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テト  作者: 安田丘矩
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絶望、そして、欲望

最近、睡眠不足なのか昼間でも眠たくなる。

これは季節のせいなのか、それとも体質的に睡眠時間が足りないのか。

だいたい、6時間から7時間くらいの睡眠時間だけれども足りないのか。

けど、寝すぎても頭がぼーっとし過ぎてよくないし、どうしたものか。

これは睡眠の質を上げる必要があるということなのでしょうか。

〇ー1とか〇クルト1000とかそういう謳い文句をつけているんだけど

本当に良くなったとは実感はないです。

もっと、簡単に睡眠の質を上げることはできないのでしょうか?

そもそも、睡眠の質ってなんなんだ?レム睡眠がノンレム睡眠がどうたらとか?

そんなこと考えているから余計に睡眠の質が損なわれるんだと気づく。

ロジャースとディオスは駐屯基地にたどり着き二人は定期的に連絡を取り合うことを約束し、それぞれ持ち場に戻って行った。ロジャースからの亡命の誘いに少し未来に希望を持てたディオスはこの戦争が終わる期待を抱いた。


そんな矢先にディオスは沿岸から敵国に侵入しそこを拠点として奇襲をかける作戦に同行することになった。ディオスの希望は挫かれたしまった。このまま隙を見て脱走しようと考えた。けど、そのためには一度ロジャースに連絡を取りたかったがさすがに連絡を取る暇もなく同行せざるをえなかった。


敵地に乗り込む前日、その沿岸の近辺で隊は野営を張ることになった。その晩不安で眠れずディオスは夜風に当たるため外に出た。風の便りで予言を聞くのだが、この奇襲作戦が決まった時から風の便りが聴こえずさらに不安の種になっていた。


「このままじゃ、二度と戻れなくなる。お願いだ、応えてくれ。」


すると声がした。

『この先の岩肌に洞がある。そこにある神代に願え。』


ディオスはいつも聞こえてくる風の便りではなく不思議に思ったが、藁にも縋る思いでその岩肌の洞に向かった。洞に着くと何故か入り口に松明が灯されその奥には明らかに人工的に作られた祭壇とそこに動物を模した仮面を付けた神の像があった。


「このことなのか?」


ディオスはその像に近づいて跪いて両手を合わせた。そして、ゆっくり呼吸を整えた後願った。


「神よ。どうか、この戦争を終わらせて平和をもたらしてください。このままだと、自分の身も危うくなって・・・もうどうしていいのか分からず。お願いです。この声が届きますように。」


ディオスはそう願った後立ち上がり像をじっと見つめた。

「本当にこれでいいのか・・・。」


ディオスは重い足取りで野営地に戻ってみると何やら様子がおかしかった。テントの中には先に寝ていた軍兵がいなくなっていて。そして、見張りをしていた者もいなくなっていた。ディオスは全てのテントを確認してみたが誰一人いなくなっていた。


「一体、どうなっているんだ。荷物も置いて皆いなくなるなんて・・・。」


ディオスは思った。これは、さっき願った神の力なのか。だとしたら、神は一体何を叶えたんだ。ディオスは怖くなり夜明けとともに駐屯基地に戻ることにした。



何日かかけて駐屯基地に戻るとそこには何人か人が居た。けれども、軍人ではなく行商や配達の人間で何やら困った様子だった。ディオスは一人の行商に声をかけた。


「一体どうしたんですか?」


「あんた、兵士さんか?」


「えぇ、ただ隊の皆が急にいなくなって一度こっちに戻ってきました。」


「そうか。実は、この駐屯基地に誰もいないんだ。少尉と約束していたんだが、誰一人居やしない。こっちもどうしていいのか困っているとこだよ。」


「そんなことって。出兵したとかは。」


「それはないみたいだ。こんな大勢が出て行ったら普通に近隣の町や村の人間が気づくし、ここには負傷した兵士もいるから医療従事者だっているはずだ。けど、いないんだ。こんな奇妙なことってあるのか。」


ディオスは怖くなった。それは自分があの神の像に願ったから、顔が真っ青になりディオスはその行商と別れて近くの気に寄りかかって座り込んだ。


「一体どうなっているんだよ。あの像が叶えてくれた平和って戦う人間が居なくなれば戦争はなくなるってことかよ・・。じゃあ敵は!このまま攻め込まれてしまうのでは・・・。」

ディオスは居ても立っても居られず一度故郷へ帰省することにした。


それから一か月が経ち戦争は終わった。終わったというより、お互いの国同士戦うものがいなくなってしまった。敵国も同様に軍兵がいなくなり戦うことができなくなった。よって、軍事力で衝突することがなくなり、牽制する形でこの戦争は幕を引いた。


ディオスは帰省して家族の安否を確認した後で、両親から妙な話を聞いた。巡回していた軍兵が来なくなったので安堵していると隣の麦農家の主人が中継地へ行ったときにその軍兵が突然いなくなりそこの村総出で捜索していると聞いた。ディオスは駐屯基地だけじゃなく、全ての軍兵にまで派生していたと分かった時、ようやく気付いた。

「ロジャースは!」


それが正しければロジャースも消えてなくなってしまった。ディオスは罪悪感に苛まれた。信じられず、ディオスはロジャースが所属している基地へと何日もかけて向かいようやくたどり着いたころには、市民たちが基地を解放し避難所として利用していた。


ディオスは基地の中を巡りながらいろんな人に声をかけてロジャースを探した。しかし、見つからなかった。ディオスと同じように軍兵を探す人がたくさんいたが誰一人知らない。あまりに不可解な失踪に新聞記事には神の怒りだの、陰謀など騒ぎ立てられていた。


「なんてことをしてしまったんだ!約束したのに。ロジャースはいなくなってしまった。」


ディオスは人気の少ない基地の裏手でふさぎ込んでいると声が聞こえた。

『市民による内戦が起きる。そのために力を授けよう。再び、我の下に来るのだ。』


ディオスはその声を聞いて悩んだ。そして、欲を出しロジャースを戻してもらおうとディオスは立ち直り再びあの洞へと向かった。


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