んでいましたね。
風強いし車が台無しだ。また洗わないと。
この時洗車機へ持っていこうと甘い考えが。
コーティングしてるなら尚更手洗いしろよと突っ込まれるけど・・・嫌です。
シンプルにめんどくさいし洗車機突っ込んでふきふきする方がいいと
それにもう何年もたってますしまたコーティングし直さないといけない。
なら、もう傷つこうがお構いなしに車を洗う。
いやーさすがにコンパウンドしたりワックスつけたり豆にそういうことできない人なので。
綺麗になればいいんだ(見た目)。これでも大事に乗っていると信じてる。
それからしばらくしてシルバが王都からの使者がやってきたことをユリアに伝え今晩使者からの情報を共有したいということでシルバの家へ行くことになった。
そして、その道中で、
「アルヴァン様、ついて来ていますよ。」
シドが影からこっそり言った。
「今度はストーカーかよ。悪趣味な野郎だ。」
アルヴァンは特に気にはしなかったが、さすがにエスカレートされては困るので成敗することにした。
シルバの家に入るふりをして外の物陰で隠れていると明かりが灯る窓の横でレオがこっそり聞き耳を立てていた。アルヴァンはレオに気づかれないように背後にまわりこみ蹴った。レオは前方に倒れこみ声を上げた。
「いたた・・・一体なんだ。」
その声に気づき窓が開きユリアとシルバが顔を覗かせた。
「まぁレオさん?どうして。」
「いやぁ、その、えー、二人がこんな夜遅くに出て行ったから心配で。」
『何が心配だ。大人しく投獄されろ。』
アルヴァンは冷たい目でレオを見た。
「そうだったんですか。」
「それでここで盗み聞きを?」
シルバも不審な目をレオに向けた。
「ちぃ違います。ただ・・・えっと・・・すみません。」
『けぇ。ちっせい野郎だぜ。』
「許してあげてください。レオさんは心配してくださっただけです。それにこちらがちゃんと話していないのがいけないので。」
レオはユリアのやさしさに目をときめかせていた。
『おいおい、優しすぎないか?』
アルヴァンはユリアを見たがユリアは苦笑いした。
「レオさん、ごめんなさいね。私、シルバさんに王都について聞いていたの。シルバさんは王都と連絡を取っているので内情を教えてもらっていたの。ご存じでしょ、この国に危機が迫っていると。」
「えぇ・・・まぁ・・・。」
「王都には家族や親せきを残してこちらに来ています。少しでも安否確認したくお願いしていたんです。」
「そうだったんですか。それで、王都が魔物の襲撃にあったと。」
「えぇ。王都では死者やけが人、建物に被害は出ましたが私の家族や知り合いは皆無事でした。」
「現在、王都は警戒体制のままでよそ者の出入りは禁止されている。リリアさ・・・リリアさんが王都へ行きたいと言っても入れないと伝えていたところだ。」
『まぁ、大体のことはユリアも知ってはいる。王都に一度戻りたいのも本心だろうがさすがにレノヴァは拒むだろうし、俺らからしてもお前の能力を失うのは困るな。』
「そうですか。心配ですね。」
『おまえは自分の故郷のことをどうも思わないのか?』
「レオさん、ありがとう。もし、本当に危険な時は疎開してくるようにと連絡はしておくわ。今はそれくらいしかできないから。」
レオはアルヴァンの目線に気づき話した。
「悪かったよ。けど、お前だって勝手にどっか行ってしまうから疑わしい行動が過ぎるぞ。」
『うるせぇ!てめぇに言われたくないわ!』
アルヴァンはレオに近づき脛を蹴ってシルバの家に入って行った。痛がるレオをユリアが心配して声をかけている。アルヴァンは中に入り窓の外で痛がるレオの姿を呆れた目で見つめた。
「アルヴァンさん。やりすぎよ。」
「いいんだよ。むしろ、いろんなことから逃げてきたんだ。少しは試練を与えないと。」
「厳しいのですね。」
アルヴァンは正直なところ焦っていた。エネヴァーの侵略が思ったより早く、さらに敵にこちらが加担していることがバレたことで問題が大きくなってきている。一刻も早くこの願いについて解き明かして魔王に会いたいところ。
こいつも一人の能力者として狙われる立場であるにもかかわらずただの意気地なし。こんなやつ殺れるならとっくに片づけているのに結局足踏み状態。何か手掛かりはないのかと悩んでいた。
翌週になると王都からの行商や疎開してきた人々でギンガルの連中にも王都で魔物の襲撃があったと知らされて不安をあおっていた。
アルヴァンがマアサの家でおやつを食べていた時マアサが言った。
「最近、疎開してくる人が増えただろ。ここにも働かせてほしいと懇願されるけどさすがに雇うほどの余力はないのよね。嗜好品から軍事の依頼が増えてから嫌な予感はしていたんだけど・・・まさか、こんなに早く事が起きるなんてね。」
『せっかく落ち着いて飯が食えてたのにここもやばくなるな。』
アルヴァンはフルーツケーキを大きい口で一口齧り咀嚼した。
「ぼっちゃんも気をつけなさいよ。危害がないとはいえよく思わない輩もいるからね。」
『そうか、俺も心配されるのか。』
アルヴァンは紅茶の入ったカップを手に取り少しずつ啜って飲んだ。
すると裏手の扉が開いてシルバが入ってきた。
「失礼します。マアサさんこんにちは。」
「あら、シルバちゃんどうしたの?」
マアサは小さい時からシルバのことを知っていた。なので、あの強面をちゃん付けで呼べるマアサにアルヴァンは驚いていた。
「いえ、用があるのはテトさんの方です。」
『えっ?俺?』
アルヴァンはシルバに呼び出され外へ出て行った。