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テト  作者: 安田丘矩
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管理職って板挟みで辛い

最近、足上げ腹筋を100回するようになったんです。

特別太ってはいないのですが座った時に腹回りが落ちてきているのでやってみてたんです。

そしたら、翌朝垂れていないんです。

これって内臓が落ちてきているってことなのか、単に脂肪が燃やされたのか。

腹筋回り自体、効果が出やすいので継続してやっていこうと。

と言ってしばらくしたらやめちゃうんですけどね。

前回は5ねんまえだったっけ・・・意志が弱いのか・・・知ってるけど。

今回に関しては明らかに効果がでているから強固な意志でやり続けます。

前書きでなんの意志表明をしているんだ?

 私の名前はジェイス。大魔導士レノヴァ様の執事をしている。ここ数年他国の不穏な動きにイレイア国では警戒が強化されレノヴァ様は日々頭を抱えている。そんな中でとある村が町まで発展した上に独自の産業を生み出した話が主都の上層部の中で話題に上がっていた。


なんでも住み着いた魔物によって質のいい毛皮が手に入るようになり、今まで穀物や酪農で成り立っていた村が毛皮と食肉の新たな切り口によって富をなすまでになったとか。


うわさではその魔物は凄腕の魔導士さえ頭を悩ます凶悪な魔物を一人で退治することができる。それは我が国にとって益となすのか害となすのか。その魔物を調査すべく私が直接このギンガルに出向くことになった。


実際のところ、本当はうわさが出始めた頃から冒険者を雇いギンガル方面でクエストを受けてもらうついでに立ち寄ってもらいギンガルの様子とその魔物について調査してもらっていたのだ。


しかし、その調査の内容はいつも


冒険者A「すごくのどかですが、料理がおいしかったです。あと例の魔物は特に異常はなかったです。不思議そうに見上げられて接触しましたがバルで一品おごってあげたらすごく喜んで食べてました。物分かりのいい愛玩動物のような感じです。」


冒険者B「ウサギの魔物のお肉って聞いたとき食用なのか迷ったんですけど食べたらすごくおいしくて、おかげで滞在中はけっこう太っちゃって。町を歩き回っている小さい魔物がいたので『ジェイスさんが言ってた魔物だ』と思って声をかけたんです。立ち止まってこっちを向いたとき、キョトンとしてこちらを見ているのでさすがに呼んだだけじゃ怪しまれるので自己紹介したんです。そしたら、ついて来いと言わんばかりに町中を案内してくれたんです。それで一緒に串焼きとメルガン(粒の穀物を揚げて砂糖でからめたおやつ)を一緒に食べました。何だか、弟ができたみたいでうれしかったです。」


冒険者C「そんなにすごい魔物なら是非手合わせしてもらおうと挑発してみたんです。単純なのか向こうもやる気になっていきなり飛び掛かったんです。タガーで脇腹を狙ったつもりだったんですが、切ったのは手ごたえはなく残像だったんです。しまった!と思って咄嗟に左に後ろ飛びしたんだ。けど、そこにも姿はなく完全に見失ったときに頭にドンって乗っかってきたんです。思わずうつぶせに倒れてしまって完全にやられました。まぁその後、機嫌を損ねたのか帰っちゃったんですけどね。さすがに申し訳ないと思って、好物のフレッシュチーズを買っていったら喜んで食べてましたよ。ほんとに魔物なのかと疑問を覚えながら横で食べてる姿を見ていました。」


その後も色んな方々に調査を依頼してその結果、


だからそういうことを聞きたいんじゃないんだけど!


どいつもこいつも『遠足に行ってきました、楽しかったです。』みたいな調査報告しやがって

脅威がないのは十分伝わった。国としての利用価値や協力要請等を判断する材料を見つけてこいっ!と言っているのにどうしてこうなるのかな?仕事してくれないかな。


結局、自分で行ったほうが早いという結論に至り、本日主であるレオ様にお話しさせていただいた。脅威の発信源であるベルリッツ王国を気にされていた。今後の動きではあの魔物を動かしていただけるかもしれないな。レノヴァ様には、この町に中継地として軍の施設を作ることも視野にと報告出来そうだ。


ジェイスが馬車に乗り込み馬車は走り出した。ジェイスは窓の外を眺め農場の代わり映えしない景色を眺めた後視線を馬車の中に戻すと自分の左手に何かとさらに視線を下すとそこにはアルヴァンがいた。


「うわぁ!」


その声に驚き御者は場所を止めて護衛の一人が馬車の戸を開けた。


「どうしましたか?!」


するとアルヴァンがジェイスの横に座っているのを見て一体どんな状況なのか護衛は困惑した。


「テト・・・さん?どうして馬車に乗っていらっしゃるのですか?」


ジェイスは困惑しながらも問いかけた。


『えっ?お構いなく。』


アルヴァンは何事もなくただ横に座り続けた。そして、ジェイスは何かを察しアルヴァンに言った。


「もしかして、先ほどのお話を聞いていらしたんですね。それで主都カイノスへ出向いて直接視察にと。」


『まぁそんなところだ。』


アルヴァンはうんうんと頷いた。


「よかったですね。こう勘違いしてもらって。」


シドは影の中からアルヴァンに言った。


「もともとそういう目的だろ。話が早いほうがいい。」


「そうでしたか。では、これからレノヴァ様のお屋敷へご案内いたします。ギンガルから主都カイノスへはここから3日かかりますので、それまでに2か所街を経由していきますのでお願いします。」


『うむ。』


「なに気取っているんですか。」

シドは冷めた様子で言った。


「うるさい。」


こうしてアルヴァンは主都カイノスへ向かうことになった。

そして、マアサの家ではアルヴァンが戻るのを首を長くして待っているのであった。


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