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テト  作者: 安田丘矩
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最後に愛は勝つ

さてさて、年末の旅行のためにホテルの予約を取らないと・・。

そういって、今年はどこへ行こうかと考えていると全くいいプランが思いつかない。

グー〇ルマップでこの周辺に何かないかなと探ってみても

観光地はあるもののさほど興味なくてどう回ろうかと迷ってしまう。

いつも、目的一個決めてあとはホテルとかゆっくり出来そうなところ時間をつぶす

そんな浅はかな考えでいるんだけれども、時間の使い方が下手か!

正直、前と同じプランをもう一度やるのもありなんだけれどもダメかなぁ?

過去のプラン中々良かったのもあったからいいと思うんだけどね。

やばい。自分の優柔不断さが露呈している。こういう時は大人としての決断力を見せつけないと。

その様子をあぐらをかいて頬杖着いたエリーゼが不貞腐れながら言った。

「邪魔しやがって。おまえ死んだんじゃなかったのかよ。」


ユリスは手を前に出して中指を立てて言った。

「黙れ、ロリババア!!私のダーリンに手を出したこと万死に値するわ。覚悟しなさい。」


エリーゼはゆっくりと立ち上がりそして鋭い眼光でユリスを睨んだ。

「おい・・・調子乗ってんじゃねぇぞ。お前のような研究員に何ができる。」


「何を言っているの?私はあなたよりも強い。正確には勝ち確よ。」


「ほざけ!」

エリーゼの身体からゆらゆらした霊体が現れゆっくりとユリスへと向かって行った。


「おい、ユリス。気をつけろ。奴はドリームワールドだけじゃない。『世捨て人と道連れに。(スケープゴート)』の厄介な能力もあるぞ。」


アルヴァンの助言にユリスは応えた。

「アルヴァンちゃん。安心して、ここに来る前にこいつへの対策はばっちりよ。だって私、魔王城で働くすべての魔物の健康診断をしたのよ。」


すると、突然禍々しい気配を感じた。


「なんだ今の嫌な感じ。」

アルヴァンは自分の来た方向を見た。


「見てきて方がいいんじゃない。大丈夫よ。ロリババアは私が始末するわ。」


「助かる。」


アルヴァンはタクトマスターと別れた場所へと戻って行った。


「おい!逃げるんじゃねぇ!!」


エリーゼはアルヴァンに向けて黒い霊体を放った。しかし、ユリスが行く手を阻み霊体もなぜかユリスの前で止まった。


「おい、どうした!なんで止まった。」


「バカね。霊体と言っても元は何かの生き物の魂なのよ。それを無理やり操られてしまったかわいそうなものたちよ。だから・・・」


ユリスは懐からメールダッチョウを取り出した。アルヴァンがユリスにメッセージを残したあの鳥だが、羽がしっかり生えていた。


「なんだ、その鳥は。」


「この鳥は最後の一匹なの。それをアルヴァンちゃんが無駄遣いしちゃって。ほんと、物の価値とかに無頓着ね。元々この鳥は伝えた言葉を覚えて叫び続ける鳥ではないのよ。メールダッチョウという名はその土地の人間がつけた名前で、正式名称は遺言鳥ラストレターバード。別名『魂食い』よ。さぁ行きなさい、ジュテーム!」


ジュテームはユリスの手から離れエリーゼが放った霊体に飛び掛かった。逃げ惑う霊体を猛追してくちばしで霊体を突き食べはじめた。


「おいおい!なんだあの鳥は!なんで霊体は反撃しない!」


「そりゃあ、反撃したら食べられちゃうもの。魂食いは魂をしっかり食べさせれば霊体の攻撃はほぼ効かないわ。死にそうになったジュテームを介抱してここまで仕上げてきたんだから。少しは褒めてよね。」


「誰が褒めるか!わざわざ天敵をよこしやがって!」


エリーゼはジュテームの右後方へ瞬間移動し蹴りをあたえようとした。


「悪手よ。あんたも例外ではないわ。」


ユリスは冷静に言った。ジュテームはエリーゼの突如視界から消え蹴りは空振りした。エリーゼは態勢を整えようと身構えたが頭の後ろに痛みを感じた。


「いったたた!!なんだ!!!」


ジュテームはエリーゼを食べ始めていた。エリーゼは咄嗟に瞬間移動して距離を取ったがジュテームは追ってきていた。


「一度食べた味は忘れないわよ。魂食いの悪い所はこだわりの強さとグルメなところね。」

ユリスは高々と笑った。


「うるせぇ!調子に乗るな!!こんな鳥一匹に負けるはずない!!」


エリーゼは自身の顔を思いっきり引きちぎり依り代にしていた幼女を代償にジュテームに呪いをかけた。ジュテームは動きが鈍くなり、思うように動けなくなった。


「あんた。ますますひどい姿になってるわね。」


ユリスが指摘するようにエリーゼの霊体の姿はガサガサだった。不揃いの目とまるで逆立った鱗のような霊体。エリーゼはだいぶガタが来ていた。


「別に見せもんじゃねぇ!!本来のこの姿は美しいんだ!」


「醜いの間違いなのでは。霊体のままで居続けずに幼女の身体に憑依し続けてきた結果よ。そもそも、人間なんて脆いんだから。腐敗してぐしゃぐしゃになっていく。そんな状態のものに憑依し続けるなんて自分の霊体を傷つけるもんよ。」


「説教なんて聞きてくねぇ!!わたしゃ、好きなように選んで、好きなようもんを食べる。それだけだ。」


「あら、そうなの。じゃあ精々あがいてみなさい。


「てめぇの上からの言いぐさが気にくわねぇよ!!」


エリーゼはユリスに襲いかかった。しかし、ユリスに届く前に体がボロボロと崩れ始めた。


「なっ!なんで!!」


「なんで、魂食いがいなくなったか知ってる?それはその土地の人間の中に霊能力者がいたのよ。そいつが魂食いは人間に悪霊をもたらすとデマをもらしたことから迫害され、絶滅まで追いやられたの。元気な魂食いでは人間はまず歯が立たないけど、元気をなくせばいいと考えて除霊を行った。それによって食べるものを失った魂食いは飢えで苦しみ弱ったところで人間から迫害を受けた。その除霊に使ったのがこの塩よ。この塩と教会が管理している聖水と混ぜれば強力な除霊効果を持った聖塩水ができるのよ。」


苦しみながらエリーゼは言った。

「ふざけやがって・・。」


「現にあなた滅茶苦茶効いているじゃない。私はね・・・私の愛している者を奪ったり消そうとする者を容赦しない。ただそれだけよ。」


ユリスは聖塩水をエリーゼに振りかけた。


「ぎゃああああぁあああ!!!」


エリーゼが悲鳴をあげる中で、ユリスはいとも簡単にジュテームにかけられた呪いを解いた。ジュテームは走り出しエリーゼに飛び掛かった。


「ばっ!やめろ!!!やめろぉおおお!!!」


霊体がどんどん食いちぎられしばらくしてエリーゼはジュテームによって食べられたしまった。


食べ終えたジュテームをユリスは抱きかかえ言った。

「ほんといい子ね。これが食物連鎖ってやつよ。よく覚えておきなさい。って教えないといけないババアはもう死んだか。」


ユリスは辺りを見渡して少し困りながらとりあえずアルヴァンの行った方へと歩き出した。


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