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テト  作者: 安田丘矩
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永遠なんてないけれど、願うことは素敵なこと

戻り梅雨ですね。

ここ最近まとまって雨が降らなかったのでありがたいと思う反面

なんか気持ちの悪い気候ですね。暑苦く、蒸し蒸しする。

風があるけど、心地よくない。

結局、日本を覆っている大気は暑いままなんでしょうね。

暦の上では大暑ですが、本当にここが暑さのピークじゃないだろうな。

これから後三か月はこの暑さが続くとなると憂鬱。

以前はクーラーのつけっぱなしは身体に悪いって言ってたけど

さすがに熱中症怖いし、寝苦しいでつけて寝ていると体が慣れてしまった。

これは単純に適応能力っていうものなのか?

皆さんもお体ご自愛し、健やかにお過ごしください。

突然ユリスがいなくなってしまいジェルマを不憫に思ったアルヴァンはとある木の苗をジェルマにあげた。


「なんだこの苗?くれるのか?」


『まぁしばらくユリスは戻ってこれないだろうし、代わりに妖精の木を育てて待っていてやれよ。あいつこういうの好きだから。』

アルヴァンは頷いた。


「今更だけど悪かったな。ふてぶてしい態度取って。」


『まぁ今回はユリスの相手してくれていたんだから大目に見る。』


「それと、話の中で西の宮殿向かっているんだったな。あっちは行かない方がいい。途中から紫の霧に包まれてあちらこちらで死者が徘徊し始めるんだ。昔からあの場所には近づいてはいけないって言われている。」


『確かに変な場所だったな。なぜか日が入らなくて、死者というよりは死体が歩いていた。今思えばテスカトリポカの仕業かもしれないな。』


アルヴァンはジェルマに手を振り再び木の板のそりに乗り西の宮殿を目指していった。




ジェルマは王宮に戻ると少し寂しそうだった。ユリスが突然いなくなってしまい、部屋を見渡しながらどこかユリスの残像を追っていた。口うるさかったけれども、いつもジェルマにとって良い選択を選んでくれていた。そして、言葉の中に愛情があること。ジェルマは深くため息を吐いた。


そういえば、アルヴァンにもらった木を思い出し、中庭の水路に近い所にその木を植えた。水路からバケツで水を汲み少しずつ与えた。すると、小さな光が突然現れ木の周りを飛び始めた。ジェルマは驚きながらもじっと見つめた。そして、右手で触れようとすると光が砕けてしまう。けれども、再び葉先から現れて木の周りを飛び始めてた。


「何と不思議な木だ。大きくなるのが楽しみだ。」

ジェルマは嬉しそうだった。


その木を植えた後、王宮で働く人は皆その木の前で立ち止まり、その木の周りを飛ぶ小さい光を眺めては触れようとしたが捕まえることはできない。けれども、なぜだか優しい気持ちになるので一日に何回も見に行く者もいた。そして、クゥトゥルフ王もその木を眺めては見惚れていた。皆が嬉しそうにしている姿を見てジェルマは少し得意気にし、その木の下に木の名前看板を立てた。


【プリオーネ】。パタリオスの言葉で永遠と意味だった。




「あの木は何なんですか?」

シドがアルヴァンに聞いてきた。


「あの木はシルバーベルといって、鐘のような黄色い実をつけるんだ。雪国と火山地帯との境目に生命が生き続けている珍しい場所がある。そこでしか手に入らない幻の果物だ。」


「食に関しては本当にうるさいですね。」


「グルメと呼べ。ただ、あの木は特殊でなぜか妖精が住処にするんだ。原木を見たとき無数の小さな光が一面を舞っていたから驚いた。」


「そんな貴重な木を上げてよかったんですか?」


「本当は農園を作って浴びるほど食べる予定だったが、世話してくれる人がいる方があの木も幸せだろう。実がなった時にはジェルマを訪ねて分けてもらえばいい。」


「そこは抜け目ないんですね。」


「当り前だ。」


「それにしても、ユリス様って罪な方ですね。」


「俺は何も知らない。ただ、物好きがいるんだと思うことにした。」

シドはため息を吐いて言った。


「もう一層のことユリス様に小説を書いていただきたい。」


「報告書の間違いだろ。思わぬところでユリスと再会できて良かった。ドミニクたちはユリスに任せて俺らは手掛かりを探せばいい。」


「アルヴァン様。紫の霧?が見えてきましたよ。」


アルヴァンたちの目の前に紫の霧が広がり始めた。その先がどうなっているのかは分からない。すると突然木の板が止まった。


「あれ?グラインダー?どうした。」


木の板から下りてグラインダーを見るとひどく怯えていた。


「どうやらここまでのようですね。」


シドはグラインダーの頭を撫でて引き返すように指示した。するとグラインダーは元来た道を引き返して行った。


「さて、行きますか。」


「けど、この霧大丈夫なんですか?状態異常とかになりませんよね。」


「大丈夫だ。なんかピリピリするくらいだ。」


「明らかに何かやばいもの入っているのでは。」


「心配するな。とにかく行くぞ。」


シドはそれ以上何も言わずアルヴァンの後ろを着いて行った。薄暗い紫の霧の中をしばらく歩いていると死者が所々で歩いていた。服装はその時代によって様々で、冒険者だったのだろうか装備を纏った者や正装を纏った者、儀礼の服装の者。


「アルヴァン様、ピリピリします。」


「時には辛子の実を加えてアクセントも必要だ。」


「いや、これは身体に悪いアクセントですよ。」


「そうだな。重苦しい空気だ。以前通った時よりもさらにだ。」


アルヴァンたちが先へ進むと宮殿が見えてきた。


「あれだな。それにあそこから紫の霧が流れている。」


「アルヴァン・・・頭がクラクラします。」


「それはまずいな。影の中に戻れ。」


「はい・・・。」


シドはアルヴァンの陰の中に戻って行った。


「えぇ・・・俺一人であの中へ行くのかぁ。」


恐る恐る宮殿の入り口前に行くと


「きぃえぇええええええ!!!」

と声がした。


アルヴァンは立ち止まってしばらく様子を伺った。すると宮殿の奥から何かが駆け足で出てきた。


「おまえぇ!何奴!」

木でできた象のお面をかぶり、胴体は爬虫類の様な形をしていた。


「失礼だな。聞いてきた奴から先に名乗るのが礼儀だろ。」


「おぉ、そうかぁ!かたじけない。我はビグマン。この宮殿にてテスカトリポカ様に祈りを捧げるものだ。」


『あぁ、やっぱりテスカトリポカの仕業だったのか。さて、どうしたものか。』


アルヴァンは少々困りながらもピグマンから情報を引き出そうと考えた。


「俺はアルヴァン様だ。立派な宮殿があると聞いて参上した次第だ。」


「おまえ・・・めっちゃ分かってるじゃん。気に入った。さぁ入れ。」


『それでいいんだ・・・。』


アルヴァンはピグマンに案内されて宮殿の中へ入って行った。


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