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テト  作者: 安田丘矩
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勇者ってこんな感じ?

現代人は果物を食べなくなったってニュースで取り上げられているけど

実際、果物の消費量って減っているんですね。

自分、パイナップルは好きなので、スーパーに売っているカットパインを買っちゃう。

外国人の友達が言うには日本の果物は高いって言われます。

まぁ今だと高くなったなと感じるけど、それも要因なのか?

気軽に食べれなくなっているということなのでしょうか。

自分基準だとみんなこの時期ミカン買って家で食べてない?食べていないのか・・・。


アルヴァンとシドは村の外の茂みに隠れレオが来るのを待っていた。しかし、シドは今回の件が納得できず切り出した。


「あの・・・アルヴァン様。ふざけているんですか?脅かすどころか食べてるだけじゃないですか!」


「まぁ結果オーライで。」


「結果オーライ?それに何が味変ですか!トマトソースをかけて食べて。そんで見ないうちに台所から果物を盗んで何しているんですか!お化けらしくできないんですか!」


《この神経質さは何とかならないだろうか。》アルヴァンはため息を漏らした。


「お化けも何も魔物だし。」


「そういう言い訳はいいんです。ほら来ましたよ。」


そうこうしているとレオがやってきた。不釣り合いの大きなリュックが歩いているようだったが、本人の表情は曇っていた。


「勇者になる者はあんな感じなんですか、アルヴァン様。」


「歩きながら瞑想しているとか。いきなり使命を与えられたら勇者として自覚するためにそういうことをするんだとかなんとか・・・。」


「それほんとですか。すごくバカっぽいですが。」


レオは俯きながらアルヴァンたちの茂みを通過していってしまった。一先ず気づかれないように尾行した。するとしばらく歩いてすぐ、レオは石塀の上に腰かけてリュックを下し物色し始めた。中からサンドイッチを取り出し食べ始めた。


「まだ、旅立って2時間も経ってないのにもうお昼ってやる気あるんですか。」


「あのサンドイッチおいしそうだな。」


「ああぁもうぉ!アルヴァン様!どんだけ食い意地が悪いんですか!そんなに食べたいんなら今ここで仕留めればいいんじゃないですか!」


《それもそうか。》厄介払いもしたし、ここならこいつを殺っても問題ないか。アルヴァンはレオの背後に回り首をめがけとびかかり、手刀で首をはねた。はずだったが、レオの右手に着地した時、振り向くと首が落ちてるどころか首裏をさすって何事もなかったようにしている。


「アルヴァン様。手加減したんですか?」


影の中からシドが言った。


「いや、そんなはずじゃ。」


レオがこちらに気づいて一瞬よろけて落ちそうになったが持ち直した。よくわからないがリュックを前に構えこちらを伺っていた。


「こいつ何やってるんでしょうね。」


「身構えている?戦う気はないんだね。」


レオは塀からおりてリュックを背負い後ずさりしながら距離を取っていた。


「どうやら、逃げるつもりですね。」


「みたいだね。」


レオは一目散に道を走り出した。


「あぁ、行っちゃいましたね。追います。」


「追いながら斬撃をくらわせていくか。」


アルヴァンはレオの後を追い斬撃で攻撃し続けた。しかし、服はおろかリュックさえ切り裂けない。2キロくらい走ってレオは止まり近くの木に寄りかかり息を整え始めた。


「普通だったら、生きていないんですが。」


「こいつの品格者の能力って不死身?」


「最強すぎません?ですが・・・。」


シドはだらしないレオの姿を見て言った。


「宝の持ち腐れとはこう言う事なんでしょうね。」


「ほんとだね。まぁ不死身と決まったわけではないけど、実際、俺の攻撃は効かなかった。」


「これは脅威ですね。」


「もしも、この能力が誰かに行き渡ったら本当にまずい。」


「どうしましょう。かと言って不死身では何しても殺れないし。」


「うーん。」


アルヴァンはさすがに悩んだ。するとレオはいきなり木の下に座りだしてサンドイッチを食べだした。


《こいつはまた暢気に何やってんだ。》アルヴァンは近づきレオの顔を伺いながら、サンドイッチいいなぁと思い見つめた。すると、レオはもう一つサンドイッチを取り出して「食べるか?」と言ってきた。


「なんだ、こいつ。なぜわかった。」


「いや、アルヴァン様。目で催促したでしょ。」


アルヴァンはサンドイッチを受け取りにおいを嗅いだ。甘辛く炊いた干し肉と新鮮な菜っ葉がサンドされている。アルヴァンは噛り付いた。


《あっ、これおいしい奴。》アクセントにマスタードが入っているのが実に美味。


「何も言わなくてもわかりますよ。アルヴァン様。顔に出てます。」


レオはアルヴァンの食べてる姿を見つめていた。何故だかさっきまでの恐怖心が薄れ、水筒のお茶を飲みほした。レオは再び立ち上がりアルヴァンを見下ろして何か考えていた。


「どうしたんでしょうね。戦う気になったんでしょうか。」


「このガリガリに術も何もない。」


レオは屈んでアルヴァンの目線に合わせて言った。


「このままついてくるのか?これから王都に向かわないといけないんだ。さすがに君を連れていけないんだ。」


《こいつ何言っているんだ。ついて行く訳ないだろ。》


しかし、このまま一人にしておくのはまずいと思いアルヴァンは困った。レオは再び歩き出してアルヴァンも渋々後を追うようについて行った。

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