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テト  作者: 安田丘矩
18/90

ジビエ料理って少し勇気がいる

今の季節、温かい飲み物が欲しいですね。自分は緑茶が好きで一年中飲んでます。

あまい飲み物をあまり飲まなくなり、夏場たまにサイダーを飲む程度で

そして、コーラなんてもうずっと飲んでなかった。

けど、先日友達の家にお呼ばれされたとき十何年ぶりにコーラを飲んだんです。

すっごく抵抗があった。何だろうスカッとする飲み物のはずなのにこの拒絶。

この飲料水に含まれる甘味料の量を考えただけでゾッとした。

ただ、サイダーにもまぁまぁ入っているとよくよく考えたらそうだね。

何だろう、やばい大人になってきているのか?それかもともとやばい人間なのか?


ここはミシュバーン大陸のイレイア国のギンガルに近い渓谷の山の上。山頂から見下ろすと森の青さや谷間を流れる透き通った川が美しい。その川の下流にあるのがギンガルの村である。ここでアルヴァンの検証が行われようとしていた。


検証1 とりあえずここから投げて落としてみる。


アルヴァンは思いっ切りレオを投げ飛ばした。30メートルくらい飛んだあと落下し斜面を転がり落ちていく。それをじっとアルヴァンは見つめた。


「まぁ多分傷つきはしないでしょうね。」


「知ってる。ストレス発散程度の軽いジャブ。」


「やってることは全くジャブじゃないですけどね。」


姿が見えなくなってアルヴァンはレオを探しに山を下りて行った斜面を下って崖下を確認すると崖底で倒れているレオを発見した。崖底へ降りてレオの状態を確認したところ全くの無傷だった。


検証2 毒草を食べさせる。


アルヴァンは近くにあった毒草をこなしてレオの口に入れた。眠っていたがレオは無意識的に毒草を吐き出した。その毒草は口に入るとのどがひどく炎症し気道を塞いでしまうくらい腫れてしまい呼吸困難で死亡する。レオは一瞬苦しそうになったがすぐに元通りに戻った。


「毒さえもダメなのかぁ。」


「殺意があるとダメとか。」


「じゃあ毒が入っているとは知らずに入れれば毒にかかるかも?」


「アルヴァン様。何かが近づいてきます。獣だと。」


「ちょうどいいや。ちょっと隠れて様子を見ようかな。」


アルヴァンはカエルからレオのリュックを取り出し本人の横に置いて少し離れた木陰で様子を見ることにした。


レオは目を覚ました。あたりを見渡した後で


「おーい。テトぉー。」


と呼んだがアルヴァンは見ているだけだった。レオはリュックの中を確認していると後ろからテンの魔物が現れた。レオを睨みつけ今にも襲ってきそうだった。


「まぁ何ともないでしょうね。」


「自分の能力を自覚する意味でこのままあの魔物に痛みつけてもらった方がいいかな。」


「逆効果になるかと思いますが。」


「そう思う?」


「能力を自覚したところでおそらく天狗になって『俺こそ不死身の勇者だ!』とか言いかねません。」


アルヴァンは考えた。こいつが勇者を気取りだして王都へと行きだす。そして、妨害はできても根本的に止めることはできない。大人しくしていてほしいものだ。


「同意する。」


一方のレオは思いっ切り引っ掻かれて尻餅をついていた。


「はぁ仕方ない。」


アルヴァンはレオに飛びかかったテンの魔物の頭めがけて木陰から飛び出し手刀を放った。見事に頭を切り裂き、頭が地面に落ち胴体がレオの足元へと転がった。レオは目を開けると自分の足元に首のないテンの魔物の胴体が転がっているのを見て「うわぁ」っと声を上げた。アルヴァンはレオの左から横切りテンの魔物の頭の前に立ち止まり屈みこんだ。


「わぁすごい。顔がぴくぴくしてる。」


アルヴァンは頭をつんつんした。


「テぇ・・・テぇト。お前がやったのか?」


《本当に世話が妬けるやつだな。》


アルヴァンはレオのマヌケ面を見て、またテンの魔物の頭に目を向けた。


「そっくりだな。お前ら。」


アルヴァンは面白がっていた。


「ここはどこなんだよ。こんな魔物見たことない。寝ている間に何があったんだよ。」


《そりゃあ、いろいろ。落としたり、食べさしたり。あっそうだ。》


アルヴァンはレオの目の前に行き右手を前に突き出した。そして、お腹をポンポンと叩いた。


《サンドイッチくれ。腹が減った。》


「ごめんな、食べ物は何もないんだ。」


《時化てるなぁ。そう言えばあの魔物いい毛艶をしてるな。あれを売れば結構いいお金が・・・。》


アルヴァンは魔物の胴体を指さした。


「えっ・・・これ食べるの・・・。」


《おまえ、これ食べるの?》アルヴァンの驚いた顔に気づかず、レオは魔物の胴体を突いた。少し嫌な顔をした後で言った。


「テト、こいつはさすがに無理だ・・・。」


《そりゃそうだろ。こんな魔物筋張って食べれないだろ。》アルヴァンが呆れているよそにレオは再び物思いに考えだしそして・・・


「分かった。食べよう・・・コワいけど・・・。まずは水場を探さないと。」


《何故そうなった。イカれてるのか?》アルヴァンは魔物の胴体を再び見た。


《食べる?食べれる?食べてもいい?あっそうだ》


アルヴァンは魔物の胴体の尾を持ち引きずっていった。その後を追うようにレオも続いた。一時間くらいして川辺に付くとアルヴァンは尾を手放し川原の大きな石に座った。レオは魔物を捌き始めた。少し様子を伺い、レオが内臓を取りだした後でアルヴァンは立ち上がり再び森に入っていった。アルヴァンは少し奥まで入ってたところにある沼地までやってきた。ここにはとぐろを巻いて黄色い実をつけている植物が生えていた。


「あれはモーダリですね。あれは毒じゃなかったような。」


「あの実は魔物にとっては滋養強壮にいい食材。」


「そういうことですか。けど、あの植物。」


「そうなんだよね。一発で取らないとね。」


アルヴァンは沼の水面を歩きモーダリに近づいていく。あと5メートルに差し掛かったところで瞬間移動し身のヘタを手刀で切り実を取った。そのまま一目散に走りすかさず瞬間移動した。沼地から離れて立ち止まり様子を伺った。すると『どぅをぉぉをおおおおん!!』と轟音が響き渡った。


「まぁ出てきますよね。さぁ逃げよう。」


「大胆ですね。たぶん追ってきますよ。」


「その時はその時さ。」


アルヴァンは両手でモーダリの黄色い実を持ってレオのもとへ戻っていった。しかし、帰ってきたときには実は食べてしまい種だけを持って帰ってきたのだった。


「お預けはいつになったら覚えるんですか。」


「この実は種に効用があるから、実は食べても大丈夫。」


「はぁ・・・。単純にアルヴァン様が食べたかっただけですね。」

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