プライベートは見るもんじゃない
今日、美容院で週刊セ〇ンの室井滋のコラムを読んでいたら鳥をペットにする話の中で
フラミンゴの寿命が80年くらい生きると書いてあったのを見て「こんなに生きるの!」と思わず驚いた。
オウムも60年くらい生きるのは知っていたけど、あの細い脚から想像できない長命さ。
ただ、こんなに生きる生き物がペットなら自分が先立って逝ってしまうことに悔いが残るなぁ。
そいえば夏場にリクガメ2匹をさんぽさせてる人がいたな・・・。カメさんねぇ・・・。
生き物を飼う責任はやっぱり最後をどうするかをしっかりしないとだめだね。
観察1日目
朝6時、ダダン起床。歯を磨いたあと食堂で朝食をとる。
朝7時、国の駐在兵と合同練習。割と剣術に自信あり。
朝9時、国の重役と会談。ここら辺の領主思わしき人物と会議。
昼11時、昼食を兼ねてその重役と会食。
昼13時、街をパトロール。街の4か所の門をめぐり門番と話し近辺の情報共有。
夕方17時、駐在所へ帰所。報告書と警備記録を記載し所長に提出。
夜18時、街の酒場で仲間たちと団欒。駐在兵3名と同じ品格者イルバの5名参加。
新たな品格者を発見。以後、品格者イルバの能力特定を急ぐ。
夜22時、酒場で仲間たちと別れたあと、駐在所内の自室へ帰宅。
夜23時、歯を磨き、風呂を入り、明日の身支度整え就寝。
観察2日目
朝6時、ダダン起床。歯を磨いたあと食堂で朝食をとる。
朝7時、駐在兵とともに街の外で実践練習。そこで初めてダダン能力確認。
効果範囲は球体、推定直径1キロ。その範囲内の物質等は一瞬に球の中央へ圧縮される。
同時に一緒に参加していた品格者イルバの能力を確認。地面を泥に変える能力?もしくは物質を液状化する能力だと思われる。
昼12時、外での炊き出しで昼食。
昼13時、周辺の森を散策し魔物と戦闘。
夜19時、駐在所内の自室へ帰宅。食堂で食事を済ませ武器の手入れをする。
夜23時、歯を磨き、風呂を入り、明日の身支度整え就寝。
観察3日目
朝6時、ダダン起床。歯を磨いたあと食堂で朝食をとる。
朝7時、木刀で素振りと型を行う。
朝9時、風呂に入った後、私服に着替え外出。
朝9時半、街の噴水広場、時計塔の前で女性と合流。近くのカフェでブランチを取る。
昼11時、西門通りのバザーでショッピングし、演劇場へ喜劇を観覧。
夕方17時、噴水広場にて女性と別れた後、東側の飲み屋街へ。
夕方17時半、飲み屋のカウンターでマスターと談笑。
夜18時、さっきまであっていた女性とは別の女性が横に座り談笑。
夜20時、女性と飲み屋を後にして中央通り裏手の家に入り、一室で生殖活動を始める。
夜21時、風呂に入り二人で就寝。
夜21時半、女性の方がダダンに身を寄せ再び生殖活動を開始。
夜23時、就寝。
観察4日目
朝5時半、中央通り裏手の家を後にして、駐在所へ帰所。
朝6時、風呂に入り、歯を磨いた後、食堂で朝食を
朝7時、国王直属の幹部が視察に来るのに伴い所長と打ち合わせ
朝9時半、品格者イルバと模擬戦を行う。
昼11時半、食堂で昼食。
「・・・あの、アルヴァン様。これまだ続きます。なんか偵察の割にほぼいらない情報なのですが・・・。」
一週間尾行し、品格者の能力を把握することができたが、途中からなんやら見てはいけないものを見てしまったのではと思う場面があった。
「最初にデートしていた女性が本命だけど、生臭いところはしっかり分けるんだね。」
アルヴァンは少し面白がって言った。
「それが人間なのでしょう。」
シドも少しあきれた様子だった。
「特に6日目に朝やって、さらに違う女と夜通しやり続けていたから相当品格者って体力あるんだな。」
「その認識でいいのかはさておいて、いかがいたしましょう。」
「そうだな・・・。あと2日待ってみようかな。面白いものが見れるよ。」
アルヴァンはランプの灯を見ながらシドに言った。シドも何も言い返さずただ、かしこまりました,と言って下がっていった。
2日後、アルヴァンは偵察をやめてからいろんなお店を食べ歩きをした。特に中央通りに構えるパン屋のクロワッサンはバター香ばしさ、塩味が効き、サクッとふわっと完璧な味わいに昨日10個買っては,今日も20個買って完全にドハマりしていた。
「アルヴァン様。同じものばかり食べて体によくありませんよ。」
「えぇいいじゃん。美味しさは生きることの特権さ。」
シドはアルヴァンの食に関する執着についてとやかく言うと面倒なので話を本筋に戻した。
「今日で2日経ちましたが、さてどうなることやら。」
時計塔のてっぺんで西南の方角を二人で眺めた。アルヴァンは早く始まらないかと時間つぶしと言わんばかりにクロワッサンを食べ続けた
「アルヴァン様来ましたよ。」
シドの合図にアルヴァンはクロワッサンを置き、両手で円を作り『ピントレンズ』(望遠鏡のように遠くを見ることができる魔法)と唱え、目を凝らした。そこには複数の魔物の先頭に3体の大型の魔物。一体は岩石でできた体の魔物、後の2体はおびただしい目が巨体にちりばめられ不完全な形をした魔物で、上部には一本の触手の先に口が付いて、仮足で移動している。
「また気色の悪い奴が来ましたね。」
「この魔物を使うのはユリスかな。あんなの飼ってたから。」
「ほんと、趣味の悪い。」
ユリスは魔物界のマッドサイエンティストだ。たまにアルヴァンは研究室に足を運んではお茶を頂いていた。その姿は謎のえんじ色のツル?におおわれている。どうしてツルに覆われているのか問いかけたところ、細い身体を隠したいからとアルヴァンは話していた。特に魔物の合成に力を入れており、この2種はユリスのオリジナル魔物だった。
「どっかにユリスも来ているのかな。」
「あの人は慎重派なので軽いジャブのつもりなのでしょう。」
「正直、ユリスの魔物がどこまで戦えるのか興味があるな。」
街全体に警鐘が鳴り響いた。街の住人は急いで東門と北門へと非難が始まり騒がしくなっていた。西門と南門には兵士たちが総動員し、可動式の木の大きな柵が準備され各部隊が配置につかれた。見事に訓練通りに皆配置につき、敵の接近に備えていた。そして、品格者2名が西門の人員と合流し迎え撃とうとしていた。砲弾が魔物たちに放たれるが足取りは止まることを知らず、街から3kmまで到達してきていた。先頭部隊の前に品格者のダダンが前に出た。ダダンは魔物たちが能力圏内に入った時、圧縮の能力をは発動し、魔物たちの群れの中央に放たれた。球体がすべての魔物を覆い、徐々に小さくなっていく。先頭を進んでいた3体もその球体に阻まれるが、岩石の魔物は両腕を振り上げ思いっ切り振り下ろした。その瞬間、球の一部が破損し、岩石の魔物と不完全な魔物1体と何匹かの魔物が外に出た。球は破損しながらも、圧縮を続け巻き込まれた魔物たちは跡形もなくつぶれてしまった。
「あの球体、思ったより脆いのかな。それか馬鹿力?」
「アルヴァン様、品格者を。一回の能力使用で結構バテています。」
「そうか。範囲が広くなると能力を維持するのも大変なのか。いい所気づいたね。」
「まぁあなた様の側近ですから、当然。」
ダダンの後ろに控えていたイルバが両手を地面にやり、能力を発動した。魔物たちは足下をとられ身動きが取れなくなっていた。すかさず後ろで待機していた兵士たちは銃で迎撃し魔物たちは絶好の的になっていた。さすがに小物の魔物は鎮圧され、残り2体の魔物は兵士に取り囲まれていた。そこに再びダダンがやってきて再び能力を発動した。さっきよりも範囲は大分狭いため余裕でこの2体を鎮圧した。その瞬間、兵士たちは雄叫びを上げ勝利を喜んでいた。
「あっけなかったですね。アルヴァン様。」
「頭を使わないとさすがに無理じゃないか。言うても、お役所仕事をしっかりこなしていた品格者様だぞ。」
「それは、敬意ですか。」
「まさか。皮肉だよ。さて、さっきからこっちを見ている品格者様にご挨拶へ行こうか。」
時計塔から飛び降りて石畳の地面に着地した瞬間、まるでぬかるみに突っ込んだみたいに脚が沈んだ。《あれ?これって・・・。》
「まんまと引っかかってくれてありがとうな、おチビちゃん。」
アルヴァンの目の前には品格者のイルバが立っていた。葉巻を吹かせながら余裕ぶった表情をしていた。
《いつの間にいたんだ。あっこれあいつの能力なのか。》
「アルヴァン様。すっごくかっこ悪いです。」
「知ってる。」