ヒーローは後からやって来る。たぶん
よく買いに行っていたお米屋さんから閉店のお知らせのはがきが届きました。
今の米騒動が原因ではないけれども、なんだか考えらせられる。
専門店が今もあり続けるのって本当に貴重だと思うし
大型スーパーや量販店での競合がいる中でも長年営業し続けるのって
本当にすごいことだと思います。
色んなお米を少し買って食べ比べたりしてたっけな。
家の近所じゃお米屋さんはないから悔しいな。
けど、今まで本当にありがとうございました。静養とこれからもお元気で。
エネヴァーは話し始めた。
「契約?違いますよ。神が私に力を授けてくれたんです。」
「何戯言をぬかしておる。お前から放つ禍々しい気配は化け物じゃ。」
「やれやれ。タクトマスター様ほどのお人なら、さぞ大層な慧眼をお持ちだと思ったのですが・・・残念です。」
タクトマスター指揮棒を左右にそして上に振り上げた。すると突如光がエネヴァーの周りを廻りはじめ、その速度は徐々に早くなり光の輪が見えるようになった。
「今度は何をしていただけるのですか?」
タクトマスターは指揮棒を勢いよく下に振り下ろすと光の輪が一瞬で消えた。
「おや、何ですか?余興は終わりでぇ・・・。」
エネヴァーの首が落ちた。
そしてその首をタクトマスターは召喚した棺桶に封じ込め、幾度も呪文をかけて抜け出せぬように講じた。タクトマスターは深く息を吐いた。
「ダメじゃないですか。人の首を勝手にとっては。」
鈍い声が響きタクトマスターは振り向くと首を落とされた胴体がしゃべっていた。
「安心しろ。こんなので完全に封じ込めたとは思っておらぬ。真の姿を見せたらどうだ。ロキよ。」
「なぁんだ。バレてたのか。」
胴体が真っ二つに割れそこから二本の角と鋭い緑色の目をした男が現れた。黒装束を気て、手は触手のようにうごめいている。
「久しぶりだな。タクトマスター。何千年ぶりか。」
「つまらぬ挨拶は不要じゃ。貴様生きておったのか。」
「正確には蘇ったに近いかな。テスカトリポカ様によって俺は新たな役目を得た。」
ロキは遥か昔タクトマスターと並び強者の古の魔物だった。かつて、古の魔物たちが創造派と破滅派との間で意見が分断し争いになったことがあった。その中でタクトマスターはロキを亡き者にしたはずだった。
「何が新たな役目じゃ。神が人間や魔物の世に干渉していいものか。」
「タクトマスター殿。何か勘違いをしているようだね。俺は、君に殺されたんだけど。」
一瞬、間が入った。互いににらみ合いながらロキは話を続けた。
「この世界がどうして今も『平和』という文字があるか知っているかい。それは、早く壊してほしいという現れなのさ。窮屈でマンネリで嫌気がさしてくる。それを壊したくなるだろう。そう、平和を人間が掲げだした時それはその文明の終わりなんだ。素敵だろう。」
「どうせ、負の感情を集めるために利用されるのがオチだな。」
「それでもいいさ。俺は満足している。だから・・・行く手を阻むものはすべて排除する。」
タクトマスターは身構えた瞬間、突如棺桶が姿を消した。一瞬ひるみ辺りを見渡すとロキの横に棺桶があった。
「残念だけど君と戦うのは用事の後でね。今忙しいんだ。じゃあね。」
ロキはグラッツと棺桶ごと黒いもやの中へと消えていった。タクトマスターはしばらく身構えたまま食いしばった。
「クソが。ややこしいことに。アルヴァンよ。とんでもない奴を敵に回したな。」
タクトマスターは兄者と弟者と合流するため地上に降りていった。
その一方でアルヴァンは町の中を走っていた。それもそのはず、この先に知っている気配がしたのだった。アルヴァンが到着するとそこには幼子を腕に噛みつき血をすするエリーゼの姿があった。
「おい、ロリババア。気色悪い真似してんじゃねぇぞ。」
言った瞬間エリーゼはアルヴァンの顔めがけて飛び蹴りが飛んできた。アルヴァンも両腕でブロックして衝撃で後ろに下がった。着地したエリーゼは鬼の形相をしていた。
「てめぇ愚弄しやがって。おまえ、忘れてないからな。私のコレクションを台無しにしたこと。」
アルヴァンは腕を解いて少し考えた後で言い返した。
「コレクションを台無し?別にお前のコレクションなんていじってない。」
「じゃあ、ユリスの研究室の跡でお前ら何した?」
アルヴァンは薄っすらと思い出したがとぼけることにした。
「俺は・・・何もしていない。」
「とぼけんじゃないわよ!!!」
エリーゼは霊体をアルヴァンに飛ばしてきた。アルヴァンは飛んできた霊体に普通に攻撃を加え撃退した。
「おまえ、いつの間に霊体に手を下せる様になったんだ。」
「えっと・・・努力?」
「そうか、じゃあ応用と行こうか!」
エリーゼは両手を叩いた瞬間白い霧が発生した。アルヴァンはさすがにまずいと思い上空へ移動しようとしたが、突如どこからか歌声が聴こえてきた。アルヴァンは耳を塞ぐも次第にその声は大きくなっていった。
「まずいな。ドリームワールドか。」
アルヴァンは必死に抵抗するも次第に意識が朦朧としてきた。アルヴァンの目の前に真っ白なベールを纏った異邦人が手を差し伸べてどこかへ連れて行こうとしていた。
アルヴァンはその異邦人に手を伸ばそうとしたその瞬間、
「そんなこざかしい真似はやめなさーい!!!」
何者かがその異邦人を押し潰し、それと一緒に何かの液体を撒き始めた。
「くっさぁああい!!」
アルヴァンは悶絶した。その液体はとてつもない悪臭放った。
「アルヴァンちゃん。あのババアの策にまんまとハマったわね。だめよ。あいつは大ウソつきなんだから。そういう時はこのユ・リ・スに任せて。」
防護マスクをかぶったユリスがアルヴァンの前に現れたのだった。
「そうか!来てくれたのか・・・先になんでマスクをくれないんだ?」
「うーん・・・荒療治よ。」