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テト  作者: 安田丘矩
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お願いだからちゃんと話を聞いて!

今年も水難事故多いですね。川や海へ行って流されてしまい行方不明。

そして、見つかってももう息を引き取った状態。

自分、プールで泳ぐことはありますが、川や海ではまず泳がないようにしています。

理由は川は真水、海は波。正直、これをちゃんと理解していない人が多いと思う。

真水の状態で人間が入ると数パーセントしか浮かばない。

そう、真水に対しての比重がそこまで軽くない。だから、普通に泳がないと沈むし

川の水って上流とかだと水温が体温よりだいぶ低くなるから脚が吊るリスクもある。

そして、波なんですけど、これは沖に連れ去る波が発生する場合

容易に浜へ戻ることができなくなります。

涼を得るつもりが命まで奪われては話にならない。

もちろんレジャーとして楽しむのは全然OKですが、

こういう危険が伴うことを理解してお楽しみください。

兄者と弟者は何者かに主人とフィンクスが吹っ飛ばされていく様子を見ていた。


「主人。飛んでった。」

兄者が言った。


「主人。油断したな。」

弟者が言った。


「あの吹っ飛ばした奴がやばい奴なのか?」

兄者が言った。


「あいつは一体なんだろうな。」

弟者が言った。


「あれだ。アルヴァンさんが言ってた神様ってやつだ。」

兄者が言った。


「あれが。神様って実在するのか?」

弟者が言った。


「目に見えているんだからいるんじゃないか。」

兄者が首を傾げながら言った。


「そうか、あれが神様なのか。」

弟者が神妙そうに見つめた。


「けど、あの神様は悪い奴だぞ。」

兄者が言った。


「神様に善悪もあるのか?」

弟者は疑問を抱きながら兄者に聞いた。


「神様は崇めるものの都合のいいように、かつ崇拝するにあたって一番価値観が近いものを選べるようにバリエーション豊かになっているんだ。」

兄者が適当に言った。


「そうか。じゃあ、あの神様も都合のいいように存在しているのか。」

弟者は納得した。


「あながち間違っていませんが、救わない神なんて所詮は虚像ですよ。」

二人の会話を後ろで聞いてたシドが割って話しかけた。


それに驚いて兄者と弟者が振り向いた。

「あぁびっくりした。心臓止まるかと思った。」

兄者が言った。


「あぁびっくりした。いきなり現れると変な声あげちゃう。」

弟者が恥ずかしそうにした。


「申し訳ございません。戦闘の後だったので気配を最小限に消していたんです。」

シドは頬を掻いた。


「そうか。お疲れ様です。」

兄者が言った。


「そうか。こっちもだいぶ片付いたぞ。」

弟者が言った。


「お二方ありがとうございます。あの、アルヴァン様見ませんでした?」

シドは二人に尋ねた。


「さっき、主人が例の神様に吹っ飛ばされた。」

兄者が言った。


「アルヴァン様もたぶんあの塔に戻ってくると思うぞ。」

弟者が言った。


「タクトマスター様は無事なのですか?」

シドは二人に聞いた。


「主人は生きてる。でなきゃ俺ら消えてる。」

兄者が言った。


「主人はしぶとい。だから、今こっちに向かってきてる。」

弟者が言った。


「あぁ、気配を感知できるのですね。」

シドは納得した。


「それとアルヴァンさんの魔力を感知した。やはり、この塔の上にいるみたいだ。」

兄者が言った。


「本当ですか。ありがとうございます。」

シドはお礼を言って塔へ向かおうとした。


「シドさん。ヘロヘロの状態で行くのは良くないよ。」

弟者が言った。


「そうだな。ちゃんと休んだ方がいい。」

兄者が言った。


「そうは言っていられません。このままだとアルヴァン様は無茶をするので。それに私は今アルヴァン様の魔力の供給を断っているので下手に依存できないのです。」


「シドさん、健気。」

兄者が言った。


「シドさん、無理しすぎ。」

弟者が言った。


「せめて、兵糧丸でも飲むか?」

兄者が差し出した。


「そうだな、キビ団子もあるぞ?」

弟者が差し出した。


「あの・・・お気持ちは嬉しいんですが、私飲食できないので。」

シドは困った。


「なんだって!聞いたか、兄者!」

弟者は驚きながら言った。


「聞いたぞ、弟者!一体どうやって栄養を取っているんだ?」

兄者は改めて聞いた。


「そうですね・・・今まではアルヴァン様からの魔力をもらっていることが多かったので気にしていませんでしたが。基本は相手の生気を吸い取ることで満たされます。現にさっき戦った相手の最期の生気を吸収しました。微々たるものでしたが・・・。」


「そうだったのか。じゃあ、何か魔物を取ってきた方がいいのか。」

兄者が辺りを見渡した。


「けど、兄者。ここら辺の魔物は一掃してしまったから全然いない。」

弟者は首を振りながら言った。


「お気持ちだけで十分です。ありがとうございます。」


「あの塔を登るんだな。大丈夫なのか?」

兄者が言った。


「えぇ。影伝いに行けばなんとか行けそうです。」


「やっぱり、何か生気を摂取した方がいい。」

弟者が言った。


「俺たちの生気でも分けるか?」

兄者が提案した。


「そんな採血じゃあるまいし。」

弟者が呆れていった。


「あの、お気遣いなく・・・。」

シドはさすがに遠慮した。


「わかった。俺たちも塔へ向かおう。」

兄者が自信持って言った。


「そうだな。道中、魔物を捕縛してそいつらの生気を飲んでもらえばいいんじゃないか。」

弟者がノリノリで言った。


「弟者・・・いいねぇ。」

兄者もノリノリだった。


「あの、ほんといいんで。」

シドは少し慌てながら言った。


「よし、じゃあ行こう。」

兄者が先歩き出した。


「よし、じゃあ競争だ。」

弟者が先に行った兄者を追い越してさらに先に行った。


「弟者。それはずるい。俺が一番捕獲する。」

兄者も走り出して競争が始まってしまった。


そして、取り残されたシドは、

「どうして、私の周りにはちゃんと話を聞かない人が多いんでしょうか・・・。えっ・・ほんとに競争するんですか・・・。」

シドは二人の後を追って行くのをためらっていた。


兄者と弟者はシドの気持ちも知らずに行く先で魔物を探しながら狩り始めた。


「ところで兄者。その生気ってどんなの魔物が一番いいんだ?」

弟者が兄者に聞いた。


「それは・・・大きくて、強そうで、生命力に溢れている魔物?」

兄者は返答に困った。


「じゃあ小さい魔物はダメなのか?」

弟者が蜘蛛の魔物を捕獲しながら兄者に見せた。


「うーん、こうなったらシドさんに実食してもらって、より栄養価のいいものを与えられたら勝ちでいいだろう。」

兄者が投げやりに言った。


「そうだな。シドさんに実食してもらおう。」


弟者が後ろを振り返るとシドがいなかった。辺りを見渡していると気配でなんとなく庭木の影にいると思い近づいた。


「シドさん。何隠れているんですか?早速実食してみてください。」

弟者が蜘蛛の魔物を差し出した。


シドは恐る恐る影から出てその蜘蛛の魔物を見つめた。

『えぇ・・・これから生気吸うんですか?この状況だから仕方ないけれどもさすがにゲテモノはちょっと・・・。』


弟者はシドがあからさまに抵抗しているのを感じて蜘蛛の魔物を握りつぶした。

「あの、シドさん。一体どんな魔物の生気が一番いいのですか?」

弟者はシドに問いただした。


シドはどうしようかと迷いながらも応えた。

「強いて言うなら無機物系の魔物がいいです。」


「無機物系?」

弟者が聞き返し兄者もその話を聞きに近づいた。


「無機物系は魔力の循環が一定で吸収しやすいので。」


「無機物かぁ・・・あれか?」

兄者が指さした。


そこにはキラキラ光る大きな石の周りをさらに様々な形や色の石が回る魔物らしきものがいた。


「あれは・・やばいです。魔王の幹部、ハートロックです。」


「やったよ、兄者。あれを先に捕縛した方が勝ちだな。」

弟者が喜んだ。


「そうだな、弟者。強いみたいだから俺たちの腕試しに丁度いい。」

兄者が肩を回し始めた。


「あの!ちゃんと話を聞いて!!」


シドの声は届かず二人はハートロックに立ち向かっていった。


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