表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テト  作者: 安田丘矩
15/144

こんな村もう嫌だ!早くお家に帰りたい

遠足前は眠れなくなる人なんです。

まぁ遠足に限ったことではないんですが明日のことを考えすぎて眠れなくなってしまい

結局、睡眠時間3時間以下でテンション上げていかないと『マジだるいぜぇ。』で終わっちゃう。

特に車の運転、高速でもう眠っちゃいそうになることもあり

「次のサービスエリアは・・・16キロ!やばい事故る!」

眠気を振り払うために大声で歌う、肩を揺らす、お目目ぱっちり☆

これ人が見てたら不審者だね・・・何やってんだいい大人が。

兵士Aの証言


あれは、とある村に行った時の話です。品格者の選定のために立ち寄り、見事1名、品格者を見つけ出すことが出来たんです。その日はもう村をあげてのお祝でしたね。もちろんぼくら兵士も料理やらお酒やら振舞われてもうその日は祝杯ムードでした。兵士BとDは酒に弱い分羽目を外し過ぎて酔いつぶれてしまったんです。しかたなく、兵士Cは酒は強い方だったので意識はあったんですが、さすがに警戒のため一人は起きていないといけないので交代で休むことにしたんです。


月がてっぺんを通過した時、皆が寝静まった後村長宅の軒先のベンチで葉巻を吹かせていたんです。そしたら、音がしたんです。ガサガサって。その音は村長宅の納戸からでした。ねずみかなんかだと思ったんですが、一応様子を見に行きました。納戸の扉を開けても何もいません。奥の木箱も剣鞘で軽く叩いてみたり、布で覆われていた大きな木箱や瓶の中も見てみましたが特に何もありませんでした。


気のせいかと思って、納戸から出ようと出入口を向くと月明かりに照らされて何か大きな黒いものがそこに立っていたんです。思わず『わぁああ!』って声が出てしまいました。腰を抜かせて後ずさりするとその黒いものが近づいてくるんです。震えながらも剣を取りましたが、脚が黒い布で覆われはじめて行くんです。必死に脚に覆われた布を引き剥がそうともがきましたが、どんどんその布は巻きついて鞘を抜いて剣を出した頃には胴まで。腕まで覆われて体の自由が効かず全身がその黒い布に覆われてしまい、『あぁ俺死ぬのか。』と思った時、ちょうど目の前に赤い光が光ったんです。


目が覚めた時にはもう朝になっていてベッドに居ました。どうやらあの瞬間に気を失ったみたいで。兵士Cが探しに来てくれたみたいで軒先のベンチで倒れていたそうです。このことを仲間に話しても信じてくれませんでしたが兵士Cだけは信じてくれたんです。




兵士Cの証言


仮眠から目が覚めた時、兵士Aは居ませんでした。交代のため起こしに来ると言ったのにどこで油を売ってるのか、それか眠ってしまったのかと思い、ランプを持って兵士AとBの部屋へ行ってんですが兵士Bしか眠っていませんでした。村長宅の部屋中を回ってみてもいないので外へ出たんです。外へ出てあたりを見渡すと軒先に誰かが倒れていたんです。


咄嗟に駆け寄ってみたら兵士Aだったんです。『おい、大丈夫か!』声をかけると返事はなく眠っている様子でもありませんでした。兵士Aを起き上がらせて肩をかけて2階の部屋まで運びました。ベッドに寝かせて部屋から出た時です。廊下の窓向こうに何かいたんです。恐る恐る近づいて窓の外を見ました。特に何もいませんでした。すると背後から何か近づいてくる気配がしたので振り返ったんですが何もいません。気味悪くて一度自分の部屋に戻ろうとしたら、1階の台所から何か物音がしたんです。正直、怖くて行きたくなかったんですが。階段へ向かい一歩一歩階段を下りて広間の右手にある台所を覗きました。特に調理場に異常はありませんでしたが、冷暗庫の方からかすかに物音がしたんで入ってみるとそこに小さい何かがいたんです。子供か何かと近づいてみるとそいつは何かを食べていたんです。明かりを近づけてみるとその小さいものは振り向いたんです。そしてたら、口から赤い血を垂らして肉を食べていたんです。


『わぁぁぁぁああ”!』大声をあげ思わず飛び出したんです。階段を駆け上がり自分の部屋へ逃げました。扉を背にして息を整えているとノックの音がしてゾッとしました。扉から離れ『くっ、来るなぁ!』って大声を上げると扉の向こうから


「どうしたんだい。兵士Cくん。」と司祭様でした。司祭様は扉を開けて怯えるお渡しに近づいてきました。


「どっどうしたんだい。ひどく怯えて。大声を聞いて飛び起きてしまったよ。」


どうやら村長ご夫妻も起こしてしまい事情を話しました。しかし、そんな不可解なこと起きたこともないし、聞いたこともないとご夫妻はにわかに信じがたい様子でしたが、司祭様は最初に怯えた様子を見たせいか心配なされていました。それと兵士Aが外のベンチで倒れて気を失っていることを伝え一先ず落ち着くまで部屋にいることにしました。




司祭:ビゼフ様の証言


この家は呪われているんです。その晩に兵士Cから事情を聞いてご夫妻と一緒に台所を見に行きました。変わったことはやはり牛の骨付きのもも肉がなくなっていることくらいでした。まさか、本当に何かいたんだとお互い顔を見合いましたがもう外は明るくなってきたので、朝に捜索するとして一先ず部屋に戻りました。


翌朝、村長含め村人数名で家の中と周囲を散策しましたが特に何もなく、私達は昨日品格者となられた勇者様のお宅へ兵士Bと兵士Dを連れて向かいました。兵士Aはまだ目覚めず、兵士Cはうなされており連れて行くのは酷と思いまして3人で向かいました。説明を終えて村長宅へ戻ると兵士Aが目覚めておりました。一体、昨晩何があったのかと聞くと黒い大きな何かに襲われたと言ったのです。兵士Cの話の目撃証言とまた異なることから複数いるのかと。しかし、にわかに信じられず兵士Aを休ませることにしました。


そして、その晩のこと。本日の面談についての報告書を書いていると扉をノックする音が聞こえました。『どうぞ。』と返事をしても何も応答しません。恐る恐る扉に向かい開けました。廊下を見渡しても何もいません。昨日のこともあり、気味悪くなりすぐ扉を閉め鍵を掛けました。報告書も書くのをやめてベッドに入りました。目を閉じて眠りにつこうとしましたがやはり眠れず、目を開けると天井に黒いものが。それはうようよと動きへばりついていて、一点の赤い光が見えました。あまりの出来事に叫び声も出ません。身体が硬直して身動きが取れず逃げられない。ふと、横から何か視線を感じると思い、何とか動かせた首を右に向けました。そしたら、いたんです。リンゴをかじる小さい何かが!それからは記憶はございません。あまりの恐怖で気絶してしまい、起こしに来た兵士たちにより目が覚めました。


もう嫌だこんな村!私は身支度をすぐに済ませ、兵士たちにすぐに帰京すると伝えました。『品格者様はどうなさいますか。』と兵士Bが問いかけましたが


「このままじゃ命がいくつあっても足らない。王都までの金を渡して戻るぞ。」


兵士Aと兵士Cは大きく頷き私たちは連れて行くはずの品格者様をおいて王都へ戻りました。




聴聞室で軍のお偉い様とビゼフがやり取りしていた。


「それでどうするおつもりですか。その品格者の青年は行方不明で村から10キロ先の木の下で短剣と引き裂かれた血の付いた衣類があったと報告が。」


ビゼフは俯いたまま何も弁明できないと無言のままだった。


「村で起きた怪現象によって恐れをなして逃げ帰ってきた挙句に品格者を置いて行き見殺しにしたと。あなた司祭でしょ。それを鎮めるのが本来の役割ではないのですか。」


ビゼフは口を開いた。


「あれは怪現象ではない。あれは、未知の魔物なんだ。見たんだ!あれは・・・あれは!」


ビゼフは感情的になりすぎ咽た。


「もう大丈夫です。しばらくお休みになられてください。今回の件は事故だったと報告しますので。それにそんな弱い品格者が死のうが今は即戦力が重視されています。特に痛手にはならないでしょう。」


ビゼフは兵士たちに連れていかれ退出していった。軍のお偉い様が一人になった時その影からメージが現れた。


「順調ですか。」


軍のお偉い様は答えた。


「えぇまぁ。メージ様に手を借りずとも品格者の招集は滞りなく。」


「それで、今回の品格者が襲われた件は。」


「正直なところと調査に向かったものの、かなり日にちが経っており詳細を追うのは困難かと。エネヴァー様の配下以外の魔物の犯行なのでは。」


メージは少し考えた。確かに単独で動いている魔物はいるし、それと引き裂いて食べたと考えてもあいつらではないと思う。ただ品格者の未知の能力が何だったのかは気になるところだったが。


「仕方ありませんね。私はエネヴァー様に報告して参ります。引き続き任を。グロック大佐。」


グロックはメージに体を向け跪いて一礼した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ