その言葉はいつか自分の下に還ってくる
セブンティーンアイスを買うとき一番好きな味は何?
今、巷で流行っているあの曲ではないけど
チョコミントはけっこう食べてるなぁ。そして、対抗馬はぶどうシャーベット。
昔食べたよりおいしくなっているのがポイント高い。
ちなみに昔はソーダーフロート推しだったなぁ。
今に思えばなぜあの着色料推しだったのかは分からないが、こどもながら好きだったなぁ。
そういえば、去年だったっけ?どっかの高校が生徒会の公約でセブンティーンアイスを導入したって。
正直、これは羨ましい。絶対放課後に買ってるわぁ。天才過ぎる。
今、滅茶苦茶暑いから冷たいものが欲しくなりますね。
再びアルヴァンが目を開けるとそこは賑わいある街に変わっていた。行商や大道芸になど人々が行き交いそして、あの双葉はトケイソウのような花をつけて巨木になっていた。
『一体どうなっているのか?まさか元の時代に人々を戻したからか?』
ケツァルコアトルの姿はなかったが念話が聞こえてきた。
『それもあるが、この七変化が過去のテスカトリポカの襲撃から何とか対抗することができたみたいだ。おそらく、私の熱心な信者が頑張ってくれたんだろう。』
『熱心な信者ねぇ。信仰が力になるんだったな。あんな鈍よりとした空気よりこっちの方が断然ましだな。』
「そこの魔物。其方もケツァルコアトルの信者のものか?」
急に声をかけられて振り向くとそこには礼服を纏い、トカゲのような仮面を被った魔物?ようなものが立っていた。
「あの・・・どちら様で。」
「私はピグマンだ。」
「えっ・・・はっ、はぁ!!テスカトリポカの信者だったんじゃ。」
「何を忌々しい神を口にするか!我はケツァルコアトル様の信仰者でありこのアルムトゥラムトの神父をしている。」
「あれ?人?違いか?それより、おまえ魔物でもないな。何者だ。」
「我は太陽の下に生まれし者なり。ケツァルコアトル様が崇拝されることで生まれるもので人々にケツァルコアトル様の入信や布教活動を行っている。」
「そうなのか。大変だな。」
「魔物よ。軽々しく忌々しい神の名を口にしてはならぬ。」
「安心しろ。俺はあのクソ野郎をぶっ飛ばしたいからその手掛かりを追っている。」
「なんと!神に挑む魔物がいるのか・・・こんな小さいのに。」
「小さいのは余計だ。」
「けれども、神に挑むなど軽率すぎる。命を大事にするのだ。祈りの数がケツァルコアトル様への力に変わる。」
「ほんと、地道な努力だな。」
「その積み重ねが再びケツァルコアトル様を呼び起こすのだ。貴殿も祈りを捧げるのだ。」
「捧げなくても、俺はケツァルコアトルの協力関係者だから安心しろ。助力している。」
「またまた、変なことを。まぁケツァルコアトルの信者ということにしておこう。それと、アルムトゥラムトにはケツァルコアトルに関わる神話や史記が残っている。興味があるなら見せてやろう。」
『何かの手掛かりがありそうだな。』
「ありがとう。ありがたく見せてもらおう。」
アルヴァンがピグマンと一緒に宮殿へ向かおうとした時、ケツァルコアトルが念話で話しかけてきた。
『アルヴァン君。君のお友達がイレイアの国王の前で異端者扱いされているぞ。』
『えっ?あっそうか。国王に挨拶しに行く日だったのか。けど、なんで異端者扱い?』
『公の場で王たちの思惑に逆らってお嫁さんに改めて公開プロポーズした。』
『なんだそれ?あいつ死にてぇのか?まぁいいんだけど・・・だめかぁ。ユリアがいたわ。本当に面倒ごとばっかり増やしやがる。足りない頭でもう少し真面目に考えろよ』
アルヴァンは渋々ピグマンに断りを入れた。
「すまん。用事が出来てしまったから、また改めて出直す。」
「そうか、残念だな。また来なさい。」
ピグマンは軽く会釈して宮殿に戻って行った。アルヴァンは家の物陰で移動魔法を唱えてイレイアへ向かった。
アルヴァンは玉座の前に降り立った。
『あっやべ。間違えたかも。』
「テ・・テト?」
レオの声が聞こえアルヴァンはチラッとか確認した。
「おぉテトか。主のピンチに駆けつけたのか。」
『誰がこんなバカを。それと、お前は本当にあいつの子孫なのか?本当に・・・。』
アルヴァンは王に近づいてビンタした。場は一瞬で凍り付いた。そして、誰かが言った。
「何をしている。その魔物をころせぇ!」
衛兵が剣を振りかぶろうとした。
『三下が俺に勝てると思ってるのか・・・。』
アルヴァンは殺意を込めてその衛兵を睨んだ。衛兵は怯えて動けなかった。
『首輪をつけれた犬じゃ、何も守れないな。』
アルヴァンは王に視線を戻してカエルからエスリーからもらったカイノスの手紙を渡した。王はそれを受け取り読み始めた。読み進めて行くにつれて王は涙目になっているのが分かった。そして、読み終え少しの沈黙の後で王は言った。
「皆の者。謁見はここまでだ。レオの処分は不問とする。いいな。」
皆何があったのか動揺したが王の命を聞きそのまま退席し始めた。そして、王と衛兵数名になった部屋で王はアルヴァンに跪き言った。
「我が先代の師であられた其方への非礼、大変申し訳なかった。」
残された衛兵は全く状況が理解できず困惑している。
『へん。情けない野郎だ。王である前に人間を学びやがれ。』
アルヴァンは踵を返して、王の間から出ようと入り口へと歩き出した。
「待ってほしい。其方はあの青年を揺さぶったことを怒っているのだろう。あの手紙を渡したのも我が先代への志に反していると言いたいのも分かった。だが、私も王である前に一人の人間だ。だからこそ本音では脅かされそうとしている悪鬼に恐れをなしている。側近の前では威厳あるよう振舞うがやはり怖いものは怖いのだ。」
アルヴァンは立ち止まり振り向いた。
『お前の言っていることは正しい。けれども、これは一つの運命だ。王であり続けること、そして次の世代へ繋いでいくこと。新たな時代が始まって、いつかは途切れて終わっていく。人間ってのは摂理をどうも直視しようとしない生き物だ。なら、せめて今の自分の立場で何ができるのかを考えて生きてみろよ。かっこ悪くても少しはましに見えるぞ。あいつだってそうだったからな。』
アルヴァンは手のひらに光の玉を生み出しそれを王の方へ放った。一瞬衛兵は剣を構えたが、その球は王の周りをゆっくりと廻り、そして頭上で弾けたキラキラと砕けながら消えて行った。