お節介すぎても嫌われる
占いって信じますか?
気になって見てしまうんですがたまに内容を見て
「難易度高過ぎじゃない!」「いや、実現無理だろ。」な時ありません。
○○座のあなた。今週は運気が上昇していて高めあえる相手がいる方は
さらにお互いに励みあえるでしょう。
まだ、お相手がいない人はすぐに見つけてください。
ちょっと待て。その相手はいずこへぇ?今週中に見つけられるのか!
まぁ占いなんて明日の励みになればいいくらいでしか思っていないけど。
先日、詐欺やだまされることがあるかもしれませんので注意してください。
いやいや、だまされないだろ・・・身内がフィッシング詐欺に引っ掛かりました・・・。
えぇ・・・そっち?
テスターさんの家に帰ると玄関の前にテスターさんが立っていた。近づいてくるアルヴァンにテスターさんは手を振った。
「おぉ、お帰り。いつの間にか農場からいなくなってたから心配したよ。まぁぼっちゃんなら心配いらないか。ところでぼっちゃんを見込んで相談なんだが、最近ウサギの魔物の被害が多くてね。狩りに出たくても作物の収穫で忙しいんだ。お願いできるかい。」
『ウサギ?村まで下りてきているのか?』アルヴァンは首を傾げた。
「難しいか・・・やむを得ないな。どうやらウサギの魔物の被害の原因は、山奥で駆けずり回っているでっかい熊なんだ。そいつに怯えて弱い魔物や動物が村まで下りてきているんだ。」
『熊・・・駆けずり回っている熊・・・。あっ。』アルヴァンは思い出してしまった。
『ごめんなさい。犯人は俺です。そうか、あれまだ静まっていないのか。』
すると左手から気配がすると思い振り向くとそこにはレオが歩み寄っていた。
「お兄ちゃん起きたか。災難だったな。川で流されるなんて。びしょびしょのままこの子が運んできたから驚いたよ。」
テスターさんが先に声をかけた。二人の前に立ち止まりその問いかけに渋い顔をした後アルヴァンの方を細い目で見た。
『何か言いたげだな。まぁ別に俺は関係ないけど。』テトは目線を逸らした。
「助けていただいてありがとうございます。ところでここはどこですか?」
「ここかい?ここはギンガルの村だよ。まあ特に何もないがキビの栽培が盛んでここでは砂糖も作っているんだよ。」
畑の方を見ながらぼぉーっとしているレオにアルヴァンは『こいつまだ正気じゃないのか』と思っていた。
「兄ちゃんこそ、どこか行く予定だったんじゃないかい。」
「あっそうなんですが・・・。実は記憶が飛んでいるせいか覚えていないんです。」
「なんだって。記憶喪失ってやつか?それは大変だ。」
「すみません。」
『あっこいつ嘘ついたぞ。正直に勇者様だぞ!とか言ってみろよ。』
「謝る必要なんてないさ。しばらく休んでいるといい。」
「ありがとうございます。えっと・・・。」
「あぁすまなかった。名前がまだだったね。テスターだ。よろしくな。」
「レオです。こちらこそ。」
テスターさんはの牛舎の方へ行ってしまった。レオはそれをしばらく見つめ立ち尽くした後アルヴァンに詰め寄った。
「テト。一体何があったんだ。もう本当にわかんないよ。」
『俺はおまえの起伏の激しさに驚くわ。』アルヴァンはレオを掴めずにいた。
『アッ、そうだ。』と毛皮を換金したお金をレオに差し出した。レオがお金の入った麻布の巾着を受け取ると驚き、
「このお金どうしたんだ。」
『さっきから質問攻めだな。少しは足りない頭で考えろよ。』アルヴァンは近くにあった木の棒を拾って地面にテンの魔物毛皮の絵を描き始めた。レオはそれを見て少し考えこんだが
「あぁ、魔物の毛皮か!」
『はいそうです。この先の雑貨屋だ。』
「そうだったのか。テトはこんな交渉もできるのか。すごいな。」
『こいつだと宝の持ち腐れになりそうだからな。』
レオは銀貨を手に取り書いてある文字を読んでいるみたいだ。どうやらピンときていないみたいだ。すると突然部屋へと戻り、ベッドの横に置いてあったリュックから染め布の巾着袋を取り出した。お金を机に広げ数えだし、さらに中身も改めて床に広げ確認し始めた。
『こいつ、金の亡者にでもなったのか。いやらしい。』アルヴァンは扉近くでその様子を伺った。一通り物色したあと後でレオは目に入ったアルヴァンに言った。
「テト。村の中心まで案内してくれるかい。」
『いきなり何なんだ。状況説明しろだの、金の出どころだの。一応魔物だぞ。そんなこと知るかよ。ったく、しょうがねぇな。』
アルヴァンは部屋を出て玄関に向かっていった。
「ちょっと待って。もう行くの?」
部屋の入り口から顔を出しているレオにアルヴァンは一瞬振り向いた。
「お前が案内しろって言ったんだろ。さっさとついて来い。」
アルヴァンはテスターさんの家を出て村の中心部へと走っていった。
村の様子をまじまじと伺うレオはようやく雑貨屋を見つけて扉を開けた。店内にベルの音が響き渡りレオは物静かな店内を恐る恐る入っていった。机に並んだ食器や雑貨を一通り見た後でレオはオルゴールを手に取った。
『おいおい、勝手に壊すなよ。』と横目で見るアルヴァンをよそにレオはオルゴールのネジを回して音楽を奏でた。レオはその音楽に聞き入っているとマアサが奥から現れ横から声をかけた。
「いいでしょ。それ。」
「うぅわぉ。」
レオの肩がビクッとなりそれを見ていたアルヴァンは『ほんと、間抜けな奴。』と呆れていた。
「ごめんね。おどかすつもりはないのよ。あまりに見惚れていたから。」
「すみません。勝手に触ってしまい。」
「いいのよ。・・・。」
二人が話している間アルヴァンは戸棚に置いてあったビンを見つけた。アルヴァンはテスターさんの家で食べたフレッシュチーズが忘れられず作ってみようかと思い飛ぼうとしたが
「あら?ちびちゃんじゃないの?また、毛皮を取ってきてくれたのかい。」
アルヴァンは肩をビクッとさせてマアサの方を向いた。すぐ目の前に来ていたので少し驚いたが首を振って合図した。
「また取ってきてくれたら換金してあげるからね。」
アルヴァンは二回頷いた。
「あの、すみません。服が欲しいんですけど、作っていただけませんか。」
「あぁ仕立ての注文ね。どんな装いだい?」
レオとマアサがやり取りをしている間アルヴァンはカウンター横の椅子に座った。
「アルヴァン様も人間に驚くことあるんですね。」
シドはアルヴァンを茶化した。
「うるせぇ。マアサの圧が強いんだよ。」
「すみません。あと、ローブを一着。そのちびちゃんのを。」
レオの注文にアルヴァンは『えぇ?今なんて。』と目を向けた。
「あらあんた、ちびちゃんの知り合いだったのかい?どんな生地で作ろうか。」
『いやいや、ローブなんていらねぇよ。どんな気の遣い方してんだよ。』
マアサはアルヴァンに近づいて「ちょっと見せてね。」とアルヴァンのローブをさわって見た。
「これはリネンの生地だね。けど、縫い方が特殊ね。まるで模様のようにみえるわ。」
レオも近づいて見にきた。さすがにまじまじとローブを見られるといい気はしなかった。
『おいおい見世物じゃねぇぞ。』と機嫌を損ねた。
「きっと、特別に作ってもらったものなのね。」
『いや、ゴミ捨て場に落ちてただけだぞ。』
レオはアルヴァンに近づいた言った。
「新しいローブをプレゼントしたいんだけど受け取ってくれるかい。」
『だから、いらねぇって。』とアルヴァンは首を横に振り『俺はあれが欲しいんだ。』と戸棚を指差した。レオはガラスのビンに気づき、
「これがいいのかい。」
「一体なにに使うのだろうね。じゃあせめてローブのほつれを直してあげよね。」
「すみません。いくらですか。」
「いいのよ、サービス。ビンのお代はいただくけどね。」
レオは仕立代とビンのお金を払い、アルヴァンにビンを渡した。
『これでよし。』
アルヴァンは受け取るとすぐに店から出てテスターさんの農場へ走り出した。
「テト!ローブを手直しするから置いていって。」
アルヴァンは遠くなるレオの声を無視して一目散に走っていた。