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テト  作者: 安田丘矩
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何が起こるか分からないから臨機応変にね

インパウンド需要が高まる中テレビでは

外国人観光客のお土産ランキングとか行き先特集とかやっているけど

へぇーそうなんだぁで終わる内容見て何が楽しいんだろう

それを見て、日本ってすげぇんだよ!と誇りに思えるのならいいのだが

正直な話、余計外国人の多いところを避けたいと思ってしまう。

京都で旅行した時、まぁ外国人だらけでここは一体どこ?京都なの?

お土産屋さんも英語で対応してるし、人力車のお兄さんも中国語で話してるし

もう、これが普通なのか・・・自分が時代遅れなのか・・・

王都、カイノス4番通り。夜が更けて人通りが少ない中、おごつかない足取りで歩く者がいた。その者は路地裏へと入って行き狭い道を抜けていく。しばらく進んでいると


「おい、あんた魔物でしょ。こんなところで何しているんだい。」

呼びかけたのはアネッサだった。腕を組みながら後ろからその者に近づいていく。

「それと、他に魔物と接触したのかい?」


その者はゆっくり振り返りそして顔を見せた。その者はセイルだった。

「こんばんは、おばさん。いい夜ですね。」


アネッサはその一言に激高し一瞬で間合いを詰めた。


「あぁ間違えた。おばあさんだっけか。何でもいいか。これをあげる。」


接近してきた。アネッサに蓋の開いた瓶を投げつけた。アネッサは避けきれず液体をもろにくらった。アネッサは立ち止まり怒りを露にしたがだんだん動機が激しくなり四つん這いになって苦しみ始めた。


「おぉ!なかなかの効果だな、これ・・・あれ?」

セイルは瓶をよく見たら『魔力補給剤デラックス』だった。

「あっ!間違えちゃった。ごめんごめん。こっちだった。」


アネッサの容姿はだんだん崩れていき、背中から無数のツタが伸び締め、顔は横に引きつりもはや化け物となっていった。


「魔力を補給しちゃったけど、大丈夫なのかな?けど、ばばあだったから魔力が足りてなかったから・・・あれれーまずいかも。」


アネッサの首が伸びて不揃いな目がセイルを見ている。

「おまえ・・・こ・・ろす・・。ゆる・・・さ・・ない!」


セイルは一目散に逃げだした。ネッサは容赦なくツタを放ち家の外壁を破壊しながらセイルに攻撃をし始めた。


アネッサは我を忘れて攻撃し始めている隙に背後から魔導士たちの一班が合流し、火魔法を放った。アネッサはよろけて背後を向いた。


「あたしの・・・じゃまを・・・するなぁ!!」


左手を横に振ると棘が飛散して魔導士たちを襲った。一人の魔導士が火魔法で壁を作りもう一人はバリアを重ねて攻撃を防いだ。その隙に急いで逃げるセイルをドミニクは呼び止めた。


「セイルさん。だから、ちゃんと確認しなきゃダメだって言ったでしょ。」


「ごめんごめん。つい、こういう大役って初めてだから気合が入っちゃって。」


「このまま毒を盛っても代謝が良くなっているので意味がないですね。なら、作戦変更でこれを使います。」


ドミニクが手にしたのはヤドリギだった。


「えぇそれヤドリギじゃん。大丈夫なの?」


「そうですね。普通は危険ですがあえてアネッサに宿らせて養分を吸いましょう。そして、ちゃんと石灰も用意しているので何とかなると。」


「さっすがドミニク!さえてるなぁ。んで誰がこのヤドリギを。」


ドミニクは何も言わずにセイルに手渡した。そしてかなり離れたところで。

「おーい、そこの化け物!こっちだ!!」

とドミニクは叫んだ。


アネッサはその声に振り向きセイルを発見した。セイルは慌てて逃げようとしたがアネッサのツタが足に絡みつきセイルはアネッサに引き寄せられた。


「おーい!ドミニク!!裏切ったな!!!」


「セイル先輩の本分は実験体なんですから仕事してください。」


「ちぇ、しょうがないなぁ。さぁ来い!ばばあ!!」


セイルは一瞬でアネッサのツルに吞まれていった。しばらくするとツルの間から赤褐色の根が現れ始めさらに枝が伸び始めた。不快に思ったのかアネッサはヤドリギを取ろうとするもヤドリギはアネッサから養分を吸い続け大きくなっていった。


アネッサは振り払おうと左右に揺さぶった衝撃で何かがアネッサのツタの中から飛び出してきた。思いっきり地面にたたきつけられてピクピクと動いている。すかさずドミニクが近づいて行った。


「セイル先輩、大丈夫ですか?」

ドミニクは恐る恐る聞いてみた。するとセイルは右腕を上にあげて親指を立てた。


一方アネッサはみるみるうちに萎れていきよぼよぼになった。その代わりにヤドリギはアネッサから養分を吸って巨大化してしまった。


「そろそろですね。」


ドミニクは水魔法で大きな水の玉を空中に留め石灰をその中に放り投げた。そして、よく混ぜ合わせた後ヤドリギに向かって放った。ヤドリギはもろに石灰水をくらい次第に表皮がはがれていき弱っていった。続けざまにドミニクは石灰水をヤドリギに浴びせ続け戦う気力を無くさせていった。ヤドリギから解放されたアネッサは地面に這いつくばり身動きが取れずにいた。


「おぉーばばあしわくちゃだ。」

セイルは体液が体中から溢れながら笑いながら話していた。


「セイル先輩、治療するので堂々と立たないでください。」


「これどうするんだ。」


「もう戦えないでしょう。それにこのまま手を加えると願いが移るのでホルマリン漬けにして研究資料として置いときましょう。」


「そんなことできるのか?」


「おそらくアネッサは仮死状態になると思いますが、もはや自力で養分を得ることもできないでしょう。」


「これで一件落着。」


「セイル先輩。あとはアルヴァンさんたちに任せていったん研究室に帰りますよ。」


ドミニクはアネッサを抱えて、お帰り君を使用して研究室へ帰っていった。


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