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テト  作者: 安田丘矩
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楽しいお茶会を濁すんじゃない

飛行機の搭乗時刻ギリギリでも間に合うとインフルエンサーが拡散した挙句

飛行機に乗り遅れる人が発生したと記事で読んだんですけど。

ここ十何年ぶりに飛行機に乗った感想は絶対ギリギリは無理です。

出航時刻の1時間前についてトイレ行って空港内をうろうろしていたら入場口の札が上がって、

○○行き保安検査がまだお済ではない方出航の20分前に済ませてください。

保安検査は知っていたけど、済ませる時間までは頭に入れていなかった。

そして、保安検査を済ませて搭乗口前にいると

出航15前になりました、機内の座席の案内に従って入場をお願いします。

余裕持って出てきたつもりが結構いい時間になってしまった。

そう、どう考えても30分前には保安検査を通る必要がある。

そして、遅れる場合でも20分前には入場しないと乗り遅れる可能性大なのです。

そもそも、出航時刻って空港と切り離されて飛行機が飛び出す時間だからギリギリだと

もうすでに滑走路を飛行機が助走位置まで走っているころだと。

皆さんも時間を確認した後に余裕をもってお出かけください。

ユリアの部屋でお茶と生菓子が出されアルヴァンは待てず食べ始めた。ユリアはその様子を嬉しそうに頬杖をしながら見ていた。


「ねぇ、そろそろあなたのお友達に会わせてほしいんだけど。」


『あぁ、そうだったな。出てこい。』

しかし、シドは出てこなかった。

『あれ?』


「恥ずかしがり屋さんなのかしら?」


『いや、口うるさくて、調子に乗って、向こう見ずで行動して、人がまじめにやろうとしているのに冷やかしてくる・・。』


「それ、ただの悪口ですよ!!」

やっとシドが出てきた。突然姿が現れたのでユリアは驚いてソファーの背もたれに支えられた。


「性格的特徴を述べたまでだ。」


「なにが性格的特徴ですか!こんな主に尽くして、ときに身を固にして任を全うする僕がどこにいるというのですか。」


ユリアが驚いて言葉が出ない様子をアルヴァンが察し

『だったら、さっさと出てこいよ。お嬢様がお前に会いたがっているんだ。出てこなかったら不敬だぞ。』


シドは一度ユリアの顔を見た後に話し始めた。

「アルヴァン様。魔物の言葉が理解できて会話ができる人間なんて聞いたことございません。エネヴァーのようにこちらから人語を話すことはできても基本的に魔物の言葉は人間には理解できないはず。それなのに彼女にはそれができる。場合によっては相互に利害が及ぶ可能性があります。」


それを聞いてユリアは我に返り話し始めた。

「そうね。けど、こんな生娘にそんな器用なことできると思うの?」


「できるできないの問題ではありません。互いに利用価値があるという話です。そもそも、ここはイレイア国の大魔導士レノヴァの屋敷であって私たちを招き入れたのも陰謀かもしれませんし。」


『おまえ・・・たまには賢いんだな。』


「アルヴァン様!!」


ユリアはおかしくて笑い始めた。そして、落ち着いた後で話し始めた。

「あなたたちは『スターフィッシュ』って知ってる?」


『なんだ急に。』


「スターフィッシュはこの空を泳ぐ伝説の生き物よ。その生き物はかつてとある集落に住む人々の願いを叶えたの。人々はその願いが叶ったことで生活がよりよくなって幸せに暮らしていたの。けど、欲や嫉妬を抱いた人間がその願いを奪いとり、殺し合いが起きてしまったの。」


『ちょっと待ってくれ。何の話をしているんだ。』


「この願いは受け継がれるの。わたしはおばあ様からこの能力を受けついだの。そして、おばあ様もまたそのおばあ様から。そして、それ以外の方法で能力を得る方法、それは能力者を殺めること。おばあ様もまたそのおばあ様から聞いていたの。決して間違った方法で能力を奪ってはいけない。災いの火種になると。」


『それって・・・。』


「品格者の能力ですね。」

アルヴァンはシドと互いに見合った。


「そんな呼び方をしているのね。そう、ベルリッツ王国で起きた能力者騒動の発端はこのスターフィッシュの願いなの。そして、今その能力をめぐって魔物たちが人間界で躍起になっている。」


「私たちはその能力について追っています。あなたがおっしゃられたことが正しいのであればこの能力の対抗策はあるんですか。」


「言ったでしょ。これは願いなんだと。能力の奪い合いが起きてしまった今になっては手の施しようはないかもしれない。スターフィッシュは人間の願いを叶えたけど、その目的は分からない。そもそも、最初に願いを叶えたのは数百年も前のことなのにどうして今災いが起きているのか私にもわからない。」


『そして、その中で魔物がその能力を求めてやってきたと。』


「あなたたちもその目的なんでしょ。」


『いや・・・あながち間違ってないけど別件で。』


「そうなの。」

ユリアは体を前のめりにしてアルヴァンの話を聞いた。アルヴァンは真剣に話を聞く彼女の姿に困惑した。そして、さすがに新しい魔王を決めるための余興だとは言えなかった。


『そもそも、この能力が公に出てくるまで俺ら何も知らなかったし、未だによく分からない。』


重ねてシドも言った。


「私たちは能力者に接触して始末した後にこの能力を手に入れました。戦闘に特化しているものや諜報に特化しているものなど。間違った方法で願いを奪ってしまっているので、私たちも災いの対象になってし

まうのでしょうか。」


ユリアは少し考えた後で話し始めた。


「そうね・・・。おそらくなんだけど、あなたたち魔物がこの能力を獲得しに来ることが一つの災いなのかもしれないわね。


『俺たちが人類にとっての災いかぁ。もともと人間と魔物はいがみ合ってきたからそうなってもおかしくないのか。』


「ねぇ、今あなたたちが掴んでいる情報がほしいの。わたしはこの国を救いたい。」

アルヴァンとシドはお互い見合った後でアルヴァンは言った。


『そもそも、この能力を求めてきた発端は俺らの魔王が原因だ。俺たちはいなくなった魔王を追うためにこの能力について調べていたんだ。今、魔王の側近がベルリッツを掌握したことは知っている。そして、そいつらも同様に魔王の行方を追っていて、ベルリッツに手掛かりがないとみた。そうなるとおそらくこのイレイアにも進行してくるのは間違いない。』


「そうだったのね。じゃあ、すべてのカギはあなたたちの魔王が握っていると。」


『ユリアからの話を聞いて思ったのは、魔王はスターフィッシュの可能性があるかもしれない。』


「アルヴァン様、どうされたんですか?探偵気取りですか?」


『違うわ。ただ、この状況を招いている魔王がスターフィッシュで目的は願いの回収と人類の支配だと考えるのが普通かなと思っただけだ。』


「アルヴァン様ってたまに賢いときありますよね。」


『おまえな!』


「その線で考えるのが筋かもしれないわね。」


『なぁスターフィッシュをおびき出す方法はないのかよ。』


ユリアは悩んだ後で話し始めた。

「おびき出す方法は分からないけど。流れ星が落ちたところは知っているわ。そこでスターフィッシュは村人の願いを叶えたんだと言っていたわ。」


『それはどこだ?』


「ベルリッツのリンドンよ。」


その街の名前を聞いてアルヴァンは驚いた。

『リンドンだって?俺らが品格者と交戦したところだ。』


「なんですかね。因果というべきでしょうか。」


「あなたたち行ったことがあるのね。正確には少し離れたところに湖があるの。その湖は流れ星の落ちたことによって湖が生まれたの。」


『よし、これであいつらを追い越せるぞ。』


「追い越すって?」


「アルヴァン様。残念ながら、もうリンドウはやつらが掌握してます。」


『下手に移動魔法使ったら足がついてしまうな。どうしよう。』


「二人で盛り上がらないで。これで私があなたたちの敵でないってわかってくれた。」


シドはまだ納得は言っていなかったがアルヴァンが完全に問題ないと思っているので主に従うことにした。


『一つだけ、じゃあこの能力・・・願いは本来はどういうものなんだ。』


「そうね。私がおばあ様から聞いたのは、先代の頃、魔物自体それほど危険な存在じゃなかったの。あちらこちらに魔物がいて時には人間に役立つこともあった。その生活の中で先代は魔物と話せるようになりたいと思っていた。

そしたら、スターフィッシュが落ちてきて村人たちはケガを負ったスターフィッシュを助けたの。助けたお礼に授かったのがこの魔物と話せる能力よ。

他の村人にも、狩りの矢の補給が面倒くさいから無限に出せる矢とか、焼き物に使う泥を手に入れたいとか、いろんな願いを叶えたの。そう元々争いのためのものではないわ。自分たちの生活が豊かになるためのものだったはずなのよ。」


アルヴァンは自分の得た能力について考えてみた。泥濘を生み出す能力はもともと泥を手に入れるためのものだったのか。じゃあ、圧縮の能力はいったいなんだん。アルヴァンは自分の得た能力を考えつつ、ユリアから聞いたこの『願い』について昔どっかで聞いたことがあったが思い出せないままでいた。


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