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テト  作者: 安田丘矩
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こんな始まりでいいのか・・・

家で菖蒲を育て始めた時、金魚も住まわせたらいいんじゃないかと金魚も同時に買い始めたが、

猫や鳥やらの襲撃で最初の1年目は買い足したりしては悲惨なことになり

2年目の初夏にヘルペスで金魚が全滅した後でもう食べられていいので

これが最後としてホームセンターで朱文金2匹を買い、浮いて来ないように沈む餌に変えた。

そして、現在・・・去年新しい命2匹誕生。今年、さらに1匹。家族が増えました。なぜ?

そして、ちょうど2年前になる。現在の魔王『ディオグレイシス』が余興として魔物たちにこう言ったのだ。


「諸君。今、魔物国には刺激が足りない。より王国の発展を願い新たな王を決めたいと思う。我、王との挑戦権を得るための試練は品格者の討伐だ。品格者の持つ能力は我々にとって脅威だがその脅威に打ち勝つことは我々の士気にかかわる。品格者を殺すことで我々は魔物はより高みへと進化できる。さぁゲームを始めよう。」


王宮に群がる魔物たちは歓声をあげ一斉に世界中へと散らばっていった。城の楼門の上、威勢にあふれる光景をながめる王の横にアルヴァンはいた。アルヴァンは王の横顔を見上げた。それに気づいた王はアルヴァンにいった。


「どうだ、アルヴァン。たまには王らしいこともしてみるものだろ。」


《王らしいこと?》アルヴァンはそう思いながらも王に聞いてみた。


「でもよかったの。王を退いて。」


「まぁ我より強いものが王になるのは構わん。それよりもこの国が飽和状態になることがよりまずいだろ。それこそ大昔に我々が犯した奢りだ。それよりアルヴァン、お前も討伐に行かんか。」


「別に興味ない。」


王は「はぁー」とため息をはいた。


「そういうやつが増えているから荒療治が必要なんだぞ。」


「そっか俺のせいだったのか。」


アルヴァンはニコッと王に返答した。


「お前はなぁ。普通だと不敬だぞ。」


「けど、これって出来レースに過ぎない。」


「出来レース?」


「実力的に言ってみれば幹部クラスが明らかに圧倒的だし。特にエネヴァーが有力なのかと。」


「そうだな。けど、チャンスは平等であるべきだ。」


《チャンスねぇ・・・。》アルヴァンは王の考えがよくわからなかった。


シド「アルヴァン様!さぁ行きますよ!!」


いきなり影から出てきたシドが興奮して大声で言った。アルヴァンと王はその声に驚き振り向いた瞬間思いっ切り蹴り飛ばした。「ぐふぁぁ。」と鈍い声を上げ思い切り楼門から落ちていった。


「ほんとだね。荒療治が必要だったみたい。」


アルヴァンは何となく王の言いたいことが分かった気がした。


「そうだろ。そうだろ。だったらお前も行け。」


アルヴァンはため息をついた。




王の気まぐれで始まった品格者の討伐だがアルヴァンはさすがに拒否することはできなかった。自室で身支度をして城を出て行こうとしたとき


「おぉ、アルヴェン。」


この発音の悪い言い方をする輩の声にアルヴァンは無視をした。しかし、声の主をすかさずアルヴァンの前に出て行く手を遮った。


「おいおいつれないなぁ、アルヴェン。同じ幹部のだろ。」


そいつはエネヴァー。一番腕の立つ幹部の一人であり、人間に近い見た目からスラっとした姿に赤い長髪、鋭く吊り上がった目、楓の形の角が左右についている。この興味もないのにおちょくってくる意地糞悪さ、アルヴァンはこいつが嫌いだった。アルヴァンはあいさつ程度に返答した。


「もう出かけたかと思ったけど。」


「そんなに急ぐことはないさ。どのみち、俺がこの国の王になるのだからな。」


《あーやだやだ。どっからこんな自信が湧いてくるものか。》アルヴァンは細目で見上げた。


「そしたら、アルヴェンも俺の幹部として仕えてくれてもいいからな。」


エネヴァーは高笑いをして先に門を出て行った。アルヴァンはすこし立ち止まった後で瞬間移動してエネヴァーの頭上へ、そして思いっきり力を込め拳を頭のてっぺんめがけて殴り掛かった。エネヴァーは一瞬見上げて、瞬時にかわした。しかし、アルヴァンの本命は拳でなく奴の背後を狙った一矢閃光(針のように細くした魔力のレーザー攻撃)。見事に命中してエネヴァーはよろけた。アルヴァンが地面に着地した瞬間を狙ってエネヴァーの影に潜んでいた側近のメージが斬撃を放った。しかし、その攻撃はアルヴァンごと影で覆ったシドによって粉砕された。


「よせ、メージ。もう充分だ。」


エネヴァーはメージをなだめ傷口を回復魔法で一瞬で治した。


「いいね。さすがアルヴェンちゃん。嫌いじゃないよそういうところ。けど、同族同士争うのはまた今度にしよう。メインディッシュは最後に食べないとね。」


その言動に《ほんと、気持ちの悪い奴だ。》アルヴァンは睨みつけた。


「じゃあね。また遊ぼうね。」


捨て台詞を残してエネヴァーとメージの姿が一瞬で消えていった。


「あ・・・あの・・・クソコラぁ!!!アルヴァン様になんちゅうことしてくれぇつぅぁ!!!」


シドが激高し何を言っているのか分からない中でアルヴァンは先ほどの戦闘を思い返していた。《あの本体は一体どこにあるんだ。わざと攻撃をくらいやがって。》エネヴァーの挑発にアルヴァンも怒りを覚えた。絶対いつか殺すとアルヴァンは心を燃やした。


「アルヴァン様!?あんな奴に後れを取ってはいけません。早くいきましょう。すぐに!!」


「・・・どこへ?」


冷静さを取り戻したアルヴァンは切実にシドに問い返した。


「どこって・・・どこ?・・どこ?」


そもそも人間に直接かかわったことすらないし、仕事上潜入して人間を殺めるくらいしかしてこなかったため、特別品格者との遭遇は一度もない。そもそもアルヴァンにとって品格者という存在はおとぎ話の存在じゃないのかと思っていた。


「人間のいるところですよ。」


「人間のいるところのどこだよ。」


「あぁぁぁぁ、もう!それでもわが主ですか!?まったく、そんな優柔不断では士気にかかわります。いいですか、主たるものやはり行動力と圧倒的なカリスマ性を兼ね備えて・・・。」


《あぁ、また始まってしまった、この説教。長いんだよね。全く頭に入ってこないし。》


アルヴァンはとりあえずこいつから逃げることを決めた。話に夢中になっている今、索敵妨害、瞬間移動を行い、ある程度離れたところで移動魔法で適当な場所へ飛んで行った。アルヴァンがたどり着いた先は日差しが降り注ぎ汗ばむくらいの南国だった。初めて南国を訪れたアルヴァンはワクワクしてビーチを散策し始めた。その一方で話に夢中になっていたシドは、ようやくアルヴァンがいなくなったことに気づき、


「アルヴァン様?アルヴァン様ぁー。・・・ちくしょおぉoooOOO!!」


思わず叫び声をあげたシドのもとに王がやってきて言った。


「そういうとこだと思うぞ。お前。」


シドは何も言い返さずしばらくフリーズした。王は顔のあたりを手で振った。


「おーい。大丈夫か。」


するといきなりビクゥっと動き出し、一目散に駆けて行った。その光景に王は


「あいつ・・・影なんだよなぁ。」


王は周りにいた衛兵に視線を送ったが、衛兵たちもその光景に目が点となり王がこちらを見ても首をかしげることしかできなかった。

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