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テト  作者: 安田丘矩
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大御所を呼ぶのは気が引ける

あんなに好きで集めていた物が時を得て再び見てみると処分に困ったりする。

それこそ、トイ・ス〇ーリー3のような感じなのかな。

歳を重ねて、家にあるものを減らしていかないと思うときがよくある。

まだ、そんな年齢ではないんだけれども物で埋める必要も感じなくなった。

ミニマリストまではやりすぎだけれども、使わなくなったものは処分していきたい。

けれども、粗大ゴミに出すのか?売りに行くのか?中々判断が難しい。

特に懐かしのアルバム。再び開くとあの時の記憶がよみがえる。

ただ、これっていずれ処分しないといけない日がやって来るんだよね。

それにもう見返さなくてもいいのかなって思っている。

自分の中で風化していっているのかな。漠然としていく記憶とそこにあった居場所。

たぶん、そういう物ってちゃんと供養していかないといけないんじゃないかな。

町の中心では逃げ惑う人々と冒険者や警備隊が魔物と応戦していた。


「アルマ、民間人の避難を優先に経路の侵入させるな。」

ガトレーは鋼鉄の巨大なハンマーで薙ぎ払いながらアルマに命令した。


「ンなこと分かってる!けど、数が多すぎる!!」


アルマは身をかわしながら敵の急所ついた。しかし、次々に迫りくる敵に距離を取りながらも余裕などない状態だった。


「アルマ!伏せて!」


カトレアは氷の刃を放った。アルマは瞬時にその場に伏せてかわし、その刃は前方にいた敵を切り裂いた。


アルマは立ち上がりカトレアに言った。

「おっかないな。俺まで殺す気か?!」


「手の内が分かっているからこそできるんでしょ!そんなことより早く態勢を整えて。」


「へいへい。身体強化を頼む。俺は暗示をかける。」


「本当、人使い荒いわね。」

カトレアはアルマに身体強化の呪文を整えた。アルマは自身に暗示をかけ始めた。


「ガトレー!アルマをそっちにやるから後退して。」


しかし、返事がなかった。


「ガトレー!聞いてい・・るぅう・・・。」

カトレアは動揺した。


「どうした?カトレア?」


アルマが振り向くとそこには一人の水色の髪の青年が立っていてその足元にガトレーの頭部が転がっていた。


「ガぁ!ガトレー!!」


アルマは剣を構えその青年に向かって行った。


「あれ?これ君のお友達だったんだ?ごめんね。邪魔だったから排除しちゃったよ。」


そいつはグラッツだった。

グラッツはガトレーの頭部を持って言った。

「返すよ。君たちのお・と・も・だ・ち。」


グラッツはそのガトレーの頭部をアルマに投げた。アルマは一瞬ひるんで立ち止まった。放り投げられたガトレーの頭部は地面に転がりアルマの前に止まった。口から唾液をたらし、血が地面に広がる。目が見開いたままアルマを見ているようだった。アルマは感情的になっていた。


「アルマ!落ち着きなさい!!私たちはここでこいつを食い止めないといけないの!!」

カトレアは涙ぐみながらも強がって見せた。


「お嬢さん、いいねぇ。君はキープさせてもらうね。それじゃあ、そこの坊やから片づけようかな。」


「うるせぇ!ごちゃごちゃ言いやがって。俺は負けない!!!」


アルマは低い体制のままグラッツに突っ込んだ。


「威勢のいいのは嫌いじゃないんだけどね・・・悼み。」


アルマは立ち止まった。


「嘆ぇええ!」


グラッツはすさまじい勢いで飛ばされ、建物の壁に叩きつけられた。アルマは呆然と立ち尽くしたがすぐに切り替えて剣を構えた。そこには2体の巨大な鬼の魔物に1体の皺くちゃなおじいさんのような魔物がいた。


「今度は何なんだよ!!」


アルマは混乱している。そこへアルヴァンがやって来た。


アルマはアルヴァンを見つけるなり言った。

「テトさん!今までどこにいたんだよ!!!町が・・町が滅茶苦茶で!!なんかすごいやばそうな魔物も出てくるし。」


カトレアもアルヴァンに近づき抱きしめた。

「怖かった・・・怖かったよぉお!!」


カトレアは泣き出しアルヴァンは戸惑っていた。


「ほう・・若造。モテモテだな。」

一体の鬼の魔物が言った。


「兄者。こういうのは慕われているっていうんだぞ。」


「弟者。そうなのか。」

もう一体の鬼の魔物が言った。


「お前ら、何を言っている。あれは愛玩動物としてチヤホヤしているだけだ。」


『誰が!愛玩動物だぁ!!!じじぃいいいい!!!』


アルヴァンはカトレアを振り払いそのじじいの魔物に近づいて行った。


「あの魔物・・・喋るのね。」

カトレアとアルマはキョトンとした。


「おや?そんなこと言うのか?帰っちゃおうかなぁ。ワシ、孫たちと遊ばないといけないし。」


このじじいの魔物はタクトマスターだった。


「主人。割とノリノリでここまで来ていただろう。帰るのか。」

兄者が言った。


「主人。せっかく来たんだから。観光でもしていったらどうだ?」

弟者が言った。


「何を言う。こんな魔物だらけじゃ観光もできん。」

じじいは兄者と弟者に言った。


アルヴァンは苦い顔をしながらタクトマスターに言った。

『タクト・・・マスター様。この度は助力いただき感謝します。』

アルヴァンは一礼した。


「えっ?なんじゃ?聞こえなぁーい。」


アルヴァンはキレそうになった。


「主人。さすがにそれは相手に失礼だぞ。」

兄者が言った。


「主人。カッコいいとこ見せてやるわいって言ってたじゃないですか。」

弟者が言った。


「お前らは一々うるさいぞ。こういうのは茶化してなんぼってもんだ。」

じじいは胸を張った。


「そうなのか?兄者。」

弟者が言った。


「そんなこと聞いたことないぞ。弟者。」

兄者が言った。


『本当に来てくれて感謝している。すまないが、早速今さっきぶっ飛ばした奴を相手できるか?』


「無論じゃ。あんな魂を売った若造なんて相手にもならんわ。」

じじいはやる気になった。


「そうなのか?兄者。」

弟者が言った。


「まぁ相手が油断しただけだからまだ分からんぞ。弟者。」

兄者が言った。


「兄者と弟者は下がっておれ。ワシ一人で十分だ。」


じじいは前に出てグラッツの方へ向かって行った。


「主人。やる気だ。」

兄者が言った。


「主人。たまにはかっこいい。」

弟者が言った。


「弟者!一言余計だ!」

じじいは地獄耳だった。


『兄者と弟者は経路によって来る魔物を排除してくれ。』


アルヴァンのお願いに兄者と弟者は一緒に応えた。

「承知。」


兄者と弟者は空からと陸を這う魔物を攻撃し始めた。


それを見ていたアルマはアルヴァンに言った。

「テトさん・・・あんた何ものなんだ。」

アルマはその姿に少しビビっていた。アルヴァンは近づいて経路の行く先を指さした。


『お前らもいったん引け。手に負えんだろ。』


その指示にアルマとカトレアはガトレーの頭部をもって避難していった。


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