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テト  作者: 安田丘矩
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予想の斜めへ行くとさすがに動揺する

会社でお菓子を配られると素直に嬉しいですか?

お土産とか気をきかせてお菓子を振舞われるけどあれ結構困る。

選り好みすることもあるけど、一番に甘い間食するお菓子を食べなくなったから。

すると、そのお菓子いつ食べようか考えてしまい、結局引き出しの肥やしに。

さすがに賞味期限があるので会社のお友達にあげに行く。

断れればいいんだが、さすがに角が立つのも嫌なので受け取ってる自分。

これは自分だけなのでしょうか。できれば、もらわずに躱せる方法があれば知りたい。


採掘場の仕事始めは少し日が高くなってからだ。皆ぞろぞろと採掘場の前に集まり、頑丈な木で作られたヘルメットを被り整列した。皆が集まる前に朝礼台をピッチとパッチは一緒に運びその台に乗って朝礼を始める。


「皆さんおはようございます。」

ピッチとパッチは揃って挨拶をした。

すると皆から

「ちぃえぇええええあああっすすうぅ!!!」

と元気な声が聞こえた。


「はい、皆さん今日も1日ケガのないようにお願いいたします。」

ピッチが頭を下げた。


「今日は、昨日から新たに進めている3番地の採掘を中心に進めて行きます。一班は3番地へ。二班は鉱石の地上への運搬を。では皆さんご安全に。」

パッチが頭を下げた。


「うぉおおお!!!しゃあぁあああ!!!ぁっぜぇええんにぃいいい!!!」

皆一斉に声をあげた。その朝礼を後ろの方で見ていた。


ベリーゴッドンは皆が作業に取り掛かり移動し始めた後ピッチとパッチを呼び止めた。

「おい、この朝礼やる意味あるのか?」


「ベリーゴッドン様。安全第一です。鉱物採取は崩れはもちろん、鉱毒の危険性も伴います。」

ピッチが言った。


「そういった危険を認識したうえで自身に注意を促さないと本当に危険ですよ。」

パッチが言った。


「おまえら、いつから転職したんだ。」


「ベリーゴッドン様も早く持場へ行ってください。今日はインゴッドの加工ですよ。」


「ちょっとまて、俺は魔水晶の作成しかやらん。」


「だめですよ。ただでさえ魔法を使える魔物がいないんですから。」

ピッチが言った。


「そうです。ベリーゴッドン様は総責任者として本来は全ての班を確認してもらわないといけないんですよ。」

パッチが言った。


「俺は魔水晶が食べたいんだ。なんで労働なんてしないといけないんだ。」


「俺ら魔法使えるけどコントロールがうまくできません。」

ピッチが言った。


「魔水晶を生み出せるほどの力はありません。」

パッチが言った。


「なので、ベリーゴッドン様頑張ってください。」

ピッチとパッチは揃って言った。


「何が頑張ってくださいだ。それでも魔物か!」


「怒らないでくださいよ。俺らだって大変なんですよ。」

ピッチが言った。


「そうですよ。作業員の管理や部材のチェックと調達、各鉱物の採掘量の帳面記入などなど手一杯です。」

パッチが言った。


「現場はひっ迫しています。何とか労働力を確保しないとこのままだと過労死しちゃいます。」

ピッチが言ったあとでパッチは頷いた。


「・・・おまえら。なんで産業にしているんだ?そもそも水晶だけでいいんだぞ。勝手に業務を増やした結果だろう。」


「なんか・・楽しくなっちゃって。ねぇパッチ。」


「魔王城で働いていた時はマンネリとエネヴァー様に不信感があったから。今は生き生きと働けるから楽しい。ねぇピッチ。」


ベリーゴッドンは頭を抱えた。このままだと隠居どころか永遠に働く羽目になる。謎にピッチとパッチが労働の尊さを感じるようになってしまいその意欲をそぐような真似ができないため余計に悩ましくなっていた。


ふと、ベリーゴッドンはアルヴァンのことを思い出した。そして、何時ぞやにもらった『お家に帰っておいで』を取り出した。

「そう言えばこれを立てておけばあいつがこっちに来られるって言ってたが。」


ベリーゴッドンは『お家に帰っておいで。』を地面に差して待ってみた。しかし、何も起きなかった。


「何も起きないじゃないか。ただのゴミを持たされただけか。」

ベリーゴッドンはため息を吐いた後で不満をもらしながらも自分の仕事をするのだった。


それから数日が経ったとある晩のこと。『お家に帰っておいで。』の前に一匹の悪魔がやって来た。アルヴァンだった。


「えっと・・・ここなのか?」

アルヴァンは辺りを見渡した。採掘場にいるみたいだがここがシロモンドなのか疑問に思っていた。アルヴァンの影からシドも現れてアルヴァンに問いかけた。


「アルヴァン様。ここにベリーゴッドン様たちが?」


「この『お家に帰っておいで。』が刺さっているんだから間違いない。けど、あいつらはどこにいるんだ?」


「それにしても立派な採掘場ですね。整われていますしおまけに精製所もありますよ。どうやらその魔水晶の採掘に成功したのでしょう。」


「あいつこだわりが強いから一々うるさいけどここまで整備されていると脱帽だな。」


「さて、どこかに建物があれば・・・あそこに建物が。」

シドは光が灯る大きな建物を指さした。


「本当だ。行ってみるか。」

アルヴァンたちはその建物に近づいてみると密林に馴染む色彩や彫刻が施された宮殿だった。

「あぁ、あいつだわ。」


「ベリーゴッドン様ってオシャレなんですね。」


「あんなに堅物なのにな。」

アルヴァンは宮殿の扉の前に立ちどこかに呼び出しがないか探してみたが見つからず大声で呼んでみた。

「おーい!ベリーゴッドン!!!いるのか?!!」


しかし返事はなかった。


「もう寝てしまったのでは。」


「おかしいな。そんな規則正しい生活をしている奴じゃないのだが。」


「無事に隠居したのでしょう。」


「あぁ!!アルヴァン様だ!!」

聞き覚えのある声に振り返るとピッチとパッチが近づいてきた。


「お久しぶりです。」

ピッチが言った。


「アルヴァン様もこの島に来たんですね。」

パッチが言った。


「まぁベリーゴッドンがちゃんとシロモンドで上手くやっているか偵察にと。あとちょっと用があってな。」


「ベリーゴッドン様は温泉に入っているのでしばらく戻ってきません。」

ピッチが言った。


「ベリーゴッドン様、ストレスが溜まっているせいかお風呂の時間が長いんです。」

パッチが言った。


「えっ?温泉?おまえらこの島で何があった?」


「何ってベリーゴッドン様の言われたとおりに隠居生活を有意義に過ごせるように島の開拓を。」

ピッチが言った。


「僕たちリゾートエリアの夜勤者への引継ぎを行ってきたんです。」

パッチが言った。


「夜勤者の引継ぎ?」

アルヴァンは困惑した。


「ピッチとパッチがここまでパイオニアだとは思いませんでした。」

シドは目を丸くして言った。


「うーん。パイオニアって感じではないけど、なんか楽しくなっちゃって。」

ピッチが言った。


「けど、土台はほとんどベリーゴッドン様がやってくれました。」

パッチが言った。


「あいつなんだかんだ言ってピッチとパッチに甘いから。」

アルヴァンは頷きながら言った。


「気難しい性格ですからね。ピッチとパッチがちょうどいいんでしょう。」

シドが言った後で声が聞こえた。


「誰が気難しいだ。」

突然ベリーゴッドンが現れ皆変な声をあげた。


「おい、ステルスはやめろ!びっくりするだろ。」

アルヴァンはベリーゴッドンに指を差して言った。


「うるさい。俺がどうしようが勝手だ。」


「ベリーゴッドン様。アルヴァン様たち用があってここに来たそうです。」

ピッチが言った。


「用だと。特に聞く義理はないが。」


「そんなこと言わずに。それに俺たちと別れた後のことも聞きたいだろ。」

アルヴァンは手をこまねきながら言った。


「俺はもうこの島に隠居している。別に聞きたくない。」


「けど、ベリーゴッドン様。隠居できないって言ってたじゃないですか。」

パッチがまじまじとベリーゴッドンを見つめながら言った。


「それはだな・・。」


「ほうほう。隠居ができていないって。どうしてだろう。こんな何もない島なのに。」

アルヴァンが目を細くし笑みを浮かべながら問いかけた。


「あぁそれはですね。やることがありすぎてこの島のマンパワーが不足しています。なので、ベリーゴッドン様に働いてもらわないと維持できなくなっています。」

ピッチが堂々と話した。ベリーゴッドンは何も言い返さなかった。


「仕事ができる部下がいると上司も大変ってことか。ベリーゴッドン、悪い話じゃないんだ。聞いて欲しい。」


ベリーゴッドンは少し考えた後ため息を吐き言った。

「聞くだけだぞ。」

ベリーゴッドンは先に宮殿の中に入り後を追うようにアルヴァンたちも入って行った。


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