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テト  作者: 安田丘矩
23/76

愛が生まれた日、その時に・・・

先日、恵方巻を食べました。美味しかったです。終わり

・・・そもそも恵方巻の習慣ってなんだなんだ?

十何年前までそんな習慣なかったし、節分豆だけじゃダメなのか。

それかいわしを買って、頭と骨を残して榊をつけて外に飾るような風習。

ニュースでも大量に廃棄されるこの恵方巻を見るといたたまれない気持ちに。

せめて限定品、数量限定みたいな売り方ではだめなのだろうか。

そもそも価格的にまぁまぁするからね、あの太いの。

商業的に始まったイベントって時機に廃れていくものなのにまだやるのかぁ。

いい加減この習慣は終わった方がいいと思うし、食べたかったら手巻き寿司パーティでもするよ。

アルヴァンはあの時のことを思い出したが特に変わった様子はなかった。


「そう言えば、ディオはなんで品格者のこと知っていたんだ。」


「そりゃあ、人間界に言った魔物から聞いたんのでは。」


「それって誰だ?」


「知りませんよ。魔物なんて基本自由に生きてるんですから。」


アルヴァンは窓の外をじっと見つめた後シドに言った。


「ちょっと魔王城へ戻るか。」


アルヴァンはいきなり移動魔法を唱え魔王城へ飛んだ。そして、メティスはレオの部屋に置き去りになった。


「・・・。だから!俺の扱い!!」




アルヴァンは誰もいなくなった魔王城の書庫で散らかしながら書類を漁っていた。貸出記録、出納帳、勤怠表・・・。


「これ全部目を通すのですか?」


「いや、調査報告書でいい。」


棚に置かれた製本された書類を引き出しザっと目を通す。少し考えながらあの発表の1年くらい前を目安に探してみた。パラパラとめくっていると紙が挟まっているページがあった。アルヴァンはその紙を手に取り書いてある文字を読んだ。


『アルヴェンくん。きみはほんとマヌケだね。byエネヴァー』


アルヴァンはその紙を握りつぶし火魔法を唱え手の中で燃やした。


「アルヴァン!火事になる!!」


我に返ったアルヴァンは魔法を解除した。


「いきなり何やってるんですか!」


「いや・・・む、虫がいたからつい・・・。」


「虫ですか?重要書類がある場所には防虫対策されているはずですが。」


「見間違えたかも・・・。疲れているのかな。」


「さっきあんなにおいしそうに食べてたのに?」


「それより記録があった。」




×月〇日 人間界 ベルリッツ王国 王都潜入~その愛を求めて~


今日もお肌の調子は芳しいそして美しい。何十年ぶりかしら、人間界だなんて。実験用に狩っておきたいけど今日は王都での潜入業務。いくら私が変装が上手だからと言って人が悪いわ、魔王様。私だって本当はごりごりの戦闘系なんだから。




「アルヴァン様。これ本当に報告書ですか?しかもこれって。」


「大丈夫。同じこと思っているから安心して。」




王都のギルド休憩所で冒険者に紛れて観察を行う。剣術、魔術に長ける者たちが集まり依頼をこなしている。その中に魔術とは違う互いの能力を使うものを発見した。その名もアメスト。光の矢を生み出し、はるか遠くまで飛ばすことができるそうだ。実際に能力を使っているところ見てみたいと思い、彼との接触を試みた。私が席に立つと。


「おい、そこのあんちゃん。俺たちとパーティを組まないか。」


三人組の厳つそうな3人組が絡んできた。一人は大柄で体格のいい男。二人目はひょろ長でキリリとした目の横にあざがある。三人目は背は低く童顔を隠すためにひげを蓄えていた。


『えっ?ちょっと待って。これってモテキじゃない。どれをお持ち帰りしていいの?全部?全部?何に使おうかなぁ。とりあえず、ばらした後で肝臓を使って・・・。』


「おい、聞いてるのか。」


大柄な男が強い口調で言った。


「あっ、ごめんなさい。あまりに勇ましかったのでつい見惚れてしまって(実験用に)。」


「そうか。なら、その勇ましい俺たちがいれば怖いものなしだぞ。」


「本当ですか。(これは俺たちをバラしてくれって言うオーケーサイン。)」


そして、私はこの三人組と行動することになった。




アルヴァンは報告書を閉じた。


「なんで、報告書なのに別の何かが始まっているんだ。」


「ちょっと続きが気になるんで見せてください。」


「お前、これ見るの。」


シドはアルヴァンから報告書を受け取り内容をざっくりと見た。


「アルヴァン様。わかりました。」


「何が?」


「この大柄な男。今ユリス様の研究室にいます。」


「なんでそうなる!持ち帰ってきたのか?実験体に?」


アルヴァンはシドから再び報告書受け取り最後らへんを見た。




私たちは三か月の冒険の旅を終えた。そしてそれは任務期間の終わりを告げていた。魔王城へ帰らなければならない。


「ユリス。行くな。俺のそばにいてくれ。」


大柄な男ドミニクは強く懇願した。


「ダメよ。私は魔物よ。あなたとは一緒になれないわ。」


「それなら俺がお前のそばにいる。それなら・・・。」


「それもダメだわ。あなたを・・・あなたを危険な目にあわせるなんてできない!」


「その時はお前が俺をずっと守っていてくれるんだろ。」


私の心は落雷に撃たれたくらいの衝撃が走った。そう・・・これは愛!私は彼と強く抱きしめあいそして、魔王城へ帰っていった。めでたしめでたし。




アルヴァンは頭を抱えて、そして言った。


「ユリスってバカなの?」


「それ今さら言います。」


「これを読んだディオは何を思ったんだか。よくこの報告書で大丈夫だったのかが不思議なんだが。」


「まぁユリス様が魔王様に品格者が現れたことを伝えていたのですね。」


「だとするとディオは品格者の能力について知っていた。そして、その能力者の出現するタイミングを見計らっていた。その能力を回収する必要がある。そこまでははっきりした。」


「ただ、王につながる手がかりがありませんでしたね。」


「とりあえず、ドミニクに会いに行くか。」


「ドミニクですか?実験に使われたのでは。」


「多分生きている。エネヴァーはあそこに入れないし。」


「なぜエネヴァーが?」


「とにかく、ユリスの脚色を見るよりその時いた人物に聞くのがいいだろ。」


アルヴァンは書庫を出てユリスの研究室に向かった。

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