一度しかないチャンスは大切に
今の子供たちの学力が低下しているとニュースでよく聞きますが
正直、自分もお世辞でも良かったとはいえません。
だって、高校の頃で数学で0点を取るくらい勉強はできなかった。
考える力が弱くなっているとか、スマートフォンの使い過ぎとか
理由は様々だけれども単刀直入にそういうのって親が悪いんだと思います。
親が子供の勉強を知らなすぎるのも問題があると。実際に自分もそうだったので。
どうして、勉強が必要なのか、何のために勉強するのかを導くこともできないで
勉強しろやら、塾に入れればいいと安直な考えで終わらせている。
自分は、高校で担任の先生に相談してから勉強ができるようになった人なので
その必要性に気づくと格段に変わると思います。
勉強は楽しくないかもしれないけど、勉強して分かっていくことは悪くないでしょと
教えていくことが大切なんだと思うな。
「ワシらが戦場に出るということは分かっておるな。」
タクトマスターはアルヴァンにまじまじと聞いてきた。
「いいえ、何も。」
アルヴァンは無表情で応えた。
「バカ者!これだから青二才は。」
タクトマスターは説教臭くなっていった。
「青二才と言われるほど、若くもないんだが。」
「ワシより下の者は皆青二才じゃ!」
「あぁ・・そう。」
「いいか。どんな奴が現れるのかは知らんが絶対勝つんじゃ。」
「それが神様でもか?」
「神?何を言っとるんじゃ。」
「テスカトリポカが今回の首謀者なんだ。」
今までの経緯をタクトマスターに話した。
「確か、神々が争い世界が混沌となった時代があったな。」
「ホントかじいさん。」
「お前は年寄りをもっと敬え。テスカトリポカ・・・そんな名前だったわい。奴は人間を操ってはその時代を支配していたな。」
「生き証人がいるって驚きだな。」
「そいつと戦うのか?」
「あいつは倒せないだろう。」
「何を言う。そいつが首謀者なら倒さないと勝てない。」
「さっきも言ったが、この戦いはもう結果がテスカトリポカに支配されている。だから、被害を最小限に抑えたい。」
「お人よしだな。そんなこと、殺し合いの中でできまい。」
「俺はテスカトリポカの次の遊び相手になるそうだ。だとすると、その遊び相手になることはあいつを倒すための条件なんだと思ってる。」
「神々の遊戯か・・・あり得るな。」
「だから、じいさんには敵の削りと魔王の配下たちの戦闘を頼みたい。」
「肩透かしだな。」
「戦うのが久しぶりなんだろ?大丈夫なのか?」
「バカを言え。ワシを誰だと思っておる。」
「勇ましいな。」
「それで、報酬はなんじゃ?」
「えっ?」
「ん?」
しばらく沈黙した後でタクトマスターは言った。
「まさか、タダ働きさせようとしてないか?」
「いや、ヒーローは皆を助けると思って。」
アルヴァンは適当に言った。
「ふざけているのか?慈善事業じゃないぞ。」
アルヴァンは少し悩んだ後カエルから何かを取り出した。それは一匹の蝶だった。白く光の角度で淡い水色に羽が光っている。
その蝶を見てタクトマスター目を大きくして言った。
「おい!おまえ!その蝶をどこで!」
「蓬莱蝶。召喚術を使う者だったら絶対に欲しい代物だな。その蝶が強力な召喚獣を連れてくると言われている。じいさんにはこれをやる。」
「そもそも、出現することさえあり得ない蝶だぞ。どうやって捕まえたんだ。」
「これは捕まえるじゃなくて、寄ってきてもらうんだぞ。この蝶は美しいものによって来るんだ。だから、たまたま美しいものの前で待ってたら現れた。ただそれだけだ。」
「そんなことあるか!」
「世の中には美しい人間が居たんだ。そいつの周りにはその蝶がたくさん寄ってきていた。ただ、その人間もその蝶を愛でて大事にしていた。もう、その人間はとっくの昔に亡くなったが一匹だけ俺にくれたんだ。いつかあなたの役に立ててほしいって。だから、それが今なんだと思う。」
タクトマスターは何も言い返さなかった。
それを横で聞いていた、シドはアルヴァンに言った。
「アルヴァン様・・・その話詳しく。」
「嫌だ。」
タクトマスターはその蝶をアルヴァンから受け取って言った。
「良かろう。報酬としては申し分ない。」
「そうか。じゃあ早速その蝶で召喚してみてくれ。」
「おい!いきなりか!」
「一体何が召喚されてくるのか見たい。」
「おまえ、最初からそれが理由で報酬にしたのか!」
「細かいことは気にするな。早く早く。」
アルヴァン含め皆気になっていた。
しかし、ふと兄者が我に返りタクトマスターに言った。
「もし、強力な召喚獣が出てきたら俺ら用なしになってしまうのか?」
「兄者。そうなのか?それは嫌だな。主人。やっぱりやめて。」
「お前たち、従属契約している以上用なしにはならん。何を変な心配してるんじゃ。」
本心、タクトマスターもこの蝶を使って召喚することに興味があった。家の外の広い所で召喚の儀を始めた。少し遠くからアルヴァンたちはタクトマスターの様子を伺った。
「何が出てくるかな?」
四男がアルヴァンに聞いてきた。
「お前ら大所帯だから大きい魔物の方がいいんじゃないか。みんなで旅行へ行けるかもよ。」
「それすごーい。」
六男が言った。
「ねぇー。」
五男と末っ子が一緒に言った。
「俺らの後輩になるんだから、ちゃんと上下関係はしっかりしとかないとな。」
兄者が言った。
「兄者。もし、俺らより強くてデカかったらどうする?」
弟者が言った。
「その時は・・・その時考える。」
兄者が言った。
タクトマスター本格的に呪文を唱え始め、蝶を離した。蝶はタクトマスターの周りを飛びはじめ上空へと飛んで行った。そして、そのまま姿が消えた。タクトマスターの正面に光の渦が現れそこから何かが飛び出した。
そこに現れたのはふさふさした毛並みに巻き角を蓄えた小柄な四足獣だった。目をくりくりさせて愛嬌があった。皆恐る恐る近づいてその四足獣をじっと見た。そして、孫たちは大喜びしてその四足獣に抱き着いたり撫でまわした。四足獣も嬉しそうだった。
「この生き物は・・・なんだ?」
アルヴァンは首を傾げた。
「知らぬ。はじめて見たわい。」
タクトマスターは思っていたのと違ったので拍子抜けしていた。
「良かった。かわいい後輩ができた。」
兄者が言った。
「毎日散歩に連れて行かないとな。」
弟者が言った。
「なぁ・・・もう一匹いないのか?」
タクトマスターはアルヴァンに聞いた。
「報酬は渡したぞ。あの一匹しかいない。それにこいつだってすごい召喚獣かもしれないんだぞ。見た目からは分からないが。大事にしろよ。」
アルヴァンはタクトマスターに説教しタクトマスターはその後何も言わなかった。