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テト  作者: 安田丘矩
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一日のスケジュールを詳細に記録するのって難しい

前回のエピソードでアルヴァンは難しい料理を嗜むのに挑戦してました。

そして、先日自分はちょっと遠出したとき晩御飯を食べて帰ろうと洋食屋さんへ入りました。

最初は気軽に入れると感じだったので行ってみたら表通りのお店が閉まってる?

とりあえず、裏の駐車場に入れたら案内があって裏のお店が本店だったみたい。

すごい老舗感が漂っていましたが、入ってみたらキチっとした店員さんが

わざわざ席まで案内され、机にはテーブルセットが。あれ、これ堅苦しいやつ?

周りのお客さんを見ると割と気にせずに召し上がってらっしゃるのでいいのかと思ったが、

もしやこれは試されている?試されているのか?やばい、テーブルマナー自信ない!

料理が来るまでスマホで調べておさらいする。まず、スマホいじっている時点でマナー違反ですがね。

食べ終わったフォークとナイフってどっち向きだ?スープって手前か?このスプーンは何用だ?

つたないマナーで何とか乗り切った。もちろんお食事は完璧で感動したが・・・

いい歳なんだからもう少し勉強しろよと自分に説教した。

カイノスでのアルヴァンのとある1日


午前7:00 起床


使用人による身支度。アルヴァンの場合は顔を拭いてからのブラッシングを行う。


アルヴァンは思った『配下がいるのにここまでしてもらったことはない。』と。

ただ、口に出すとヤツが飛び出してきそうなので心の中に留めておいた。


午前8:00 朝食


卵だけでふわふわに仕上げた特製オムレツ、新鮮野菜のサラダ、焼き立てパン、ジャガイモのポタージュ、カモの燻製肉の炙り。お庭が見えるテラス席でいただく。


そして、アルヴァンは思った『俺って魔王城の中でも幹部なんだからこれぐらい優遇されないと割に合わないのでは。』と。


午前9:30 ユリアと共にカイノスの街を見学・ショッピング


季節の植物が観覧できるガーデンを見学。そこのカフェで軽くお茶とお菓子をいただく。アルヴァンはキャラメルクリームのケーキをワンホールと紅茶をいただく。さすがにユリアは人目を気にしていた。


そして、アルヴァンは言った『おかわりはあのキイチゴのタルトで。』と。


ユリアはさすがに我慢できずアルヴァンの手を引いてカフェを出た。アルヴァンは物足りなさそうだった。


次に訪れたのは繁華街。ユリアがガラス細工のお店で小物を物色しているとアルヴァンの姿が見えなくなり慌てて使用人たちと探して見つけたとき、アルヴァンは公園のベンチにいた。


何やら茶色大きな紙袋を隣に置いて何かを食べている。


ユリアが「勝手にいなくならないで!」と怒る。


そして、アルヴァンは言った。『お昼は屋敷に戻るのか?それともレストランに行くのか?』と。


ユリアが紙袋をのぞくと風船菓子という最近街で流行っている表面がパリッとした生地に砂糖がまぶしてある食べ物。それが袋いっぱいに。


ユリアはさすがに思った『まだ食べるの?』と。


午後14:00 レノヴァの誘いで魔導士たちの訓練場を視察


レノヴァが生み出した魔法を直角にと放物線に放つコントロール術を拝見する。

レノヴァは得意げにこの術を生み出すのに魔術式の組み立てが大変だったと自負されたが、アルヴァンはなんとなく魔法をコントロールすればいいのかと思い、とりあえず火魔法を的にめがけて放った。


火の玉が飛んでいくと思いきや円盤状に変形し横回転しながら的に命中した。それを見たレノヴァ含め魔導士たちは言葉を失った。


そして、アルヴァンは思った『あっ、これ間違ったやつだ。』と。


その後は「どうやったのか!」、「魔力の形状変化なのか!」など問い詰められたが答えられる術もなくアルヴァンは訓練場から逃げ出した。


午後17:00 レノヴァ屋敷帰宅(正面は騒がしいので塀を乗り越えて部屋の窓から侵入)


館内が騒がしくなったので何事だと思っていたら、突然ユリアが部屋に入ってきた。


「アルヴァンさん!ダメでしょ!塀から入ってきちゃ!侵入者が分かるように探知術が組み込まれているよ。ちゃんと玄関から入って!」

とユリアに怒られてしまった。


『けど、正面から入ったら今日の訓練場での問い詰めが始まるから嫌なんだが。だから、ショートカットして来ただけだ。』


「お父様落ち込んでいたわ。そりゃ調子に乗っていたのかもしれないけど。あんなすごいの見せられては何も言えなくなっちゃうわ。」


『しょうがないだろ。俺らは魔物だし魔物によっては魔力自体の性質が違うんだから扱い方に違いが出るのは普通のことだ。』


「そうなのね。けど、ここは人間の国なのよ。自重して。」


『けぇ。こっちはお客様なんだぞ。そこまで気を遣えるか。』


シドはさすがに聞きかねて言った。

「気を遣うも何も、アルヴァン様は目立ちすぎているんですよ。ただでさえ魔物なのにこんなに大事になると後々痛い目見ますよ。」


『おまえまで俺に説教か。』


「とにかくユリア様のいう通りに自重してください。」


そして、アルヴァンは思った『俺は俺の好きなように生きるんだ。』と。

ただのわがままだった。


午後18:00 ディナー


なぜかアルヴァンの机には基本的なカトラリーのテーブルセッティングはなく、フォークとなぜが大きなナイフが準備されていた。


そして、シェフが直々に持ってきた料理は豚丸ごと一頭ローストした丸焼きに内臓部には香草と野菜が詰まった大掛かりなものだった。


アルヴァンは大喜びしてその豚に飛び掛かり夢中で食べ始めた。共に食事をしているユリアはアルヴァンの大胆な食事に少し動揺した。


それよりも、本来切り分けてテーブルに出せれる料理を獣のごとく粗々と食べるなんてやはり魔物なのだと改めて実感した。


「アルヴァン様、おいしいですか。よくお似合いです。」

シドは茶化した。


しかし、口いっぱいにお肉を入れ頬張っているのでアルヴァンは言い返そうにもうまくしゃべれなかった。

そして、アルヴァンは思った『もう一頭はいける。』と。


午後20:00 入浴


無駄にでかい風呂場にポツンと一匹。そして、使用人二人が体を隈なく洗う。

さすがに嫌だったので思いっきり湯船に飛び込み逃げる。


使用人二人がアルヴァンを捕まえようと必死に追いかけるが一人が足を滑らせて湯船に着水し、もう一人はうまくかわされアルヴァンは風呂場から脱出した。使用人が必死に追いかけるも捕まらず、最終的にユリアに呼び出される。


「アルヴァンさん。お風呂はちゃんと入ってください。」


『身体ぐらい一人で洗えるわ。なんで二人係で面倒見られないといけないんだ。俺はペットじゃないぞ。』


「けど、傍から見たら可愛らしいからそう思われても仕方ないような。」


『おまえまでいうようになって。俺は今後は一人で入るからな。』


「ちゃんとお風呂には入るのね・・・。」


ユリアは思った『アルヴァン様って意外にきれい好きなのかしら。』と。


午後21:00 屋敷の屋根の上に避難


「テト様がいません。」、「どこですか!」。屋敷の中から声がしているが、さすがに干渉し続けられると面倒なのでここで外の様子を眺める。魔力石が発光して街を照らしている。昼間の白さとは違って暗闇をほのかに優しい光が照らし出していた。


「ロマンチックですね。人間のこういうところは見習わないといけませんね。」


『創造することに関しては優れているからな。』


「ところでいつまでここにいるつもりなんですか?」


『ユリアがここにいるからな。』


「それよりどうするんですか。ベルリッツに戻ることについては。」


『やっぱり戻らないといかんな。リンドン直で行くのはさすがに無理だが、少し離れたところから。でも何があるかわからないし・・・。いい方法がないか研究室へ助力を求めにいかないとな。』


「少しは前進したとは思いたいのですが、思ったよりエネヴァーの動きが早く感じます。」


『あいつがまだこの願いについて知らないことを祈るしかない。ユリアの話だと、ちゃんと継受されている人間が捕まった場合、その情報を聞き出される恐れがあるし。』


「もうとっくに捕まっているとか。」


『その時は・・・その時で。どちらにしろリンドンには行かないとな。』


「アルヴァン様、一生ついていきます。」


『はいはい。』


午後22:00 就寝(こっそり部屋に戻る。)


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