戦いはすぐそこで起きている
よくご当地の石碑とか銅像とかあるじゃないですか。歴史物だったらいいんですが
たとえば、アニメキャラクターとかの石像とか今はやりの歌手の石碑とか
あれって、何十年と経った時に残り続ける者なのだろうか。
「ねぇお父さん。あの石像何?あの石碑ってなんのお歌なの?」
って聞かれて答えらる人が居続けるものなのだろうか。国民的に人気があったものなら
辛うじて残りそうだけれども、時代と共に廃れていくものは撤去されるのかなぁ。
もっと、何百年としたら化石や遺跡みたいに残って貴重な資料として残れるのかなぁ。
文明、文化って後世に残していくこと自体素敵だけれども本当にその色は今だけのものなんだね。
タクトマスターはグラッツの前で立ち止まり言った。
「どうした、若いの。もう終わりか?まだ何も始まっておらんぞ。」
グラッツは立ち上がり首元を触った。そして、首を回した後で言った。
「おかしいな。話ではこんなじいさんのこと聞いてなかったんだが。あんた何もの?」
「通りすがりのただのじいさんでよい。それに名など言ったところで覚える必要もないじゃろ。」
「それもそうだな。じゃあ・・・悼み。」
グラッツは指を鳴らしてタクトマスターとの間合いは一気に詰めた。
「その術を昔使っていた奴がいたな。そう、後ろのこいつとか。」
タクトマスターは背後に魔方陣を呼び出しそこから鋭利な岩石が飛び出した。何かが突き刺さるような音を立てて後方に飛んで行った。前方のグラッツは急に動けなくなった。
「どうした?せっかく間合いを詰めたのに何を止まっている。」
タクトマスターは呪文を唱えグラッツを魔力で拘束した。身動きが取れなくなったグラッツはその中をもがいていた。タクトマスターは背後に飛んで行った何かへと歩み寄って行った。近づくと何やら青い腕が異様に長く、骨がむき出しになったなにかがうずくまっていた。
「どうじゃ、イ・タ・ミが分かったじゃろ。ヨガミだったかな、貴様。」
ヨガミは腹部を押さえて息を荒げていた。
「相当失敗の代償が大きいようだな。防御がまったくできてない。」
ヨガミはグラッツのもう一つの化身だった。グラッツの能力はヨガミを操作することによって完成する能力だった。グラッツとヨガミは魂で繋がるつながることによりヨガミの存在や気配をすべてグラッツに移させそれにより、感知されずに攻撃をすることができる。
「さて、弱者には用はない。消えろ。」
タクトマスターはヨガミを一瞬で業火を出現させ焼き尽くした。悲鳴をあげながらも容赦なく。タクトマスターは終えると今度はグラッツの下へ歩み寄った。
「残念だったの。ヨガミは消滅した。魂をすり減らしてはしばらくは出てこれまい。」
グラッツは苦し紛れに言った。
「黙れ・・・老いぼれが。」
「粘るなぁ。端麗な顔が台無しじゃぞ。ここは潔く死ね。」
「俺はこんなところでは死なない。」
グラッツは下を噛み切り、何かを念じた。すると、グラッツの身体は溶け始めた。そして、地面に落ちてしみこんでいった。
「ほほう。また奇怪なことを。」
タクトマスターは後ろに瞬間移動して、指揮棒を手に取った。するとグラッツのしみこんだ地面が轟音を立てながら地割れした。
「俺はこんなところでは死なない。」
地割れから青い悪魔が飛び出してきた。翼が魚の鰭の様質感で立派な一角が特徴的だった。
「青い悪魔か。これはちぃと厄介な。」
グラッツは両手を前に構えて大量の水を放出した。タクトマスターはバリアで洪水を受けながら魔方陣をグラッツの左斜め下に出現させ鋭利な岩石が飛び出しグラッツに命中した。しかし、そこまでダメージは受けていなかった。
「なかなか、やりおる。今のを感知したのか。さて、どこかな。」
タクトマスターはグラッツの周りに魔方陣をいくつも出現させ次々と岩石を飛び出させた。グラッツは自身を水の膜で覆いすべての岩石を受けたが水が飛散した瞬間に上空へと飛びあがった。
「なるほど、その角なのか。悪あがきが過ぎるな。」
「口が過ぎるぞ。老いぼれ。」
グラッツは斬撃を放った。その斬撃はタクトマスターを引き裂いた。たが、それは幻影だった。
「お主、本当に青い悪魔なのか?遅すぎぞ。」
グラッツは瞬時に振り向こうとした瞬間巨大な岩が直撃し落下していった。
「昔相手にした青い悪魔の方がよっぽど手ごたえがあったわい。」
タクトマスターは宙に浮きながら落下していくグラッツを見届けた。
「己の鍛錬を怠って、楽な方に行った果てに自身の未熟さによって清算される。実に愚かじゃのぉ、悪魔とは。」
突然岩が爆発して飛散した。
「おや、やっとやる気になったか。」
爆風の中をものすごい勢いでタクトマスターに向かってくるグラッツは両手に魔術式が現れそして思いっきりタクトマスターに投げた。投げられた魔術式から無数の針が飛び出しタクトマスターを襲った。タクトマスターは岩石で防御したが次々に突き刺さる針にさすがに危険を感じ、指揮棒を上に向けてそして、振り下ろした。すると、針はすべて止まった。そのまま岩だけが地上に落下しタクトマスターの周りは無数の針だらけの状態になっていた。
「この針は、魔力では落としきれんな。仕方ない。お主の冥途の土産にワシの力を見せてやろう。」
『演奏会を始めよう。(ブラックパレード)』
タクトマスターは指揮棒を右に払い、そしてそのままグラッツに指揮棒の先を向けた。すると、針は一斉にグラッツの方を向き、タクトマスターの指揮の合図で一斉にグラッツへと飛んで行った。グラッツはそのまま逃げていったが針はグラッツを追って行く。
「無駄じゃよ。どこまでも追い続けるぞ。」
グラッツは水魔法で針に攻撃するものの勢いは止まらず逃げ惑う。むやみやたらに魔法を放つグラッツにタクトマスターは指揮棒を振りながら笑っていた。
「ほれほれ、もう少しリズムに乗って踊れないのか?」
グラッツは挑発を聞かずに懸命に針を振り払っていた。だが、グラッツは急に止まった。そして、無数の針がグラッツに突き刺さった。痛みに悲鳴を上げグラッツは元の姿に戻っていった。
タクトマスターは串刺しになったグラッツの下に近づきそして言った。
「なかなか、ここへ誘導するのは至難の業じゃな。見事に仕掛けた魔方陣に誘導できたわい。ちゃんと兵法を学ぶべきだったな。」
「だ・・・ま・・れ・・・。」
グラッツは朦朧としながら言った。
「まだ喋れるようじゃな。すぐに楽にしてやる。」
タクトマスターは指揮棒をグラッツに向けた瞬間その前に突然黒いもやが現れ、そこからエネヴァーが現れた。
「これは、古の魔物タクトマスター様ではありませんか。お噂は兼ねがね伺っておりますよ。」
タクトマスターは躊躇なく魔弾を放った。そして、すぐに後方に瞬間移動して距離を取った。
「これは派手な挨拶ですね。衝撃でしたよ。」
エネヴァーは無傷だった。
「貴様・・・一体何と契約した!」
タクトマスターの咆哮にエネヴァーはニヤリと笑った。