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テト  作者: 安田丘矩
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人間欲が生み出したマスコット

長期連休に入りまして皆さんいかがお過ごしでしょうか。

どこかへ泊りで出かける機会があると思いますが、最近では鍵じゃなくてカードキーが普通ですけど

あの電源を差し込む奴があるホテルについてはどうにかできませんかね。

カードキーを持って行かないといけなくなるからせっかくエアコンをつけておいたのに消えてします。

この暑い時期にそれはあんまりだと思う。あの厚みに合うようなポイントカードを代わりに差しておく。

けど、一回普通に回収するの忘れてしまって、旅館からも何も連絡なかったです。

こういうのって捨てられちゃうのかな・・・悲しい。

ドラゴンの協力を得られたアルヴァンはフィンクスたちと別れてパタリオスのアルムトゥラムトにやって来た。ピグマンから宮殿にある歴史書を見せてもらうために立ち寄った。


初めてここを訪れたときのどんよりとした砂漠が賑わう街へと変わり、七変化の植物の力なのか緑が生い茂り単色の砂漠を彩っていた。行き交う人の中には爬虫類の動物の仮面を付けたものが歩き、街のいたるところにケツァルコアトルを模した像や紋章が点在していた。


「あの神様、有名人なんだな。今まで名前すら聞いたことなかったが。」

アルヴァンは露店で買った柑橘類のシャーベットを食べ歩きしていた。


「信仰など無縁でしたからね。それにしても、その実力は折り紙付きってことですかね。」

シドは影から言った。


「過去に人間を戻すことができるんだからな。」


「なら、過去を改ざんしてくれれば解決するのでは。」


「そうだな。ただ、それができないんじゃないか。下手に改ざんすれば世界自体終わりかねないからな。そして、今回人間を戻したのは自分の力が元に戻ると思ってのことだったかもな。」


「案外律儀できまぐれな神様ですね。」


「神様ってのはそういうものなんだろう。」


アルヴァンは宮殿に入って行くと礼拝堂の中には人々が演奏をして歌ったり、祭壇の前で啓示を読み上げて祈り、禍々しい光景が嘘のように浄化されていた。


「俺場違いだったかな?」


キョロキョロと見渡していると経典を読み上げていたピグマンがアルヴァンに気づき近づいてきた。

「ほう、久しいな。小さき魔物よ。」


「小さきは余計だ。」


「それで今日は何用かね。」


「宮殿に保管してある史記やら見せてもらいに来た。」


「あぁそうだったな。良かろう。こちらへ。」


ピグマンに案内され宮殿の奥へと入って行った。入って行った先は石板や石像が並べられた部屋だった。


「あぁ・・・こういうのね。」


「何を期待していたんだ?」


「いや別に。」


「ここの石板の内容を訳してある書物は隣の書庫にある。好きに見なさい。」


「あぁどうも。」


「それにしてもケツァルコアトル様について調べるとは熱心な信者だ。」


「あぁはい。」


アルヴァンは面倒くさくなりそうだったので話を流した。ピグマンが出てった後一先ず案内された部屋にある石板や石像を眺めた。


「アルヴァン様、読めるんですか?」


「全く分からん。」


「あぁそうですか。」


結局よくわからなかったので隣の書庫へ移動して資料を読むことにした。

資料に目を通すと・・・

『ケツァルコアトル様の有難いお言葉100選』、

『拓け!ケツァルコアトル様の導きから学ぶ生活の手引き』、

『歌集。ケツァルコアトル様へ響け、心に残る聖歌』、

『ケツァルコアトルくんと遊んで学べる。宗教用語辞典。』と様々だった。


そしてアルヴァンは一度資料を置いて部屋から出て行った。


「あの・・・見ないんですか。」


「見るって。あの教祖様崇めてますの暴力を受けろと言うのか。なんだよあれ。信仰通り過ぎて洗脳に近いだろう!」


「誰が洗脳だ!」


アルヴァンの頭に誰か問いかけた。そして、その言葉を察してアルヴァンは言った。

「なんで、児童書までお前が盛りだくさんなんだよ。怖いわ!」


「皆が崇めてくれるんだから仕方ないだろう。これが神であり信仰だ。」


「アルヴァン様さっきからなにやってるんですか?」

シドはいきなりの挙動の変化にアルヴァンを不審に思った。


「今、ケツァルコアトルとしゃべっているんだよ。信仰に異議を唱えたことに怒ったみたいだ。」


「そりゃあ怒るさ。信者が私を崇めてくれて沢山の文化を築いてくれたのだ。」


「それで何用だ。神様ってのは暇なのか?」


「失礼な。無理やり暇にさせられているだけだ。調べに来るのは大いに結構だが私に直接聞いた方が早いと思って出てきた。」


「それはご親切にどうも。それで何か知らせたいことはあるのか?」


「まずは私の神として降臨してから培ってきた教えの数々からお教えしよう。」


「あぁそういうのはいらないです。」


「遠慮するな。」


「遠慮じゃないです。シンプルに聞く必要がないと思います。」


「・・・神を冒涜するきか?」


「冒涜も何もそもそもケツァルコアトル様を信仰していないし、テスカトリポカを止めるための協力関係なので。」


「・・・本当に聞かなくていいのか?」


『うわぁ、面倒くさくなってきたな。帰ろうかな。』


「いや、君わざとやってるでしょう。」


「察してもらえると嬉しいです。」


ケツァルコアトルはため息を吐いた。

「冷たいな。もういい!」


「ごめんなさい、神様。怒らないで。せめて、教えて欲しいことがあるんだよ。応えてください。お願いします。」


ケツァルコアトルは何も返事せず拗ねてしまった。


「アルヴァン様・・・今どういう状況なんですか?」


「神様の有難いお言葉を拒否したら拗ねちゃった。」


「アルヴァン様ってデリカシーないですよね。非礼を言っても咎めない神様なんて普通いないですよ。」


シドの言葉にケツァルコアトルは食いついた。

「そうだぞ。おまえの部下の言う通りだぞ。少しは敬ったらどうだ。それに・・・貴様よりはるかに強いぞ。」

最後はボソッと言った。


アルヴァンは目を細めて渋々応えた。

「大変失礼いたしました。ケツァルコアトル様。どうか下々にお力添えを。」


わざわざ跪いて頭を下げたアルヴァンを見てケツァルコアトルは言った。

「なんか・・・ムカつく。」


「お前が敬えって言ったからだろ!それにドラゴンたちに会いに行ったとき見てただろ。」


ケツァルコアトルは黙った。


「もういいや。神様に伝えとかないといけないことがある。テスカトリポカの次の遊び相手は俺をご指名だ。」


「・・・そうか。まぁ悪目立ちしすぎてるからな。」


「それは嫌味か?」


「嫌味ではない。ただ、こんな複雑な魔物滅多にいないだろうな。」


「それ悪口なのでは。」


「誉め言葉だ。」


「その興味を惹いた理由が過去に俺にかけた呪いか何かで、それを抑制したケツァルコアトル様の能力。それとなぜか願いが継受だれていると言っていた。」


「そうか。そんなことを言っていたのか。残念ながら、今の私ではお前の力を見極めることができない。一度お前に会っているのか・・・。」


「それは力が戻らないからか?」


「正確には私の力が分散しているのだ。それは記憶でもあるから。」


「そういうものなのか・・・。それと、約束の日はケツァルコアトル様が閉じ込められている赤い星が近づく時だそうだ。」


「相変わらず嫌がらせが過ぎるな。あいつは。」


「そこで相談なんだが。あいつの思い通りにはさせたくない。だから、対抗するすべはないのか?」

「ない。」


「おぉ、我が主よ。下々が助けを欲するときに差し伸べてはくれないのですね。」


「それやめて。」


「本調子じゃないのは知っているがせめて、頼れそうな戦力とかテスカトリポカの弱点とかないのかよ。」


「そうだな。暫し待っておれ。また後日連絡する。」


ケツァルコアトルからの念話が解けて音沙汰がなくなった。


「頼って良いものなのか?あの神様。」


「アルヴァン様、傍から見たらだいぶ怪しかったです。」


「好きでこんな事してるんじゃない!」


結局、何もつかめなかったがケツァルコアトルに助力を打診することができた。アルヴァンは一先ずギンガルに戻り再び策を考えることにした。


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