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テト  作者: 安田丘矩
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呼び起こしたものは厄災だった

今日は日帰りで軽く旅行へ行ってきました。お天気も良く行楽日和で人も多かった。

基本的に人込みは避けたいけど、さすがに観光地が賑わっていないのは良くない。

コロナの時みたいに閑古鳥が鳴いてたらそれこそ衰退してしまうから。

こういう所に行ったときに悩むのがお土産。

お家遣いはこだわりながら選べまいいけど、人に上げたり会社に持っていくものとか。

値段的にも手ごろさとか考えて選ぶけどこれが難しいんだよね。

丁度いいお土産って中々なく、かと言ってよくある定番品を買うのは抵抗がある。

せっかくだからそこでの面白さが伝わるものを探してしまう。

うわぁー自分めんどくさい人だ!

「死霊のたむけ(メメントモリ)。」

ロキはが唱えるとアルヴァンの脚元から多数の骨の腕が湧いてきた。


その骨はアルヴァンを掴もうとしている。


「悪趣味だな。」

アルヴァンは立てた指先に息を吹きかけると辺りが一瞬で凍った。湧き出てきた骨も凍り付き動かかなくなった。


「機転が利いているね。じゃあこれは?怨念のつらみ(フォエバーエバー)。」

アルヴァンを囲むように霊体が回り始めアルヴァンの喉元めがけて襲いかかってきた。


アルヴァンは殴打で応戦した後で、カエルから瓶を取り出して体に浴びた。その液体を浴びたアルヴァンからは強いハッカの匂いがしていた。その液体かけたことによって明らかに霊体は近寄れずにいた。


「本当に君面白いね。」


「からかっている場合なのか?」

突然ロキは光の輪に拘束された。


「これは驚いた。けど、こんなものでは私は拘束できないよ。」

ロキは力を入れると光の輪が砕けて飛散した。


「そうだな。別に拘束するつもりなんてないけど。」

飛散した光は再びロキにまとわりついた。


「一体何をしたんだ。何かに噛まれているんだが。」


「それは有孔虫。ただ、魔界特製の虫だから早く取らないと骨になっちゃうぞ。」

アルヴァンは冷静に言い返した。


ロキは振り払おうとしたが取れず、自身に炎をまとわせて焼き殺そうとした。しかし、中々死なずに有孔虫はロキをかじり続けた。


「おい、よそ見すんなよ。」

アルヴァンはロキに殴りかかろうとしていた。ロキは左手でアルヴァンに向けて衝撃波を放ったがそれは残像だった。


「何?」

ロキの右頬にアルヴァンの拳が命中しそのまま吹き飛ばされ家屋にぶつかった。ロキは右頬を押さえ、かなりダメージを負ったようだった。


「ダメじゃないか。よそ見しちゃ。」

アルヴァンは後方に下がりロキに言った。


「全く魔力を感じないね。どういう仕組みかな。」


「仕組みも何もお前が火遊びしてるからだろ。」

ロキは辺りの凍った状況を見て把握した。


「あぁ・・そういうことか。賢いんだね。」


「そんな上から余裕ぶっこいてると足元救われるぞ。」


「そうだね。見くびっていたようだ。」

ロキは手を合わせ、そして開くとそこから黒い霧が湧きだした。その黒い霧はアルヴァンとロキを覆った。


アルヴァンは黒い霧にのまれながらも風魔法で自らの周りに風を舞わせた。すると、突然腕を掴まれた。アルヴァンは咄嗟に振りほどこうとするとそこには一人の女性がアルヴァンの腕を掴んでいた。


「どうして・・・どうして助けてくれなかったの。」

その女性はそう言い残すと姿を消した。


そして、後ろを振り返ると一人の老人、べそをかく子供がアルヴァンを指さして言った。

「お前は悪魔だ。生きていてはならぬ。」

「この嘘つき!!お母さんを返して!!返して!!!」


そして、姿を消した。アルヴァンは全く見覚えがないので困惑した。

「おい、一体何を見せらされているんだ。」


左側に気配がして距離を取り振り向くとロキがいた。

「それは自分で応えないとダメだぞ。」


アルヴァンは手刀で切り裂こうとしたがロキはすぐ姿を消した。

「バカにしやがって。」


さらに次から次へと人の残像が現れるたびにアルヴァン自身に異変を感じてきた。ひどく頭痛とめまいが引き起こされ立っているのがつらくなってきた。


「テトさん・・・騙していたのか。」

アルヴァンが左に視線を向けるとゴーダンがアルヴァンをのぞき込み大きく目を開きながら呟いていた。


アルヴァンは後ろから何者かに首を掴まれ持ち上げられた。

「よし、悪魔を捕らえた!どうするか?首を堕とすか。」


アルヴァンは身動きが取れずどうしてこんなにもうなされるのか分からず、ただ頭の中で『やめろ!やめろ!』と言葉が巡っていた。


「ふふ。アルヴァン君もこれでおしまいかぁ。もう少し手ごたえがあると思っていたんだけど。まぁ『贖罪の日々(エンドレスナイト)』からはまず逃れられないから。」


ロキはアルヴァンに近寄りながら袂に忍ばせ短刀を取り出した。

「さて、サヨナラの時間だ。永遠にその苦しみと一緒に葬ってあげよう。」


持ち上げられたアルヴァンの前に立ちロキは短刀を突き刺そうとしたその時、凄まじい爆発音と共に地面が大きく揺れた。


「今度はなんだ!私のお楽しみの時間なのに。」


黒い霧が晴れ、ロキは塔を見ると傾いて倒れようとしていた。


「一体、何をしたんだ。」


突然短刀を持っていた腕の感覚がなくなり痛みを感じた。ロキはアルヴァンの方へ向き直すとロキはアルヴァンの方へ向き直すと自身の腕がなくなり傷口から血を流していた。そして、アルヴァンの口が咀嚼していた。


ロキは腕の傷口に治癒魔法をかけてアルヴァンに問いかけた。

「君・・・一体何をしたんだ・・・。」


アルヴァンは咀嚼を止めて血が混じるタンを地面に吐いた。

「まずいな・・・古臭くて苦い。けど、コクがあって魔力も豊富だ。・・・食事の時間だ。」


アルヴァンは手のひらを左右に向けた。するとその手のひらから口が現れ大きく吸い込み始めた。周りにいた残像や瓦礫、そこら辺にあったものを吸収していく。ロキは移動魔法で後方へ下がり、さらに自身の腕を蘇生させた。その時、塔は完全に倒れ轟音と共に砂煙が一面を覆った。


「おや、これはとんでもないものを呼び起こしてしまったようだ。これがテスカトリポカ様が与えたという悪食という力なのか。面白い。」


ロキは自身の正面に両手で三角を作り呪文を唱えた。

「轟く雷鳴サンダーボルト。」


両手から雷が飛び出しアルヴァンに直撃した。一瞬アルヴァンの動きが止まったがアルヴァンは再び動き出し、両手で吸い込むのを止めた。


「死肉を貪るハンガードライブ。」

アルヴァンは両手をロキの方へ向けた瞬間、灰色の獣たちが召喚されロキへ向かって行った。ロキは斬撃で切り裂こうとするが全く効果がない。


「これはまずいな。正体が分からない。」


ロキは再び移動魔法で距離をとり離れたが、移動したところに丁度灰色の獣が現れ、ロキの左手に噛みついた。


「なるほど、私の魔力の味を覚えて移動する場所を推測しているのか。アルヴァン君、撤回するよ。君はとんでもない化け物だよ。」


アルヴァンはロキに言った。

「どうして、獲物がしゃべるんだ?」


ロキは思わずゾクッとしてニヤリと笑った。


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