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テト  作者: 安田丘矩
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生まれた意味とその名前の願い

最近、鉄分不足なのかなと思うことがあり手軽に鉄分を取りたいと何かないか探してたら

カシューナッツがあったので、最近食べ始めたんだけれども・・・

一日平均7.5mg 摂ると推奨されているみたいでカシューナッツの成分表示を見ると

100gあたり6mgぐらい。これ一袋毎日食べるの?

ナッツ系はカロリーが結構あるから逆に糖の取りすぎで良くないのでは。

肉や魚とかからも摂取できるけれどもはたして毎日の食事で摂取できているのかは自信ない。

そんなこと言ったらビタミンとかも同様のこと言える。

毎日必要摂取量の野菜を摂れているのか。健康に気を遣うのも難しい。

サプリメント感覚でカシューナッツを買ってしまっている自分って安直過ぎる?

まぁカシューナッツおいしいから結構好き。だけど、地味におつまみ系は地味に

スナック菓子に比べて高いから毎日はさすがに無理だな。

アルヴァンは暗くて何も見えない空間の中に一人ぼっちになった。何も見えない。何かに触る感覚もない。後ろから何かボソボソと話し声が聞こえてくる。振り返ると数多な悪魔たちが一斉に空を舞いながら飛び、互いに今日の獲物の取れ高を競っていた。


その中に一際小さい悪魔がいた。その悪魔は周りからバカにされながらも身をひそめながら生きていた。ただ、大した獲物が取れるわけでもなく野ネズミを懸命に追いかけて捕まえては食べていた。


その様子を他の悪魔たちは指を差して笑っていた。小さい悪魔は笑われながらも自分には野ネズミを取ることしかできず、悔しい思いをしながらも今日も野ネズミを捕っていた。


そんなある日、その悪魔たちの住処から悪魔が消えた。そこに勇者と名乗る者が人間の里を脅かしている悪魔を討伐に来たのだった。


その小さい悪魔は見ていた。笑っていた悪魔たちが次々にその勇者によって駆逐され、亡骸が地面に転がっていく。茂みの中で息をひそめてその光景を目の当たりにし恐怖を覚えた。その場から一目散に立ち去った小さい悪魔は枯れ木の木のくぼみの中でじっと事が収まるのを待った。


しばらくして、勇者が討伐を終えた住処は静まり返り同族の姿がいなくなっていた。もう笑うものさえいない。けど、その小さい悪魔は野ネズミを捕ることしかできない。せめて、同族と共に立ち向かって潔く死んでいく事を選べばよかったのかと心のどこかで思った。


小さい悪魔はこの住処から離れて小さな歩幅で足跡を刻み、小さな翼でがけを越えて行った。お腹がすいたら食べられそうな草や木の実を食べて飢えをしのぎ、身の危険を感じたら隠れ場を探して身を潜めた。小さい悪魔は同族みたいに狡猾にかつ欲に忠実にはなれなかった。


血の雨が降る荒野をさまよっていた時、肌が黒く体中が壊死している人間のような何かに出会った。そいつはその小さい悪魔に言った。


「水をくれ。」


小さい悪魔は水なんて持っておらず首を振った。


「ずっと、喉が渇いているんだ。この雨を溜めて飲んでもずっと口の中に血のえぐみが残り続けて苦しいんだ。お願いだ。水をくれ。」


同じような輩が溢れだし、小さい悪魔は懸命に走った。息を切らして時に振り返るともう輩たちは追っては来ていなかったが小さい悪魔は身体中血をあびて血生臭くなっていた。そのひどい匂いに嗚咽しながらも、さっさとこの荒野を抜けたいと再び歩き出した。


「おや?こんなところに悪魔がいるね。」


その声がする方へ振り向くとそこには獣の仮面を被った何者かが立っていた。小さい悪魔はじっと見つめながら不審に思った。その仮面の者は血で濡れていなかった。


「迷子かな?それともめずらしい個体なのか?」


詮索するその仮面の者にその小さい悪魔は問いかけた。

「あんた何者だ?」


「私はテスカトリポカだ。君こそ名前は?」


「名前?」


「そうさ、名前だ。」


「名前・・・?」

その小さい悪魔は考え込んでしまった。


「やはり、君は普通の悪魔ではないな。普通の悪魔は思考を働かせたりしない。」


「おでぇ・・・わかんない。」


「そうか・・・。そうだ、君に力をあげよう。」


小さい悪魔は首を傾げた。


「君みたいな変わった悪魔は皆から仲間外れにされて一人ぼっちだったんだろう。なら、そんな仲間たちを見返したくないかい?」


「仲間?・・・死んじゃった。」


「死んじゃった?」


小さい悪魔は頷いた。


「そうだったのか・・・気の毒に。」


「意地悪されるからいなくなって良かった。」


「あぁそうか。では、君は何しにここへ?」


「・・・移住。」


「住処を追われたのか?」


「気分。」


「・・・君はそれでいいのか?」


「何が?」


「君は自分が弱い立場だと理解していない。そして、君は世界を知らなすぎる。」


「・・・よく分からない。」


「だからこそ、君はすべてを知るために私が力を授けよう。」


小さい悪魔は困った顔をして何も言わなかった。


「どうした?嫌なのか?」


「なんで、そんなに授けたがるの?」


「なぜって?」


「別に欲しくないのに、押し付けてくるのって。胡散臭い。」


「胡散臭いか・・・。ははは、胡散臭いか。じゃあ、君の望みはないのか?」


「望み?うーん・・・食べ物に困らないことかな。」


「なるほど・・・なら、特別だ。化身を授けよう。受け取るがいい。」

テスカトリポカはその悪魔に手を向けて黒く禍々しい靄が覆い隠し小さい悪魔は気を失った。


「さぁ、君の望みは叶えられた。そして、新たな脅威へと変わっていくだろう。」

テスカトリポカは高笑いをしながらそのまま姿を消していった。




その小さい悪魔は正気を失い常に飢えに苦しんだ。そして、目に入った生き物をすべて襲い食べ続けてきた。それはもちろん人間も同様に。


正気を取り戻した時、その小さい悪魔はボロボロになって横たわっていた。そして、海辺の砂浜で波音を聞きながら今にも息絶えそうだった。


誰かが近づいてきた。光り輝く羽毛に覆われそして、何かの鳥の仮面を付けていた。その鳥の仮面をつけた者はその小さな悪魔に近づき抱きかかえた。


「ごめんなさい。あなたを傷つけるつもりはなかったの。けど、このままでは大勢に犠牲が出てしまう。」


遠くなる意識の中でその小さい悪魔は耳を傾けた。


「兄さんがあなたの化身を抑えたけれどもこのままではあなたは暮らしていく事は出来ないわ。」


鳥の仮面の者は小さい悪魔の腹部に手を当てて念じた。すると手から優しい光が溢れだしてボロボロになった身体が元に戻っていった。


「とりあえずこれで大丈夫。だけど、化身を排除することはできなかったわ。代わりに私の能力でさらに抑制してあります。多少飢えることがあってもあなたの周りの人が食べるものを授けてくれます。きっと、この化身も表に出てくることはまずないでしょう。けど、忘れないで。この化身はあなたの中に生き続けていることを。」


小さい悪魔は気を失いそうだった。


「あなたお名前は?」


小さい悪魔はゆっくり首を振った。


「そう・・・そうね・・・じゃあ私があなたに名前をつけてあげましょう。うーん・・・プチデビル。」


小さい悪魔はじっと鳥の仮面の者を見つめた。


「ダメかしら?安直過ぎかしら。そうね・・・アルヴァン・・・?アルヴァンはどうかしら。かつて、星たち迷子にならないように空を守ってきた人の名よ。」


小さい悪魔は首を傾げた。


「気に入ってくれたかしら。あっ、もう時間がないわ。きっと、あなたがこれから生きていく世界はあなたにとって素敵なものになるわ。私はそう信じているから。だから、あなたはあなたらしく生きていて。そうすればまた逢えるから。」


小さい悪魔アルヴァンは気を失いその鳥の仮面の者も消えて行った。


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