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テト  作者: 安田丘矩
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因縁の相手って実は一方的に思われているだけ

子供の頃によく中耳炎とか鼻炎で耳鼻科に連れて行かれることがあったんですが

結構病院が古くて、置いてある本も最近の本はあまりなく

楳図かずおのシリーズがなぜかあって読んでた。

これはその病院に限ってのことのかは分からないけど、非常に苦しかった。

吸入器でしばらく薬を当てさせられたり、穴になんか突っ込まれたり

子供ながら涙目になりながら施術を受けていた。

なんだろう・・・今思うとそれ普通だったのか分からないんだが

行くのが嫌だったのは覚えている。

けど、最後に喉に塗ってくれる薬は甘くて好きだった。

フィンクスに乗って空高く舞い上がったタクトマスターはこちらに迫ってくる両翼の魔物を次々に魔法で応戦し撃退していった。そして、町が一望できるところまでの高さまでたどり着くと指揮棒を空に掲げ円を描くように回しはじめた。上空の雲が一斉に回りはじめ、次第に稲光が現れ音を立てている。


「あの・・・タクトマスター様。これ俺にも落ちてきませんか・・・。」


「案ずるな。」


「案じますが・・・。」


「ワシのそばにいればまず当たることはない。」


タクトマスターは指揮棒を拍子を取るかのように振り始めた。すると、雷が次々に魔物に向かって落ち始め、そばにいる魔物にまで感電していく。さっきまで空を覆ていた魔物群れが散開していった。


「どうじゃ。雑魚は一掃したぞ。」


「さすがです。タクトマスター様。」


「さっきから騒がしのは君たちかい?」

急にタクトマスターの横にテスカトリポカが現れた。


タクトマスターは指揮棒を咄嗟にテスカトリポカに向けたが遅くフィンクスごと衝撃波をくらい吹き飛ばされた。タクトマスターは飛ばされている中で魔力を吹き飛ばされている逆方向に向けて放ち威力を分散させなんとか持ちこたえた。しかし、かなりの距離を飛ばされたようだった。


「フィンクス殿、無事か?」


「かなりの衝撃波だったので体に堪えますがなんとか。」


「町からだいぶ離れたぞ。」


「全速力で15分ってところだと。」


「さすがドラゴンじゃな。」

フィンクスは羽ばたかせ大きく息を吸い込んだ。そして、風が追い風となりフィンクスの後方から吹き始めた。フィンクスはその風に乗り翼で風を掴みながら加速していった。


「この間にワシはお返しをしてやらないとな。」

タクトマスターは呪文を唱え始めた。


「あの・・・急に呪文を唱えられると怖いんですが。」


「怖気づくな。それでも男か!」


「あっ・・はい。」

フィンクスは渋々飛ぶことに集中した。タクトマスターは呪文を唱えると光の矢が現れた。呪文を唱え続け、より早く、より強く、研ぎ澄ませた。




その頃、町の大通りにシドはいた。ドラゴンを連れてきたのはいいものの完全に出遅れてしまいなんとかアルヴァンと合流したいと考えていた。影に紛れながら無駄な争いを避けて探しているとバルの方から声が聞こえてきた。気配を殺しながら声の方向へ向かって行った。


シドが到着すると負傷しながらもクレアを守ろうとするパーチの姿があった。その相手はメージとその部下たちだった。


「どうやらここにもいないみたいですね。アルヴァン様は本当に隠蔽術が長けていて困ります。」


メージは容赦なくパーチの右肩を尖らせた影で攻撃した。パーチは苦痛に声を上げ、クレアは泣きながら悲鳴をあげていた。


「メージ様こいつら処分でいいですか?」

部下の一人が言った。


「あぁ、好きにしなさい。私はエネヴァー様と合流しますので。」


「かしこまりま・・し・・。」


その部下は首元から斜めに裂けそして地面に倒れこんだ。その光景を見てメージは構えながらも残りの部下も首が落ち、そして、圧縮されたように潰れた。


「いるのは分かっています。落ちこぼれさん。出てきたらどうですか。」

メージはシドを呷った。


「落ちこぼれさん?いいえ、私はいつだって愛する者たちの味方・・・。」


シドはパーチたちの前に立ち颯爽と登場した。突然の登場にパーチたちは激しく動揺しながらもシドは咄嗟に自身の影で二人を覆った。


「いつから、人間に加担するようになったんですか?」

メージは両手に魔力を込めながら戦闘態勢に入った。


「加担?いいえ、私はいつだって面白い方の味方です。だから、今目の前にいるあなたより断然人間の世俗に紛れていた方がマシです。」


「戯言を。これ以上あなたを好き勝手させておけませんね。ここで死になさい。」


「死ぬのはあなたです。」


シドの影は大きく伸びてメージに向かっていた。そのシドの動きにメージは思いっきり地面を殴り地割れの間に忍び込み砂煙が舞う中で身を潜めた。


「小癪な真似を。」


シドはメージが逃げれないように影で周囲を囲いそして、腕をクロスさせて念じ始めた。メージは地割れの間から鋭く尖らせた影でシドを攻撃し、シドはその攻撃を囲んでいた影で防いだ。


そして、シドは呪文を唱えた。

「浸食されるアフターダーク。」


囲んでいた影が一斉に中央に向かって覆い始めた。さすがにまずいと思ったのかメージは自身を円錐状に尖らせて覆われる前に上空へと逃げ出した。そして、お返しするかのように左右の手を重ねて握りしめた。


「影法師(去り行く残像)」


呪文を唱えるとシドの周りにメージに似た影が無数に出現して取り囲んだ。その影たちはシドに攻撃を加え、さすがに数が多いのかシドは避けることで精いっぱいだった。


「どうしました?押されているようですが。」


「これはウォーミングアップしているだけです。」


「そうですか。じゃあこれはどうですか。」


メージは指を鳴らすと影の動きが早くなりさらに攻撃に激しさが増していった。


「これでは埒があきませんね・・・。」


「あなたの十八番でも使ったらどうですか?」


「私は以前の私ではないんです。さらに進化しているんですよ、メージ。それを見せてあげましょう。」


シドは影たちから離れそして自身の形を変え、なんとドラゴンの形になった。


「・・・。それは一体。」

メージは困惑した。


「ドラゴンですよ。見て分かりませんか?」


「ふざけているのですか?」


「真面目です。さあかかってきなさい。」


メージは呆れながらも影たちをシドへ向かわせた。




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