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テト  作者: 安田丘矩
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新生活を迎えて楽しいのは最初だけ

最近のテレビ番組って、食べ物のロケとか外国人観光客が選んだ○○ランキング

生活に役立つ便利グッズ・裏技、懐かしのヒット曲特集、かわいい動物の投稿

なんだろう、この当たり障りのない番組は。正直、見たいとも思わないんですが

けど、見るものないからとりあえず付けてます。

まぁ昔の番組が自由すぎたと思えばそうかもしれないが

よくいる子供が見てるでしょ勢力については正直意味が分からない

見る自由、見ない自由はあると思います。

そして、子供に悪影響だと判断するのは親の責務なのでは。

その親も、過激なもの見てきたくせにと思うんだけどね。

もちろん、暴力的なことはダメだし、人を傷つけることもダメ

なかなか、その判断がいろんなことで雁字搦めになって難しくなりすぎてますね。

ユリアが来て一週間が経った。ユリアはマアサの商会で工場の縫製員として働くことになった。この村で特にすることもないため仕事があることはユリアにとっては都合が良かった。


シルバはおじいさんと同居することになり、ギンガルの知り合いは彼女が王都で衛兵をいていたことを知っていたので警備の仕事を任された。日々ギンガルの巡回と問題ごとの処理、魔物被害の駆除、討伐をやるようになった。シルバにとってもこの仕事は好都合であった。


ユリアの護衛という立場があるがギンガルの治安維持はユリア自身の安全にかかわる。そして、巡回している間アルヴァンの素行を見ることができる。アルヴァンはシルバとすれ違うたびにゾッとしていた。

そういえば、アルヴァンたちがギンガルに到着して4日後のことだった。


ギンガルの入り口に王都から何人かがやって来た。すごい形相をしてその時、少し騒ぎにはなったがシルバが対応してひとまず自分の暮らしているお爺さんの家に待機してもらった。そして、こっそりとアルヴァンとユリアを呼び出して二人は面会した。


「ユリアよ。大丈夫か。」

レノヴァという国の偉い人がこのギンガルに直に来てしまった。


「大丈夫よ。なんともないわ。」

ジェイスと護衛4人が一緒に同行して来たみたいで目はひどい隈と完全に疲れ切っていた、昼夜寝る間も惜しんでここまでやって来たのだろう。


その様子を見てユリアはアルヴァンに言った。

「アルヴァンさん。これは一大事よ。何とかして。」


『えぇ俺のせいじゃないし。』


レノヴァがすごい形相でアルヴァンを見て言った。

「テトさん。あなたが魔法に長けていることは重々理解しております。けど、あの状況ですごい魔法を見せられ、おまけにいなくなってしまったらこちらがパニックになります。」


「ほら、アルヴァンさん言ったじゃない。こうなるって。」


『他人事だと思って。』


「もちろん、テトさんのことは信用していますがもう少し状況を鑑みて使用していただきたい。」


『俺魔物だし。状況を鑑みるって分からないし。』


レノヴァの説教はそれからも続き、アルヴァンは何を言っているのか理解するのをやめた。そして、帰りたくなった。


「お父様。もうそれくらいにして一先ず休まれては?」


「あぁ、そうだな。けど、急いで帰らないと式典の打ち合わせがある。」


「今からですか!死んじゃいますよ。」


「ははっ、何を言っているんだ。私は大魔導士レノヴァだぞ。心配はいらない。」


突然レノヴァの後ろから大きな音がして振り向くと一人の護衛が疲れ切って倒れてしまった。またユリアの方を向くとニコって笑った。


「ちょっと、アルヴァンさん。このままお父様おろかみんな死んじゃう。何とかして。」


『何とかってなんだよ。俺を便利な魔物だと思って。』


「原因は誰が作ったんですか?」


『はいはい、俺ですよ。』


アルヴァンはとりあえず魔法で眠らせた。レノヴァ含め全員が眠りに落ちた。


「お休みにはなりましたが、これじゃあ式典の打ち合わせに間に合わないのでは。」


『もう、休ませろだの、間に合わないのだの、俺はどうすればいいんだよ。』


「移動魔法で送り返すとか。」


『えぇー。こんな人数送るの疲れる。』


「アルヴァンさん!」


『はいはい、俺が悪いんですよ。』


アルヴァンはカエルから何かを取り出してユリアに見せた。


「それは何?貝?」


『これは夫婦貝っていうんだ。この貝殻を一枚ユリアが持って。もう一枚は俺が持つ。その貝殻を耳に当ててみろ。』


「こう?」


ユリアは耳に当てると『このわがまま令嬢!』と聞こえた。


「誰がわがままよ!」


『なっ、聞こえただろ。』


「えっ?なにこれ?」


『この貝は二つで一つだから、たとえ遠くに離れていても片方が割れない限り、話したりそれを聞いたりすることができる。』


「すごいわ。これどこにあったの?」


『これはすっごい海の深いところにあって見つけるのに苦労した。なんせ、真っ暗だし、砂に埋もれているから探すの大変だった。』


「そもそもなんでこの貝が必要だったの?」


『この貝は恐ろしくおいしい貝なんだ。一度食べてみたくて潜った。』


あぁ、やっぱりそういう理由でしか貝拾いなんてしないわよねとユリアは思ったが黙っておくことにした。

「けど、ほんとこの貝すごいわ。これでお父様に渡しておけば連絡もすぐに取れるということね。」


『あんまり人に知られるなよ。』


しばらくレノヴァたちを休ませて目覚めたときユリアは早速、この貝について話した。レノヴァはすごく驚いた。遠くからでも声が聞こえて話すことができる画期的なこの貝殻。


レノヴァはすぐさまアルヴァンに問いただした。

「テトさん!この貝、まだあるんですか?譲ってください。」


アルヴァンはレノヴァの顔の圧がすごすぎて引いた。そして、首を横に振り応えた。


「お父様、だめですよ。この貝殻とても貴重なものでもうないのよ。」


「そうなのか。すまない。これがあれば各地での部下のやり取りがかなり楽になると思いつい。」


『だろ。この貝を欲しがる奴なんていくらでもいるんだ。だから、見せびらかすなよ。』


「お父様。必ずご自身の自室で保管していてください。あと連絡は週に1,2回程度で。」


「それはだめだ。毎日連絡したい。」


「そんなしょっちゅう連絡することなんてないですよ。緊急事態とかならまだしも。」


『過保護だな。』


こうして、週のやり取り回数は話し合いの結果1日おきになった。レノヴァに貝殻をもたせアルヴァンは移動魔法でカイノスの屋敷へ送還した。


「こういう風に人々が自由に行き来できたり、話したりできる時代が来るのでしょうか。」


『さぁな。けど、物事は思った通りのことしか実現できないからな。なら、いつかはできるんじゃないか。』


「そうね。少し期待してみるわ。」


トラブルもあったがこうしてユリアのギンガルでの生活がスタートしたのであった。


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