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テト  作者: 安田丘矩
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良いとこ取りしすぎると嫌われる

先日日帰り旅行の帰りにかぼちゃを買ったんですよ。道の駅の産直市場で。

現在のかぼちゃの価格の相場を知っていたから、それなりに一玉安く買えたんです。

ところが、温泉に寄った後で隣に民芸店があってちょっと見てたら野菜も売ってたんです。

そして、かぼちゃの値段が自分が買った物より半額だった・・・悔しかった。

それより、かぼちゃ安くない!!自分が買ったかぼちゃは大きくてごつごつないやつ。

売ってたかぼちゃごつごつのよくイメージされるかぼちゃ。

多少傷があるけど全然いけるよ。うわぁショッピング失敗だぁ!

渋々、坊ちゃんかぼちゃの小さいかぼちゃを140円で買って帰りました。

かぼちゃ食べきるの大変だったわぁ(笑)

しばらくユリアが不機嫌だった。レオは何度も誤っても許してくれず、自宅の中は気まずい空気が流れていた。レオは朝起きるとすでにユリアはマアサさんのところへ行ってしまい仕事中に軽く声をかけてもそっぽ向かれ顔を合わせずにいた。アルヴァンは二人の様子を遠目で見ていた。


『すごいなこいつ。結婚してすでに離婚の危機か。』


アルヴァンはマアサの家のキッチンでロールパンにウサギ肉の甘煮を挟んで食べ始めた。レオが渋々とキッチンに入ってコップに水を汲んで飲み始めた。そして、ため息を吐いてブツブツと何か言っていた。


『自業自得だな。そのお人よし過ぎるところに問題があるだろ。』


さすがにこの二人の不穏さに嫌気を感じ、アルヴァンは残りのパンを一気に食べて外へ出た。

少し物足りなさそうに歩いていると


「クロちゃん!どうしたの?」クレアが声をかけてきた。


『いきなりユリアがマリッジブルーに、あいつはアホだからどうしたものかと。』


「あぁさては二人が喧嘩しているから気まずくなったんでしょ。」


『クレアのこの察しの良さはさすがに恐ろしいな。』

アルヴァンはまじまじとクレアを見た。


「クロちゃんすぐ顔に出やすいから分かるわよ。それより、小説のお礼していなかったわね。」


『そんなのいい。元々、俺のじゃないし。』


どこからか『よーくーなーい。』と声がしたが無視した。


「遠慮しなくていいのよ。本当に嬉しかったんだから。今度、家によって頂戴。クロちゃんだけをお祝いするパーティをやりましょう。」


『なんだよそれ・・・いいな。』


「嬉しそうね。期待しててね。」


クレアは手を振ってバルの方へ歩いて行った。アルヴァンは上機嫌になって農場へ向かおうとした時、


「何を浮かれているんですか?私の愛読書をよくも・・・。」


「浮かれていない。向こうのご厚意に甘えているだけだ。愛読書なんて知らん。」


「それで、勧誘には行かないんですか?」


「あぁそうだったな。ちょっと行ってくるか。」


アルヴァンは人気がない所へ行き移動魔法でフィンクスのいるエンボス山へと飛んだ。



エンボス山のフィンクスたちの群れの住処にやって来たアルヴァンは近くにいたドラゴン達から

「また来たの?」と言われながらフィンクスのところへ向かいフィンクスも

「まさかこんな早くまたやって来るとは。今度は一体何の用だ。」


フィンクスは先日来たばっかりだったので不審思いながらアルヴァンを見た。


「まぁまぁ、そんな怪しい目で俺を見るな。今日は土産話もあるんだ。」


「ほう。」


「お前らのケツァルコアトル様にあったぞ。」


フィンクスは目を点にして少し考えた後でアルヴァンに言った。

「お前、頭でも打ったのか?」


「俺は正気だ。今は協力関係で弟のテスカトリポカを止めるために動いている。」


「お前、テスカトリポカが弟だと知っているんだな。だが、さすがに信じがたいが。」


「俺も生身であったことはない。向こうの幻想でしか姿を見たことないし、それに大昔にテスカトリポカに敗れた後、あいつによって今も赤い星に閉じ込められているみたいだから会えていない。」


「それは初耳だ。だが、テスカトリポカならやりかねないな。それでケツァルコアトル様は何を言っていた?」


「まぁざっくりと力が戻らない以上助力してほしいと。まぁ微力ながらケツァルコアトル様にはヒントや助力をもらっているしな。それにパタリオスの宮殿もテスカトリポカから解放できたから少しは力が戻るだろう。」


「なんと。この短期間でそんなことが。おまえも同志だったんだな。」


「べつに俺は信者でもない。ただ、この神のお遊びに付き合うのは御免ということだ。何としてでもテスカトリポカをやっつけたい。それだけだ。」


「それで、テスカトリポカをやっつける術はあるのか。」


「ない。」


フィンクスは細い目でアルヴァンを見た。


「なんだよその目は。」


呆れてシドが影から出てきた。

「フィンクス様。アルヴァン様にそのような高尚な術あるはずありません。」


「はっ!」


アルヴァンはキレた。そんなことお構いなしにシドは話を進めた。


「私自身、イレイアの魔法学校でみた幻想でしかケツァルコアトル様の姿を見たことはありませんし、アルヴァン様が独自でお会いしていたことも正直信じがたいです。ですが、パタリオスで目の当たりにした変化でやはりケツァルコアトル様は実在していると感じました。そして、その話を踏まえて、ケツァルコアトル様の力を取り戻すことが一番手っ取り早いと思います。」


アルヴァンは苦い顔をしながら言った。

「おまえ、俺のセリフを取りやがって。」


「アルヴァン様は話を大きく見せすぎているんですよ。とっとと本題を切り出してください。」


フィンクスは笑った。

「部下に注意されていてはダメだな。」


「今、俺のダメ出しをするときじゃない!わかったよ、本題だ。さっきシドが言った通りケツァルコアトル様の力を戻すのが先決だと思うが、その力を取り戻すまでに約束の日がおそらく来る。」


「おまえ、約束の日を知っているのか。」


「テスカトリポカが接触してきた。策を講じても無駄だから来る時まで待てと。」


「おまえ、テスカトリポカとも接触しているのか?何者だ?」


「会いたくて会ってるんじゃないからな。神っていう生き物はお構いなしに接触してくる者なんだよ。」


「そんな馬鹿なことがあるか。」


「まぁ本当は・・・俺がテスカトリポカの次の遊び相手に指名された。」


フィンクスは言葉を失った。そして、冷静に言った。

「おまえ、その意味が分かっているのか?」


「知らん。けど、俺も過去にテスカトリポカに利用された一匹の魔物だったみたいだ。その過去の因縁が今になって焚きつけられているってことだ。そして、テスカトリポカは約束の日が来たら奴の望み通りの結果になるだろう。そして、俺は次の遊び相手。」


「それで、儂に何をしろと。」


「呑み込みが早いな。約束の日に一緒に戦ってくれないか?」


「おまえ、命を大事にって言ってなかったか?」


「そんなこと・・・言ってない。」


「そもそも、結果が分かっているような戦いに行くなど死にに行くものだろう。」


「強者に挑むことは誇りだの、自分の死に方くらい選ぶなど言ってなかったか?」


「そんなこと・・・言ってない。」


二人のやり取りを見かねてシドが間に入った。

「フィンクス様。せめて、援護はしていただけませんか?首謀者とその幹部クラスについてはこちらで考えるとして、他の雑魚たちの削りをお願いしたいです。危険があれば退却して構いませんので。」


「馬鹿言え!ドラゴンだぞ!逃げることなどできるか。」


「おまえさっきと言っていることが違うなぁ!」

アルヴァンは思わずフィンクスに突っ込んだ。


「わかった。ただ出陣の合図はどうする?我々はここからだとすぐには行けないぞ。」


「こちらに『おかえり君』があります。」


「なんだ?そのふざけた名前の人形は。」


「これを使って一瞬でギンガルに来られます。なのでこちらから敵が襲撃してきたら合図を送るのでこちらにいらしてください。」


フィンクスはその人形を見て少し疑っていたが

「分かった。こちらから精鋭部隊をだそう。」


「ありがとうございます。」


「いい部下を持ったな。アルヴァンよ。」


「なんか・・・ムカつく!」

アルヴァンは怒っていた。


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