分からないから迷う。分かろうとするから繋がるんだ。
ゴールデンウイーク最終日。
『たべっこどうぶつMOVIE』を見に行ってきました。
まさかのたべっこどうぶつを映画化する暴挙と最初は何の冗談かと思ったけど
実際見てこれすごいね。日本映画のCGアニメーションってここまでできるんだと。
それと内容は分かりやすいので大人から子供まで楽しめる。
そして、楽しめる要素にギンビス以外の企業様のお菓子のキャラクターが使われている点。
これは、たぶんこの映画のテーマである「みんなでおいしくたのしくたべよう。」ということで
ギンビス以外のお菓子でもみんな好きなお菓子があってみんなで分け合って食べるから
おいしく、たのしいというところを大事にしているんだと思いました。
ギンビスさん懐が広いと感心して見ていました。
終始かわいいの暴力でしたがテーマがしっかりした良い映画でした。
みなさんもご覧になってなんのキャラクターがいるか確認してみては。
上映後、食品コーナーへ行ってたべっこどうぶつビスケットを買って帰りました。
素敵な最終日でした。完
アルヴァンは一端ギンガルに戻ってきた。こんな大事が起きたことをユリアに伝える必要があり、それにレノヴァの頼みでもあった。さすがにユリアが心配でも状況が状況であり会いに行く暇など到底ない。
そのため、レノヴァはアルヴァンに
「このような事態になっていくらギンガルが王都からだいぶ離れていたとしても心配だ。テトさん。ユリアをどうか無事か確認して来てください。お願いします。」
いくら国を代表する大魔導士様とはいえ娘を心配しない親などいない。
アルヴァンは首を縦に振り承諾した。
アルヴァンがギンガルに戻ると特に変わった様子もない穏やかな日常を人々は送っていた。王都での緊迫した感じが解かれているようだった。街を闊歩していると後ろから声をかけられた。
「出たな、クロちび!最近見ないと思ったら突然現れやがって。今日こそはお前を成敗する。」
アルヴァンはちびっ子たちに絡まれてしまった。アルヴァンは温かい目で見てリーダー格の子の肩をポンポンと叩いて素通りしていった。
「おい待てよ!逃げる気か!」
アルヴァンは振り向いてカエルから石を取り出して渡した。
「なんだよ。こんな石いら・・な。」
その石を見たちびっ子は驚いた。石が光を帯びると透けて中で光の粒が泳いでいる。
しばらく見とれてやっと我に返りアルヴァンがいた方を見るともういなくなっていた。
アルヴァンはマアサの工場にたどり着き裏手から台所に入って行った。
するとぼーっと上の空なレオがいた。お湯を沸かしているようだが何か考え事をしているようだった。
アルヴァンはレオのふくらはぎを蹴った。
「いてぇ。何するんだよ、いきなり。」
『変な顔しやがって。悩み事もすべて一蹴してきたお前が何を迷う。こういう時に英雄は必要だというのにこの間抜け面。』
「テト、リリアさんが来てだいぶ経つけど、何者なのか知っているんだろ。」
アルヴァンは首を横に振り呆れて台所から出て行った。
工場に行くとユリアが仕上がった縫製品の検品をしていた。ゆっくりと近づきしばらく様子を伺った。縫い目から毛皮が崩れていないかチェックしている。
『もし、没落しても平民として逞しく生きていけそうだ』とアルヴァンは思った。
「あれ、アルヴァンさん。どこに行っていたの?心配するからちゃんと行先は言ってほしいわ。」
ユリアは縫製品を置いて屈みアルヴァンを見た。
「お前は俺のおかんか。それに一刻を争う事態だったんだぞ。」
「何があったの?そう、お父様とも連絡がつかなくなったのよ。」
「仕事が終わった後で話そう。」
「わかったわ。」
ユリアは仕事に戻りアルヴァンはマアサの工場から出て行った。
結局、話ができたのは家に帰ってからになった。
レオが眠りについた後でユリアの部屋の中でアルヴァンはユリアに話し始めた。
「王都で魔物の襲撃があった。」
「えっ!お父様は?皆は無事なのですか?」
「身内は大丈夫だ。ただ、兵士と逃げ遅れた住民の死者とけが人が少し出たがな。」
「そうですか・・・。」
「それとレノヴァがお前を心配していた。王都だけじゃなく近隣の村や町に被害が出る可能性があるからな。」
「アルヴァンさんも戦ってくださったんですか?」
「えぇまぁ。」
「なんでそんな淡白な返事なんですか?」
「戦ったが一体逃げられてな。敵へのけん制になったが、こちらの手がバレてしまった。」
「イレイアも戦場と化すのでしょうか。」
シドが影から現れて言った。
「時間の問題ですね。執拗に支配していく輩ですから私たちだけでは到底無理ですし。」
「そうよね。」
「一先ず、レノヴァに手紙でも書いてやれ。ここで今後のことを話したところで何も解決にならない。ギンガルに脅威があった場合、何とかしてみる。」
「アルヴァン様はほんとお人よしですね。」
「飯が食えなくなるのが嫌なだけだ。」
「アルヴァンさん、本当にありがとう。」
「別にお礼なんかいらなねぇよ。気が向いたからやってるだけだ。」
「はいはい。」
ユリアは早速レノヴァ宛に手紙を書きアルヴァンに渡した。手渡されたアルヴァンは早速王都へ出かけて行った。シドはユリアと一緒に残された。
「大丈夫なのかしら。」
ユリアは心配そうに言った。
「今回の件で私たちがイレイアに手を貸しているとバレたのは間違いないと思います。たぶん、近いうちにマルスは復讐にやってくるでしょう。それも、私たちを狙って。」
「それじゃあ余計に状況が悪化していませんか?」
「早いか遅いかに過ぎないかと。想像している結末はもう分っていることです。」
「何も術がないのかしら。」
「ただ、私たち魔物がユリア様のような人間に出会えたこと自体何かのきっかけになり得るとは思っております。」
「それはどういうことなのかしら。」
「それがスターフィッシュによる願いで言葉が分かり話せるようになった。そして、私たちがその能力を持っても意味がないんです。これは人間であるあなたが持っているからこその能力だと思っています。」
「シドさんってすごいこと言うのね。」
「私はそのままのことを伝えただけです。それよりまずは一度レノヴァ様とお話しされては。今日ですよね、連絡の日は。」
「そうね。そうするわ。」
ユリアは少し夜更かしするつもりで台所でお湯を沸かしているとシドが貝殻から声がすると教えユリアは急いで部屋に戻り貝殻を手に取りレノヴァと会話した。
ユリアの安堵した表情を見ながらシドは思っていた。こんなにも互いに気持ちや言葉を分かち合えるなんて不思議な生き物だと。