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テト  作者: 安田丘矩
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平和ボケ過ぎると何もかも失う

この時期になるとお盆休みの予定を考えてしまう。

というのはこの時期にホテルや旅館を予約しとかないといっぱいになってしまう。

むしろ遅いほうだと思う。

こんなあちぃのによく遠出する気になるよなと思われますが

それでもこの時期だから行きたいと思うんですね。

けど、値段がね・・・結構なお値段でね。

何年か前に熱海行ったときにホテルをケチって安いところに泊ったものの

正直、よくなかったですね。掃除が行き届いてなく。

お食事のビッフェもなんか雑で食べられそうなものがあまりなかった。

どこのホテルなのかは割愛しますが、せっかく行くんだから背伸びしていいところへと

今年はどこへ行こうかな・・・検討中

それから2週間が過ぎてアルヴァンは、レノヴァの屋敷の廊下を闊歩していた。


「おはようございます。テト様。」

「本日の昼食はビーフシチューでございます。」


使用人たちは立ち止まりあいさつや本日の食事の予定を報告され、得意げな顔で頷き顎を上げた。そして、さらにアルヴァンはえんじ色のコートを特注で作ってもらいそれを羽織り首には蝶ネクタイをつけている。


「飼いならされた猫のよう。」

シドは呆れて言った。


『シド、郷には郷にという言葉があり、ドレスコードは必要なのだよ。』


「あんた、楽しんでるだけでしょ。」


『おっといけない。これから訓練場で魔導士の指導だった。行かなくては。』


シドは何も言わなかった。そして、思った「アルヴァン様は基本アホだった。」と。


「あっアルヴァンさん待って。私も行きますわ。」

ユリアがアルヴァンに近づいてきた。


『ユリア、おまえは今日会食があるんだろ?その支度は済んだのかい?』


「えぇもちろん。何年お嬢様やっているとお思いなの。」


『さすが、大魔導士様のご令嬢様だ。抜け目ないな。』


「当然よ。」


二人は笑みを浮かべながら話す。その二人のやり取りをシドはただ見ているだけだった。


訓練場につくと魔導士たちが集まりアルヴァンに向かって一礼をした。アルヴァンは手を上下にジェスチャーし頭を上げさせた。一人の位の高そうな魔導士がやってきてアルヴァンに言った。


「テト様。本日もご指導のほどよろしくお願いいたします。」


アルヴァンは頷いた。今日は一対一の模擬戦で攻防練習する。魔導士たちが二人一組になってそれぞれ対戦し始めた。アルヴァンは魔導士たちを視察して魔力に乱れなく正確に魔法を発動できている。それにより、素早い戦闘ができるし、反射的に発動も可能になっている。これは魔物も見習わないといけないと思った。


さっきの位の高そうな魔導士がやってきた。名前はカーキンと言っていた。

「テト様。手合わせ願いますでしょうか。」


アルヴァンは頷いた。お互いに定位置につき、審判の合図によって模擬戦が開始された。


先手はカーキンが水魔法を放った。大きな水の球がアルヴァン目掛け飛んでくる。特によける気もなくアルヴァンはじっとしている。あと数メートルのところで水が凍り、氷柱に変化した。アルヴァンは手刀で切り裂き、氷柱が崩れた。そして、アルヴァンそのまま後方へ下がると横から氷柱が飛んできて目の前を通過した。


『こいつ、俺を殺すつもりで放ったな。』


アルヴァンは地面に向かって火魔法を思いっきり発動しアルヴァンは上空へ、地表が火の海になりカーキンも咄嗟に距離をとった。一気に濡れた地面が蒸発し湯気が立ち込めた。アルヴァンは水魔法を発動し上空を水で覆った。


カーキンは風魔法でかまいたちを発動し上空のアルヴァン目掛けて風の刃が襲う。アルヴァンは躱し、カーキンに落下しながら近づいていく

。カーキンは懐からナイフを取り出し投げた。そのナイフはアルヴァンをかすめたが歪んだ残像だった。本物のアルヴァンはカーキンの真下へ瞬間移動し、首めがけて手刀で斬撃を放った。


「キャー!」

ユリアの声が訓練場に響き渡たり、周りの魔導士も悲鳴を上げた。


アルヴァンはすぐ後方へ下がり身構えた。カーキンは確かに命中したが首が落ちない。


『こいつ、何もんだ。』


カーキンは少し止まっていたが首を回し後ろを手でさすった。ユリアはアルヴァンに駆け寄りってきた。


「アルヴァンさん!ダメじゃない!死んじゃうわよ!」


『シド、ユリアを連れて逃げろ。』

シドは何も言わずアルヴァンから離れユリアの腕をつかんだ。


「ユリア様。ここから離れます。」


「シドさん、何を言っているの?あれは魔導士長のカーキン様・・。」


「ではありません。あれは完全に別の何かです。」


「ごめんなさい。全然わからないわ。」


魔導士たちは突如現れた黒い物体にあたりは騒然とした。その物体がユリアお嬢様を連れ去ろうとしている。


「おい!なんだあれは!」


「お嬢様から離れろ。」

魔導士たちが騒ぎ始め、カーキンは魔導士たちに命令した。


「悪しき魔物が侵入した。直ちにユリア様を解放するのだ。」

その声に魔導士たちは賛同した。


『やむを得ないな。』


アルヴァンは上空にとどまっていた水を落下させた。魔導士たちがアルヴァンたちを攻撃態勢に入ろうとしたとき大量の水が轟音を上げ訓練場に流れた。水が押し寄せる前にシドはユリアを抱きかかえ屋根に避難した。


水が引いた後、大量の水をくらい魔導士たちは身動きがとりづらくなっていた。魔導士たちがようやく立ち上がり見渡した時にはアルヴァンがカーキンの首を掴み拘束していた。


「おい、なにやっている!カーキン様を離せ!」

アルヴァンはためらわずカーキンの首をへし折った。


魔導士たちが悲鳴を上げ、屋根に避難したユリアも目を塞いだ。地面に倒れたカーキンは身動きもせずじっとしている。


魔導士たちは我を忘れてアルヴァンに魔法を放った。しかし、アルヴァンは氷の柱を発動させ攻撃を防いだ。アルヴァンは再びカーキンを持ち上げ口に手を突っ込んだ。そして、何かを掴み取り出した。


「ひぃぃぃ!エネヴァー様!裏切者です!裏切者です!」


その声は人語でここにいるすべての人間がその声を聞いた。その一部始終を見ていた者たちは固まり声も出なかった。


「シドさん・・・あれは。」


シドは言いづらそうに言った。

「あれは、私たちと敵対している者の配下、ロイコです。生き物に寄生して操ることができる。そして一度寄生された者は死ぬ。」


「そんな・・・。」


その姿は一見ナマコのような見た目だが体内が赤緑に透けて光触角のようなものが体のいたるところからでてきて気持ち悪い。魔導士たちは言葉を失い、嗚咽するものまでいた。


『ロリコ君。いつからこの中にいたのかい。』


「裏切者!裏切者!」


『こいつうるさいんだけど。そもそも、これどうやってしゃべっているんだ?』


屋根にいたシドとユリアが下りてきて、シドはユリアの影に隠れあたかも解放されたように演出した。そして、シドは重ねてユリアに言った。


「ユリア様それ以上近づかないでください。魔力で覆っていなければ確実に寄生されます。」


「じゃあ、カーキン様はなぜ。」


「普段は魔力を覆っている状態なので寄生はまず無理でしょう。けど、一番隙ができる寝ている間とか。」


「そんなぁ。」


「いいですか。これが魔物の戦い方で非情さでもあります。それは肝に銘じていただきたい。」

ユリアは黙り込んでしまった。アルヴァンは締め付けながら再びロリコに問い詰めた。


『ロリコ君。君一人で潜入しているのかな?』

ロリコは苦しみながらも言い返した。


「誰がお前に言うか!この裏切者!人間とつるんで何してやがる。」


『それは・・観光だ。』


「はぁ!ふざけるな!いいか!この国はもう時機に戦場と化すだろう。英雄が収めた地も形無しだな。」


『もういいや。お前と話してても埒が明かないから。』

アルヴァンは移動魔法を唱えてどこかへ消えてしまった。


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