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テト  作者: 安田丘矩
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切っても切り離せない関係

まだまだ寒い日が続きますね。外は雪、中は乾燥。頭は鈍くつい昼寝をしてしまう。

こういう日って動きたくなくなるものですね。

昔、家ではこたつを出していたんですが、もう物置に封印されています。

あれは、魔の者ですから。一度入ったら、すべての行動が減速し眠りに誘われる。

眠ったら最後、起きた時には『アッ眠っちゃった。』そして体がだるい。

こたつが悪いわけではないけどやはり人間の怠惰さは捨て去れません。

それに・・・あれ片づけるのほんとめんどくさい。

机じゃなんんだ、布団と敷布団のほう。洗わないといけない、干さないといけない。

圧縮袋に入れて掃除機かけて・・・。ごめんなさい、堕落して(反省)

ギンガルに戻ってきて三日後。アルヴァンは水牛の背に乗っていた。アルヴァンの中で一つ引っかかっていることがあった。それは『流れ星』だった。過去に出会った人間から流れ星にまつわる話を聞いたことがあったがその内容が思い出せず上の空でいた。


ただ、この流れ星が原因として人間に何故品格者として能力を授けたのかが謎だった。流れ星に願うなら普通そんな能力より、もっと実用的な能力やもっと言えばお金だの食べ物などを願うのではないのか。そして、その能力について知っているはずのディオは俺たちに一体何をさせたいんだ。


「アルヴァン様。お似合いですね。このまま一層この牛に跨って旅をすればいいのでは。」


影の中から茶々を入れてくるシドにアルヴァンはため息を漏らした。


「お前はいいよな。俺の従者で。」


「そうですね。アルヴァンは様の僕でよかったと思います。エネヴァーだったら・・・殺したくなります。」


「それでも、影の者は何があっても着いて行かないといけないんじゃないか。」


「ほんと、メージは頭おかしいですね。」




シドとはディオに雇われて間もない頃に従者をつけることになりそこで出会った。正直、一人が気楽だったし従者などいらないと思っていた。そして、このディオについてもまだ意図が読めずに明らかに監視する目的だと警戒していた。王の間に呼び出されその隣にはまだ幹部として間もないエネヴァーがいた。この時からすでにこいつが嫌いだった。なぜなら、エネヴァーは見下ろしながら鼻で笑っていのだ。あからさまな挑発に『こいつ今すぐに亡き者に・・・。』と王の間を血で汚そうと思っていたが、タイミング悪くディオがやってきて玉座に座った。


「すまない。待たせてしまったな。」


エネヴァーは跪いて頭を下げた。アルヴァンはその様子を見て真似するのも嫌だったので軽く会釈だけで返した。


「呼び出したのはお前たち二人に従者をつけようと思う。」


「魔王様。ありがたき幸せ。」


エネヴァーがこう返事をした後でアルヴァンは


「お気持ちだけで十分です。」


エネヴァーがこちらを見て睨んでいるのは知っていたが無視した。


「ほう。従者はいらないのか。」


「別にいたところで動きづらいし、干渉されたくないです。」


「お前は正直だな。だが、これは命令として受け取ってくれ。」


アルヴァンは心の中で舌打ちした。ディオは扉の前で控えていた衛兵に合図し扉を開けた。そして、二体の魔物が王の間に入ってきた。黒くまがまがしい布に覆われて赤い光する目が印象的な魔物と灰色で細長い腕が特徴的で顔の部分が木彫りの面で覆われた魔物だった。


「さて、お前たち自己紹介を。」


先に前に出たのは木彫りの面をつけた方だった。


「お初にお目にかかります。メージと申します。どちらにお仕えするのかは存じておりませんが影の者として従順にいたします。」


次に黒い布をまとった魔物が前に出た。


「この度は魔王様直属の幹部方の従者となれることを有難く思います。名はシドとお申します。よろしくお願いいたします。」


二体は跪いて頭を下げた。


「さて、アルヴァンとエネヴァーよ。どちらか一体を従者としてついてもらうが希望はあるか。」


「いえ、むしろ魔王様の指示通りに。」


エネヴァーは頭を下げたまま申した。アルヴァンは二体の様子を伺ったが、正直いけてるのは木彫りの面をつけた方だと思っていた。センスがいい。それに比べて黒い方は、無難な感じ。ただ、従者はいらないと言った手前出しゃばることもできず。


「右に同じ。」と応えた。


「そうか。ではメージをエネヴァーに。アルヴァンにはシドをつけよう。」


『そっちかぁ。まぁ仕方ないけど。』アルヴァンはちょっとがっかりした。シドはアルヴァンの前にやって来て言った。


「初めましてアルヴァン様。私はシドと申します。影の者は執事家系であり魔王であられる方の僕でもあります。これからも魔王様のためにあなた様について参ります。」


シドは一礼をした。


「うーん。チェンジで。」


「今なんて?」


「なんだか・・・使命感が重い。」


シドは目が点になり固まってしまった。それを見かねてディオは言った。


「こら、アルヴァン。チェンジなんてできない。シドが気の毒だろ。」


「でも、方向性の違いが。」


するとシドの様子が一変してそして・・・。


「我ら影の者を愚弄するつもりか!!!いくら魔王様の幹部とは言え許さぬ!」


激昂したシドがアルヴァンに飛びかかろうとしたが隣にいたメージに抑えられシドは王の間から出されてしまった。


「あれは本当に従順たる僕なのでしょうか。魔王様。」


ディオは細い目でアルヴァンを見て言った。


「今のは明らかにお前が悪い。シドに謝って正式に従者として迎え入れるのだ。わかったな。」


「あっ、はい。」


こうしてアルヴァンとシドはお互い最悪の出会いから今に至る。




なぜかシドとの出会いを回想してしまったアルヴァンはどうでもよくなってしまい、水牛から下りた。


「あら?どちらへ行かれるんですか?」


シドはアルヴァンに問いかけた。


「村の雑貨屋に行く。」


「何用で?」


「それはお腹が空いたからだ。」


「さっき朝ごはん食べたばっかりじゃないですか。」


「あれじゃ足りないんだよんだよ。」


あれじゃ足りないんだよ?とシドはアルヴァンの朝の様子を思い出した。窯のフチで炙ったパンに炒った卵をのせて甘じょっぱいソースを垂らして食べ、隣の農家の人から頂いた果物を頬張ったいた。それを5セット。お世話になっているテスター家はそこまで裕福ではないが、主がこんなに食べているのに決して嫌な顔せずに喜んで差し出している不思議。アルヴァン様気づいてください。それは普通だったら食い意地の悪い厄介な居候なんですよ。


「お前、絶対悪口を言ってただろ。」


アルヴァンは察しよくシドに問いただそうとした。


「何をおっしゃいますか。アルヴァン様の仰せのままに。」


シドはこういう時に鋭いんだからと思うのだった。そして、アルヴァンたちは村の中心部へ向かった。

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