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テト  作者: 安田丘矩
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代償、そして、終焉

詐欺の手口が巧妙となっている件で、最近大手通信会社を名乗る音声ダイアルがかかってきた

なんか怪しかったので調べてみるとどうやら、接続先で個人情報を抜き出そうとするみたい

迷惑メールの中にも金融会社を名乗って口座が凍結されますので個人情報の入力をってのも来た

けど、その会社の口座を作ったことないのだが・・・。

こんなの騙されないだろうと思っていても、振り込んでしまった例が割と最近聞いたのでシャレにならない。

警察を名乗るバージョンとか来たら信じてしまう可能性もある。

こういう時に冷静になって、その会社や公共機関に連絡したり、調べたりしないとね。

まだ、高い壺買わされたが流行った時の方が可愛いものだったのか・・・。


ディオスが何日もかけてあの洞にたどり着くと像の前に立った。その像は前に来た時より赤みがかった色をしていた。ディオスは跪いて願い始めた。


「神よ。どうかロジャースを戻してください。」

しかし、何も起きなかった。ディオスはさらに願い続けた。

「自分が願ってしまったから、ロジャースはいなくなってしまった。けど、自分はこういう形を望んだわけではないんです。お願いです。ロジャースを戻してください。」


「じゃあ、何を代価にできる?」


突然、何かの声が聞こえ辺りを見渡した。


「何を代価にって・・・。」

代価という言葉にディオスは考えた。

「何もない。」


すると肩を誰かにそっと掴まれ振り替えようとしたが身体が動かなかった。その何者かはそっと耳元で囁いた。


「なら、君はこの後起きる内戦のために力を手にしなさい。このまま、そのお友達を戻したところでこの世は混沌となっていく。なら、君がこの世を支配すればいい。そうすれば永続的に平和を得られるだろ。」


ディオスは怖かったが、その話を聞いて応えた。


「それは代価になるのか?」


「そうだな。平和になることは神にとってもいいことだ。互いにウィンウィンにはなるだろう。」


「何をすればいい。」


「ただ、力を欲したいと願いなさい。そうすれば、力を得られるだろう。」


ディオスは言われるがままに跪いて願った。

「力が欲しい。皆が平和に暮らせるように。」


「授けよう。」

ディオスはそのまま意識を失った。




ディオスが意識を取り戻した時、そこはどこかの大きな城の中だった立派な椅子に座り、正面には魔物たちが平伏せている。この状況にディオスは固まった。そして、自分自身も何かおかしいと感じて視線を下すと手が禍々しい褐色と鋭い爪、顔を触れると明らかに骨格や肌の質感が違う。一体、何者になってしまったんだ。


ディオスは自身の意識がない間のことを徐々に知ることになった。人間界に厄災が訪れた。兵力を失った国は、次第に市民たちが反乱や内戦が勃発して統治が困難になっていた。戦争が終わったはずなのに、結局兵士たちがいなくなったことで抑え込む圧力がなくなった。それが余計に拍車をかけたのだった。


そこに、現れた魔物。次々に力で人間の暴動とねじ伏せた。それは圧倒的な脅威だ。結果的にその魔物登場により争いは終息した。けど、国同士が結束してその魔物を共通の敵として畏怖の象徴とした。その後、その魔物は魔界に降り立ちそこで統治していた魔王を倒し、自らが王になった。その王の名はディオクレイシスだった。


自我を取り戻したディオスは自室で自分を攻め続けた。

「自分は違う。そんなことやっていない。それにこの姿は自分じゃない。」

ディオスは思い出した。

「あの神か。」


なぜか自分が願ったあの神の今まで忘れていた。それは意識を失っていた弊害だったのだろうか。ディオスはあの神のいた洞に行こうと部屋を出ようとした時、


「何か用事でもあるのかい?」


そこにいたのはあの神だった。ディオスは神に詰め寄り言った。

「こんなことを望んだんじゃない。何てことをしてくれたんだ。」


「何を言っているか分からないが、そもそも君が願ったのはないか。それに今人間界は平和そのものだ。互いに協力し合い厄災が来ても共に戦う姿勢で認め合いながら人間は暮らしているぞ。良かったではないか?」


「それは平和ではない。」


「平和だよ。そもそも平和と決めつけることは偶像だって分からないのか?だから人間はおつむが足りないんだ。そもそも、生き物である以上強いものが弱いものを奪う。その摂理は変わらない。だからこそ、命を脅かされる危険は消えることはないからそのために身を守ったり、繁殖して次の世代に託していく。

その当たり前のことから目を背けて、他責や逃避した結果がこの様だ。平和という言葉を掲げれば安寧を得られると勘違いしている。そして、その言葉は人間から本来横にある危険を盲目にして骨抜きにする。人間だからこうあるべきだ。人間だから平和に暮らせる。うんざりする。」


ディオスは言い返せなかった。自分の考えていた平和という言葉はまさにこのことだと思ってしまった。


「だから。君は本来の人間の姿に戻したんだから平和になったと言ってもいいんじゃないのか。」


「それでもこんなこと望んでいない。それに、その偶像を願ってはいけないのか。誰しも命は大事だし、安全に暮らせることを願うことは間違いなんて思わない。」


「私は君の願いをちゃんと叶えたんだから。少しはありがたく思ってくれてもいいのだぞ。」


「こんなのいらない・・・。俺は人間だ!人間に戻してくれ。」


「君はわがままだな。けど、君の願いを叶え続けてきたが正直もう叶えたくない。それに私と君とでは立場が違うんだが・・・。」


ディオスは苦い顔をした。神は少し黙り込んだ後提案してきた。

「それなら、私とゲームをしよう。もし君がそのゲームをクリアすることができたのなら望みをすべて叶えてやろう。」


「本当だな。」


「ただし君が負けた場合、君のその肉体をいただこうか。それくらい賭けないと割に合わないのでな。」


「その前におまえの名前は?」


「私はテスカトリポカだ。」


ディオスはそのゲームで勝負することになった。ゲームが始まった当初はまだ、テスカトリポカの思惑にハマっているとは全く知る由もなかった。


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