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テト  作者: 安田丘矩
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正しく生きられないから、せめて思い出は美化しておく

ネットショッピングで最近、ちょっと解せないキャンセルがあったんです。

急にメールでキャンセル処理されたと連絡があってサイトで確認したら、

問い合わせ蘭にメッセージが入っていて確認したら、品切れになっていて

かつ、他の色はありますので変更等あればご連絡くださいって。

まず、品切れのものを載せておくんじゃない。

出品者側は連絡したと思っているが、なぜメールでよこさず、サイトの問い合わせで終わらせた。

不親切すぎてもやっとした。欲しかったものだから落胆さが拭えない。

やっぱり、正規のところで買うべきだね。自分でも反省だわ。

その魔法を見せられた王は感動していた。魔法のコントロール自体現世では珍しくなかったが、ここまで細やかに動かすことなど見たことない。そして、その魔法はカイノスの史記にも書かれていた。


「我を慰めてくれているのか?」


『さぁな。ただ、王様らしく腹をくくって死ねるくらいの覚悟は持ってほしいかな。』


アルヴァンは手を振って部屋から出て言った。そして、すぐにこの屋敷から出て行こうとする貴族がいたのでアルヴァンは瞬間移動してその貴族の前に立ちはだかった。



護衛が前に出てアルヴァンを警戒する中その貴族は言った。

「なんだ!我を誰だと思って道を塞ぐことか。」


『どうして、せっせと帰ろうとしているのか。まだ式典はお開きになっていないぞ。貴族である者が王の御前に帰るとは・・・。それと、なぜ殺せと?』


アルヴァンはその貴族を睨みつけた。その貴族は怯みながらも護衛に指示した。


「何を突っ立っている。この魔物を殺せ!!」


『もちろん、魔物を嫌うものがいるのは分かっているがお前・・・内通者だろ?どうして、お前の服の中から俺の知っている奴の魔力を感じるんだ?』


アルヴァンは瞬間移動してその貴族の背後を取り思いっきり殴りつけて気絶させた。倒れた音に気づいて護衛が振り向くとアルヴァンは指先を向けていた。護衛は抵抗することなく両手を上げた。その後、騒ぎを聞きつけて城の護衛が集まってきた。


レノヴァと兵士長がアルヴァンの前に現れ話しかけた。

「テトさん、一体何事ですか?」


アルヴァンはレノヴァの前に例の貴族を差し出した。


「テトさん、不用意に貴族に危害を加えればどうなるかお分かりですか。」


『やれやれ、察しが悪いな。』


アルヴァンは貴族の服の中からあるものを見つけて渡した。それは鏡だった。


「鏡ですか?」


アルヴァンがその鏡に魔力を加えると鏡は話し始めた。

「おや?お前は誰だ?あのポンコツ貴族はどうした?」


皆驚き、レノヴァは鏡を手放した。しかし、鏡は落下することなく宙に浮いたままだった。


「おい、いきなり手放すな。おい、まさかバレたんじゃないのか?」


レノヴァと兵士長は互いに見合いながら状況を理解した。


『おい、ばっちぃ鏡。お前の主に伝えろ。こんなまどろっこしい真似してないで正面からきたらどうだ。』


鏡はむきになって答えた。

「誰がばっちぃ鏡だ!馬鹿言え。なんでこんな三下悪魔の言うことなんて聞くか。」


『ならいいや。失せろ。』


アルヴァンは鏡を指さし光線を放った。その光線は鏡を貫き鏡は割れて地面に落ちた。


レノヴァは慌ててアルヴァンに言った。

「テトさん。今のは・・・。」


アルヴァンは頷いた。レノヴァは衛兵たちに言った。

「この貴族を投獄しろ。敵国の内通容疑の反逆罪だ。」


例の貴族とその護衛は肩を持たれながら城の牢へと連れて行かれた。


「テトさんは分かっていたのですね。本当に感謝します。」


『まぁマルスを逃がした時に違和感があったから内通者の可能性を疑っていた。けど、どうも尻尾を出さなかったがさっきの騒ぎで確信した。それだけだ。』


「ただ、誰を疑ってもおかしくない状況になりますね。ここも安全とは言えなくなってしまうのか。」


『無力だろうな。その気になれば明日にでも襲撃するくらいの奴らだ。まぁおそらくは約束の日かその近い日か。』


「そうだ、テトさん。迎えをよこすので屋敷にいらしてください。私は、突然テトさんが王の間で来たことでの騒ぎの収拾とこの貴族の内通を王に伝えてから帰りますので。後ほど。」


『そうか。じゃあそうする。あいつはともかく、ユリアには会っておきたいからな。』


しばらくするとレノヴァの屋敷の馬車がやってきてアルヴァンは馬車に乗り込み屋敷に向かった。




屋敷に着くとレノヴァの召使に応接室へ案内されてそこにはレオとユリスがいた。バルコニーで何かを話しているようでアルヴァンはゆっくり近づいて行った。


「・・・・本当にごめんなさい。」


「いいんですよ。俺はユリアさんと一緒にいたいと思った。ただそれだけですから。」

二人は互いを見つめ合っている。


『本当におめでたい奴だな。』

アルヴァンはため息をついた。


「うわぁびっくりした。なんだよ、もう。」


「あっ、テトさん大丈夫でしたか?不敬罪になりませんでしたか?」


『大丈夫なわけあるか!なんで、こいつの尻拭いをしないといけないんだよ、まったく。』

アルヴァンは首を振った。


「テト・・あのさぁ・・・ごめん。それでありがとう。」


『礼なんていらん。お前の礼なんて何の役にも立たねぇよ。』


アルヴァンはその場から出て行った。アルヴァンは応接室を出て図書館へ向かっていた。


するとシドがアルヴァンに話しかけた。

「アルヴァン様も空気は読めるんです。」


「はぁ?ふざけんな。そんなんじゃねぇ。」


「またまたぁ。」


「別にこれ以上二人のことに異議を唱えても意味ないだろう。それにあいつらに残された時間は少ない。もう好きにしたらいい。」


「へぇー。」


アルヴァンはシドの絡みにいらいらしながらも図書館に向かった。図書館に着くとカイノスの史記を取り出して読み始めた。別れてからカイノスがどのような人生を送って来たのか読み進めるうちにだんだんその別れ際のことを思い出してきた。


あいつは一緒に居たかったんだ。俺がきっと反対することも分かったうえで本当は一緒に旅立ってほしかったんだと。けれども、それだとこの夢は叶うことはできないかもしれないし、依存して目的を見失うかもしれない。その葛藤の中で決断していたんだと思った。


「あいつらしいな。ただ、遺言にそんなこと残すんじゃねぇよ。」


アルヴァンが物思いにふけっていると。

「アルヴァン様が王になっても良かったんじゃないですか。その方が私も鼻が高い。」

シドが茶化して言った。


「王なんてなるもんじゃない。王ってのは望んでくれる人がいて初めてなれるものだ。俺はなりたくもない。」


「残念ですな。毎日おいしいものが食べられるのに。」


「やめろ。動機が不純だ。」


「アルヴァン様に理性ってあるんですか?」


アルヴァンはシドを殴ろうとしたがシドは瞬時に離れた。

そして、アルヴァンは舌打ちした。


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