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テト  作者: 安田丘矩
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崩れるときはあっという間に

大人になって分かったことは一つ。まずまともな大人がいないということ。

自分の性格上ひねくれているせいか、割と大人を冷静に見ていて、

身近にいる両親でさえ疑問や不審に思うときもありました。

支配的に制圧しようとする人や劣っていることを卑下する輩。

まぁろくな人間いないですね。どういう人生を送ればそんな風になるのか教えて欲しい所。

そもそも、大人って何なのかと考えたら単純にお金稼ぐマシーンって思っておけばいい。

定義付けしたりすること自体無駄だとこの歳になって思わされる。

そりゃ人間なんだから、善良な人もいればゴミみたいな人もいるし、卑しい人もいる。

そうやって割り切って生きれるほど器用じゃないし、無理もたかると思う。

本当世の中って疲れますね。もっとラフな人間関係を持ちたいものだ。

矢の飛んできた方向を審判の神は凝視した。こちらに一頭のドラゴンが向かってきていると把握し、審判の神は天秤を取り出した。


「不敬罪および器物損壊罪による審議。被告人は審判の最中に光の矢を打ち、その際神の鐘にぶつけ儀式を妨害及び鐘を消失させた。これより、天秤による審判を量る。」


天秤の左右の皿に銀貨が湧きだし揺れ始めた。


「さぁ天秤よ。審判を下せ。」


天秤は右にゆっくりと落ち判決が下った。


「判決。器物損壊罪は認められず、不敬罪による冒涜と見なされた。よって、被告人に裁きをあたえる。」


審判の神の前に黒い覆面を被り、血がにじんでいる布を腕に巻いている黒づくめの何者かが現れた。右手には鎖、左手に刃こぼれしている太刀を持っている。


「さぁ償い時だ。行け!執行人よ。」


その執行人は命令されるがままに姿を消した。


「さて、審判の神よ。続きを頼む。」


テスカトリポカは審判の神に頼んだ。


「鐘が飛んで行ってしまった。こんなにも待たされて割に合わない。」


テスカトリポカは無言で指を鳴らして鐘を呼び出した。

「すまなかったね。どうか機嫌を直してくれないか。」


「女神の涙で手を打とう。持っているだろ。」


テスカトリポカの内心は怒っていた。女神の涙は癒しの力を持つ水で、その昔テスカトリポカは女神が生み出した水の都を潰した挙句に女神を捕らえて涙を奪ったと言われている。それは神々の間では知れ渡っていてテスカトリポカを卑下する神もいたが、その涙を求める神もいた。


「それくらいの価値があるんだろう。俺もタダでここにいるわけではない。」


「そうだな・・・。良かろう。その代わり儀式が終わってからだ。」


「必ずだぞ。」


審判の神は再び鐘を突き始め、再びディオの身体が光始めた。


儀式に気を取られているテスカトリポカとエネヴァーを見て、レオは再び目を閉じた。魔王は何やら儀式の最中で動けない。今ここでやらなければ。この場所をイメージしてまずはエネヴァーの首を刎ねる。そしてテスカトリポカを切りつけるのではなく心臓部目掛けて突き刺す。


再び目を開けた時エネヴァーは見事に首が刎ねられていたが、急に胸のあたりに痛みを感じた。急にレオの目の前にはテスカトリポカが立ちレオの胸を腕ごと突き刺していた。


「その能力を与えたのは私なんだよ。」


レオは口から血を吐き何も言い返せない。エネヴァーも自分の切られた頭を拾い上げ再び装着した。


「後言い忘れていたけど、鏡はね・・・ちゃんと僕の手元に帰って来たよ。今。」


突き刺した手には鏡があった。


「そう。鏡はね、君の心臓だったんだよ。魔王はそれを知っていたけど、取り出すことができない。なんせ、この体は傷一つつけることはできないからね。けど、唯一傷つけることができるのは私だけだ。」


次第にレオは弱っていく。その時、塔が激しく揺れた。そして、傾き倒壊していく。


「何事だ!」

テスカトリポカは辺りを見渡して気づいた。


「アルヴァン君。君は本当に楽しませてくれるね。」


ちょうど、ディオクレイシスの魂と体の分離が終わり、テスカトリポカはその肉体を担ぎ宙に浮いた。レオだけが塔から落下していった。




塔が傾く10分前。その下にはシドと兄者と弟者がいた。


「兄者。競争だね。」

弟者が言った。


「そうだな。まずはちゃんとストレッチを。」

兄者と弟者は身体をならし始めた。


「ここまでついて来てくださりありがとうございます。ここからは影伝いに上っていきますので。」

シドはいい加減、兄者と弟者から離れたかった。


「シドさん。そんな水臭いですよ。」

兄者が言った。


「そうですよ。もうすぐアルヴァンさんこっちに来ます。」

弟者が言った。


「えっ?」

シドは辺りを見渡すとアルヴァンがこっちに向かって来ていた。シドはアルヴァンの下へ駆け寄り話しかけた。


「アルヴァン様!一体どこへ?」


「シド。残念ながらレオはテスカトリポカに連れてかれた。」


「そうなのですね。行きましょう。塔の上へ。」

突然、塔の上から鐘の音が響き渡った。


「兄者。何事だ。」

弟者が塔を見上げた。


「分からん。夜明けが近いからその合図か?」

兄者も塔を見上げた


「どうやら、儀式が始まったようだ。まずい。」


アルヴァンがやも得ず移動魔法を唱えようとした時上空に光の線が走り鐘の鈍い音が周囲に響き鐘が遠くへと飛んでいくのが見えた。


「一体、何があったんだ?」

アルヴァンは目を丸くした。


「あぁ。あれは主人です。」

兄者が言った。


「間違いない。あれは主人だ。」

弟者が言った。


「タクトマスターが攻撃したのか?」


「さっき、神を名乗る奴にフィンクスさんごと吹っ飛ばされた。」

兄者が言った。


「たぶん、仕返しに放ったんじゃないか。」

弟者が言った。


「そうか。ならまだ間に合うな。」


「間に合いませんよ。」

突然背後から声を掛けられアルヴァンは振り返り距離を取った。そこにはロキがいた。


「やっぱり、一人が楽だね。エネヴァーくんと一緒に居てもいいんだけど、戦うときはサシの方がいい。」


「タクトマスターの知り合いだったか。」


「知り合いだけど、どちらかと言えば因縁の相手かな。」


「なら、因縁の相手の方へ行けよ。」


「むしろ、今は君に興味がある。テスカトリポカ様が気に入る理由。それは君が持つ特性なのか。それとも数奇な運命を背負っているのか。」


「ごちゃごちゃとうるせぇなぁ・・・。シド耳を貸せ。」


アルヴァンはシドに命令してシドはカエルに入り込みすぐに出てきた。そして、アルヴァンから離れて兄者と弟者の元へ近づいた。


「さて、テスカトリポカ様には申し訳ないけど。先に相手してもらうよ。」


「本当、モテるのは鬱陶しいぜ。」

アルヴァンは身構えて二本指を立てて念じ始めた。



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